農場収穫労働者不足で出荷価格$4,500万損失

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一方、青果物消費者価格はこれから上昇の見こみ

 National Lost Crop Registerによると、コロナウイルスで人の動きが規制されたことも手伝ってどこの農場も収穫労働者を確保できず、野菜や果実を廃棄処分せざるを得ない状態で農家の出荷価格で4,500万ドルの損失になっている。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 季節労働者不足はオーストラリア国内の園芸農業に重大な影響を及ぼしており、これからさらに悪化することを考えればそのしわよせは消費者に返ってくる。

 農作物の損失を集計する新設のNational Lost Crop Registerによると、同機関設立後最初の8週間で4,500万ドルの損失になっており、食糧供給量が減る結果としてコスト増になり、スーパーマーケットはコスト増を消費者に転嫁することになる。

 しかも、Registerは2020年12月に開設したばかりであり、その8週間の間に65件の農作物の損失が報告されているが、国内の農業経営者は総数85,000にのぼっている。

 オーストラリアの食料供給のうち、輸入食料は15%のみであり、国内供給量が減ると大手小売業者全体に影響が及ぶことになる。

 農家は収穫できない野菜や果物を廃棄処分するしかなく、全国農業連合会では、「人手不足はまだこれからひどくなる。QLD州ではこれまでに3,300万ドル、NSW州では800万ドル、WA州では200万ドルの損失になっているが、大手農家にはRegisterに損失を報告していないところもある。2021年を通じて人手不足はますます悪くなるだろう」と分析している。

 これまでの損失の規模で最大はイチゴ、次いで野菜全般、ブルーベリー、バナナなどとなっており、農作物には需要供給の原理が働いており、消費者価格が上昇する。園芸農業は平常の場合にはある程度供給過剰状態で、作物を廃棄してもマージンの部分で吸収するため、消費者物価上昇につながることはあまりないが、結局は消費者価格に響いてくる。また、農業では労働も大きな要素であり、労働力が不足すると価格上昇につながる。店頭の商品と価格の関係を知る上では2021年は興味深い年になると言えるとしている。
■ソース
National Lost Crop Register surpasses $45 million in losses at farmgate value due to worker shortage

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