「クラウン・リゾートはシドニーのカジノ経営適性欠如」

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公開調査委員会の報告書で厳しい判断下りる

 シドニーのバランガルー地区は旧貨物埠頭の再開発計画が出された時に、カジノ富豪、ジェームズ・パッカー氏のクラウン・リゾート社がNSW州保守連合政権に高層ホテル・カジノ複合施設案を持ちかけ、NSW州政府が採用した。

 ビルが完成した現在、NSW州独立酒類賭博管理局(ILGA)が設立した独立公開調査委員会が、「クラウン・リゾートはシドニーでカジノを経営する適性を欠いている」との報告書を2月9日の州議会に提出した。そのため、ビルの最上階に計画されていた高級カジノの開業が難しくなっている。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 クラウン・リゾートが所有する国内外のカジノ経営に関してマネー・ロンダリングなどの違法行為の疑惑が2014年の時点で既に報道されていた。しかし、今回、調査委員会がクラウン・リゾートの違法行為関与があったと判断したことでクラウンがメルボルンで経営しているカジノについても今後影響が予想される。

 報告書の中で、元NSW州最高裁主席判事のパトリシア・バージン調査委員長は、「クラウン・リゾートが将来的にカジノ経営の適性を備えていると認められたければ根底的に企業風土を変えなければならない」と述べている。

 クラウン・リゾート社がシドニー・ハーバーのバランガルー再開発地区に22億ドルをかけて建設した高層建築での高級カジノ開業は、同社が組織改革をしない限り阻まれることになるが、バージン調査委員長の勧告案をILGAが公式に受け入れることが条件になる。

 ビルのホテル、レストランなどはすでに開業しており、クラウン・リゾート社は、声明を通じて、「報告書の内容を検討し、ILGAや州政府と協力して事態に当たりたい」と述べている。

 クラウン・リゾート社の違法行為関与疑惑の報道を受けて、NSW州のILGAが同調査委員会に対して、クラウン・リゾートがメルボルンとパースに経営しているカジノの実態を調査し、同社がバランガルーの新施設で賭博ライセンスを取得する適性を持っているかどうかを報告するよう指示した。

 公聴会では、同社のカジノを通してマネー・ロンダリングが行われることを見逃していたことや、プライベート・ジャンケットのオペレータが同社に海外からVIP賭博客を連れてくることをしており、同社とオペレータの関係を通してクラウン・リゾート社が国際的な犯罪組織と関係を持つようになっていることなどが証言された。

 調査委員会では、パッカー氏の役割、特に同氏が同社会長を辞職して以降の同社の経営に対する役割なども調査対象になり、パッカー氏が、会社を離れた後も「デファクト役員」の立場にあったことが証言されている。
■ソース
Crown Resorts not suitable to operate Sydney casino, inquiry finds

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