【WH日記】人間的な魅力の先にある1杯のコーヒー – 岡達人さん

みんなの「ワーホリ・ダイアリー」

人間的な魅力の先にある1杯のコーヒー

第53回 今回登場のワーホリ・メーカーは?

岡達人さん


1990年生まれ・愛知県出身
高校卒業後、地元・愛知県内の調理師専門学校に進学。卒業後はフランス料理のシェフとして同県の結婚式場に就職。転職先のフランス料理店の退職を機にバリスタとして活動を始める。日本で約3年の経験を積んだ後、2017年9月に来豪。現在はメルボルンでバリスタとして活動中


シドニーCBDにある100年以上の歴史を誇るショッピング・モール「ストランド・アーケード」。その一角のカフェに岡達人さんはバリスタとして立っていた。十数人も入れば満員になるような店内では、客が次々と入れ替わりコーヒーをテイクアウェイしていく。「体感的には日本のカフェの5倍くらいの忙しさ」と語るそんな状況でも、笑顔は絶やさない。

家庭でのお菓子作りから料理に興味を持った岡さんは、高校卒業後に調理師専門学校に進学すると、その後はフレンチの料理人としてキャリアをスタートさせた。地元・愛知県内の結婚式場にシェフとして就職したが、そこで自身に対する大きな発見があった。

「平日は厨房で料理の仕込みなどをするのですが、週末は式があるため披露宴会場で自分も給仕をしていました。その時、人と話をするのが楽しいと感じたんです」

その後、料理人としてのステップアップを図るため、名古屋市内の有名フランス料理店に転職するが、料理長との昔ながらの徒弟関係のような厳しい職場環境に思わず挫折してしまう。フランス料理店を退職しようかと考えた時、「これまでのキャリアが途絶えてしまう」と危機感を覚えた岡さんは、コーヒーが好きだったことやブライダルの仕事で感じた「人と接することの楽しさ」を思い出し、同じ飲食業であるカフェでの仕事を選択した。

大手コーヒー・チェーン店で仕事を始めると、「飲食業に携わる以上、将来的には自分の店を持ちたい」と考え、バリスタの本格的な経験を積むために上京。オーストラリア人の元バリスタ世界チャンピオンがプロデュースするカフェの門をたたいた。

都内のカフェを含め下積みは約3年に及んだが、海外からのお客さんと接することを通して次第に英語に興味を持つようになった。そして、元々、フランス料理のシェフ時代にフランスで働くことを志向していたこともあり、バリスタとしても海外挑戦を考えるようになった。英語だけでなくコーヒーについても学びたい――。「やりたいことはすぐにやってしまう」という行動力を生かし、2017年9月、ワーキング・ホリデー制度を利用しシドニーに渡った。

日常の一部としてのコーヒー

来豪後、岡さんはクラシファイド・サイトで冒頭のカフェの求人を見つけ、念願のオーストラリアでのカフェの仕事に就くことができた。ただ、日豪両国におけるカフェの、岡さん曰く「衝撃的」とも言える違いに触れたそうだ。

「日本の場合、コーヒーは注文ごとに1杯ずつ丁寧に作りますが、ここでは3杯分くらいをまとめて作ります。来豪後の最初に受けたトライアルで知りました。コーヒーを淹れる技術力に問題はありませんでしたが、日本の淹れ方では全くスピードが追い付きませんでした」

また、ローカルのカフェでの仕事で特に思い出深かったことを尋ねると、こう答えた。

「仕事初日、エスプレッソ・コーヒーを淹れる『ショット』という作業が全くうまくできなかったことです。注文をさばく段取りの組み方も全然駄目で、とにかく悔しかったですね」

日本での十分な実績にもかかわらず、思うように仕事ができないことで落ち込んだ時間は長かったという。携帯電話に保存していた辞表を、マネージャーに送信する寸前までいったこともあった。そのような追い詰められていた状態を振り返りながらも、「自分にとって誇れるのは辞めなかったこと」と胸を張る。辛抱の日々を通り抜け「苦労が報われている」と語る岡さんは、ワーキング・ホリデーでの残された時間をメルボルンで過ごそうと考えている。

「これまでは少し忙し過ぎましたから、もう少しゆったりと働きたいと考えました。そういう働き方を通し、オープンに人と触れ合いながら人としての経験値を高めたく、メルボルンに行くつもりです」

また、その先のステージも力強く見据える。

「メルボルンの後は、英語力に更に磨きをかけるためにカナダに行く予定です。今の自分に足りないものは、英語力だと思っています。常連客とはうまく会話できますが、初見のお客さんとはうまくいかないことが多い。その課題を何とかしたいんです」

人と話し触れ合うことは面白い、そうした自身の原点や解決すべき課題に向き合いながら、理想のバリスタ像をこう思い描く。「カフェは何よりも日常の一部であるべきで、またあのカフェに行こうと思ってもらうためにも、お客さんにとってバリスタの自分が魅力的な存在でありたいですね」

バリスタ・岡達人の淹れる1杯のコーヒー。その魅力はきっと、味にも勝るその人柄なのだろう。

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