【WH日記】バリスタとしてかなえる夢と恩返し – 田崎慶貴さん


バリスタとしてかなえる夢と恩返し

第47回 今回登場のワーホリ・メーカーは?


田崎慶貴さん


1989年生まれ・熊本県出身
専門学校卒業後、地元・熊本県の自動車販売会社に整備士として就職。5年間勤務した後、バリスタとして独立することを決意し会社を退職。約1年の準備期間を経て2016年に来豪。シドニーではバリスタとして活動。現在は、2回目の来豪を目指し準備中。


「いつか一緒に仕事をしよう」、高校の卒業間際に親友と交わした軽い口約束が1人の青年を海外に導いた。その約束から9年が経ったころ、田崎慶貴さんはシドニー市内のカフェにバリスタとして立っていた。

高校卒業後、関西の専門学校に進学した2人だったが、専門学校を経て田崎さんは地元・熊本県の自動車販売店に整備士として就職、一方その親友はフランスで料理留学を経験するなど料理人の道を着実に歩み、いつしか互いの進む道は大きく分かれていった。一方で、親友の影響もあってか、20歳を過ぎたころから田崎さんも海外を意識するようになったという。

整備士として働き出して5年が経ったころ、「このまま同じ会社にいて良いのか」という迷いが生まれてきたと田崎さんは当時を振り返る。そして、ワーキング・ホリデー制度も選択肢として視野に入れ「自分の人生に後悔は残したくないから」と田崎さんは第二の人生を真剣に考え始めた。
「『一緒に仕事をしよう』と話をしていた過去が恥ずかしいくらい、その時の自分たちの道は大きく離れてしまっていたんです。親友と一緒に仕事ができれば、自分にとってはうれしい話ですが、彼には一体どうなのか。自分も彼のように独立したいという気持ちが強かったので、彼から大きく離れてしまった自分の道をそこで修正しようと決心したんです」

会社を辞めて何をするか――。その時カナダで料理人として地位を確立しつつあった親友の存在、更に周囲に飲食店関係者が多かったことから田崎さんも飲食業の道を志すことを決めた。そして、コーヒーが好きだった田崎さんはバリスタになるためワーキング・ホリデー制度でオーストラリアに渡ることを決意した。

しかし、会社を退職し渡豪の準備を進めていた田崎さんに大きな壁が立ちふさがった。退職した職場からの批判的な声、そして渡豪を予定していた2016年4月に大地震が田崎さんの故郷・熊本県上益城郡を襲った。周囲で通常の生活が送れない状況が続いても「一度決めたこと」と田崎さんの気持ちはブレなかったという。4カ月が過ぎ故郷がある程度復旧を果たした8月、バリスタを目指し田崎さんは旅立った。

運命的な出会いと共に歩み始めた道

来豪後、語学学校のバリスタ・コースを卒業し仕事探しを始めたが、そこからは試練の連続だった。20件近く履歴書を配り歩いたが採用はゼロ、そのうち半分のお店はバリスタの経験がなかった田崎さんを相手にもしてくれなかったという。
「履歴書を配り歩く中、1件だけオーナーと話せた店がありました。もしかしたら採用してくれるかもしれないという思いと共に3週間近く返事を待ちましたが、結果は不採用。さすがにここで心が折れかけました」

来豪して半年、コーヒー作りを何も学べなかった自分に無力感が募った。「来豪してからの半年間を『何だったんだろう』って思うくらいなら、早く日本に帰った方が、何もできない状態でその後の半年間を過ごすより人生を無駄にしないのではないかと考えました。本当に日本に帰ろうと思ったんです」と田崎さんは当時の心境を語る。

そんな中、生活費のために仕事をしていた日本食レストランのスタッフからある2人の日本人バリスタを紹介され、田崎さんはそれぞれの店に足を運んだ。そのうちの1軒でトライアルを経てバリスタとして店に立つことができたが、その後もう1軒の店で「オーラに圧倒されコーヒーの話をしても良いのか恐れ多い気持ちになった」と思うほどの人物に出会った。12年に「シドニーのベスト・バリスタ」に選ばれた佐々昌二さんだ。

バリスタとして働き出したものの、コーヒーの淹れ方はバリスタによってさまざまで、何かを聞こうにもやりとりは英語のため十分に内容が分からない。そこで、田崎さんはコーヒー作りで分からないことの1つひとつを佐々さんに聞き、そこでもらったアドバイスを実際の仕事の中で考え自分の技として落とし込んでいった。

シドニーを代表するバリスタとの出会いについて田崎さんは「自身で豆の焙煎までされる佐々さんの姿を見てコーヒー作りの奥深さを実感しました」、続けて「有名な人に教えてもらったので自分も有名になっていつか恩返しをしたいですね」と力強く語る。最後に田崎さんの今後の展望を伺った。
「ワーキング・ホリデー生活は終わりを迎えますが、またオーストラリアに戻って来てバリスタとしての経験値を積んでいきたいですね。そして、将来は自分の店を持てるようになりたいと思います。そうすれば親友との夢がかなうことになりますから」

一度は大きく離れた2つの道は、未来でつながろうとしている。

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