【WH日記】水泳大国での経験を故郷へ –鈴木沙代子さん

みんなの「ワーホリ・ダイアリー」

水泳大国での経験を故郷へ

第51回 今回登場のワーホリ・メーカーは?

鈴木沙代子さん


1992年生まれ・静岡県出身
小学生から本格的に水泳を始め、中学3年生で全国大会に出場、高校ではインターハイなどで活躍。日本体育大学へ進学後は水泳部に所属、卒業を機に選手引退。千葉県で2年間教員生活を送り、2017年10月に来豪。新年度からは静岡県の母校に養護教諭として着任


2018年1月21日、競泳NSW州オープン選手権の大会最終日。運営ボランティアでありながら、表彰セレモニーでのメダル・プレゼンターの大役を務める鈴木沙代子さんの姿がそこにはあった。オーストラリアでの数ある中の「印象的な出来事の1つ」と振り返るこの経験は、水泳と共に歩んできた彼女の人生の中の大切な一場面でもあった。

海の近い静岡県熱海市に生まれた鈴木さんは、幼少のころから泳ぐことが好きだったこともあり、小学校入学と同時に本格的に水泳を始めた。中学校3年生で初めて全国大会に出場し、高校生になるとインターハイなどに出場し全国トップ10に入る実力者へと成長。高校時に全国レベルを知ったことで「更に上を目指したくなった」という。その後、北島康介氏ら数々の五輪スイマーを輩出している全国屈指の名門「日本体育大学水泳部」の門をたたいた。

「部内の上下関係や新入生の時に任される仕事の数々、競技以前に人間性を重視する部活にいたことで精神面は本当に強くなりました」と日本トップ・クラスの水泳部で得たものを語るが、同時に当時の苦しかった胸のうちをこう明かした。

「水泳人生の中で大学の4年間が、成績そして精神面で最も苦しい時期でした。同期に五輪選手がいて競泳日本一を目指すという環境は、なかなか得られるものではなく、そこで成績が残せないのは自分の頑張りが足りないからだと考えてしまいました。『自分の頑張り次第でもっと上を目指せたはず』、そんな思いは今でも強くあります」

競技の第一線を退くことを決め大学を卒業してからは、大学在学中に教員免許を取得していたこともあり2年間の契約期間の下、千葉県内の中高一貫校で体育の教員として勤務した。そして、契約期間が満了を迎えたころ「人生で一度は海外で生活してみたかった」という思いからワーキング・ホリデー制度を利用し水泳大国であるオーストラリアへ渡ることを決意する。

コーチングや大会の運営などを学びたい――。そんな思いを胸に17年10月、シドニーでの新しい挑戦の日々が始まった。

駆け抜けながらも得た経験

来豪直後、鈴木さんは早速、水泳関連の仕事を探し始めた。周囲からローカルでの仕事探しの厳しさを何度聞かされようと、語学学校の教師から「英語力がローカルでの仕事に十分なレベルに達していない」と言われようと「絶対に水泳の仕事に携わりたい」という気持ちを譲ることなく前へと突き進んだ。

すると、そんな強い思いが幸運を引き寄せた。働きたいと考えていたプールで泳いでいたところ、施設職員のコーチから幸運にも声を掛けられたのだ。それ以降、仕事に必要な資格の取得を手伝ってもらえるなどとんとん拍子で物事が進んだ。必要資格を取得し20時間のトレーニング終えると、当初の希望とは異なったが、シドニー市内の「イアン・ソープ・アクアティック・センター」のスタッフとなった。

週5日間、小さな子どもたちを対象にしたクラスを受け持ったが、鈴木さんにとってそこでの日々は、スクールの運営方法や施設面といった日豪両国の水泳環境の違いなど発見の連続であったという。また、子どもたちとの絆ができると共に、保護者からは感謝の言葉を何度も掛けられた。

「英語力が不十分な私でも必要としてくれる、オーストラリアという国の温かさを感じられた」と語る充実の毎日が続いていたが、今年の年明けに鈴木さんの元に届いたある連絡が事態を大きく変えることになる。高校時代の恩師からだった。

「『養護教諭の枠に空きができた』と母校の教員採用の連絡が来たんです」「保健室の先生」と通称されることが多いその仕事は、鈴木さんが高校時代から温めてきた夢だった。そして、恩師からの言葉はそれだけではなかった。

「『インターハイで優勝に絡める選手がいる。その選手の指導に力を貸して欲しい』と頼まれました」

高校時代からの夢、恩師からの選手育成の依頼、また故郷のスイミング・スクールのコーチが3年前に亡くなり運営に人手が必要となっていた事実も重なり、3月、「ここがタイミング」と帰国を決断した。

約半年間という短い期間だったにもかかわらず、水泳について多くの学びを得たワーキング・ホリデー生活。最後に「今後は選手育成と養護教諭、どちらに重きがあるか」と聞くと快活に「どちらもです!」と答えが返ってきた。

「一人前の教員になることはもちろん、部活動だけでなく東京五輪も見据え静岡県の水泳連盟と大会運営などで関わりながら今回の経験を生かしていきたいんです」

養護教諭として鈴木さんだけにしかできない指導が、きっと未来の名スイマーを育てることだろう。

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