2016年5月 ニュース/総合

事実上の選挙戦に突入した与党保守連合のマルコム・ターンブル首相(自由党党首=左)と野党労働党のビル・ショーテン党首
事実上の選挙戦に突入した与党保守連合のマルコム・ターンブル首相(自由党党首=左)と野党労働党のビル・ショーテン党首

早期選挙、7月2日投票へ

首相、予算案発表直後に両院解散の意向

年末までに実施される次期連邦選挙が前倒しされ、上下両院の全議席を同時に改選する「両院同時解散選挙」が実施されることが、ほぼ確実になった。投票日は7月2日となる見通し。マルコム・ターンブル首相は5月3日の来年度連邦予算案の発表後、ピーター・コスグローブ連邦総督に両院解散の判断を仰ぐ。地元メディアが4月18日、一斉に報じた。

連邦上院は18日、急進的な建設労組の力を削ぐことを狙った監督機関「豪建築建設委員会」(ABCC)を復活させる法案を再度否決した。7月2日の両院同時解散選挙の観測は、既に3月初めの段階で浮上していたが、ABCC再設置法案が与党が過半数に満たない上院で、野党の反対で暗礁に乗り上げたことで決定的になった。

これを受けて、首相は「(憲法上の)両院解散同時選挙の要件」が成立したとして、「(5月3日の)来年度連邦予算案の発表後、両院の解散と7月2日の選挙実施を連邦総督に助言する」と言明した。両院解散権を持つ連邦総督が首相の助言を受け入れれば、7月2日の投票は5月初めに確定する。

与党保守連合(自由党、国民党)と最大野党の労働党は、「事実上の選挙戦」(公共放送ABC)に突入した。下院の全150議席と上院76議席の約半数を改選する通常選挙は年末までに実施される見通しだったが、約半年前倒しされるとともに、上院の全議席も改選される。

ターンブル首相は「ABCCの再設置が必要かどうか、国民に両院解散選挙で決めてもらう」と強調したが、最大の焦点は初の選挙を戦う首相への信任だ。2015年10〜12月期の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比3%増(前期は2.7%増)、3月の失業率は5.7%(0.1ポイント下落)と足元の景気は上向きつつある。にもかかわらず、実業家としての経験から「経済に強い」と見られたターンブル氏への評価は定まらない。

今年に入り、税制改革論議で見せた指導力不足や相次いだ閣僚スキャンダルなどが、人気の足を引っ張った。資源ブームに代わるイノベーション(技術革新)主導の成長戦略に加え、5月の政権初の予算案での経済・財政政策の手腕が問われる。

ターンブル氏、大きな賭けに

オーストラリアでは保守連合と労働党の2大政党が、一定の間隔で政権交代を繰り返している。保守連合は13年、党内抗争に明け暮れた労働党から6年ぶりに政権を奪回したが、保守派のトニー・アボット前首相の下で進めた財政緊縮策が不評を買い、支持率の低迷を招いた。

このため、人気の高かったリベラル派のターンブル氏が昨年9月、急きょ開催された党首選でアボット氏を破って新しい首相に就いた。首相交代は労働党政権時代から数えて5年間で延べ5人目。1人の首相が最低1期3年以上は務めるのが通例だったが、このところ政権の短命化が著しい。

ターンブル政権の発足後、与党支持率はおおむね40%台後半まで急回復したものの、今年に入ってから下降気味だ。

保守系の全国紙『オーストラリアン』18日付が掲載したニューズポールの世論調査によると、各政党支持率は保守連合41%、労働党36%、環境保護政党グリーンズ(緑の党)11%、その他12%(いずれも5日付の前回調査と同じ)だった。実際の選挙での得票率に近い2大政党別支持率で見ると、労働党51%、保守連合49%と前回に続き与野党が逆転している。

ニューズポールの情勢分析によると、仮に現時点で投票が行われた場合、保守連合は現有議席から20議席以上失って過半数(75議席)を割り、労働党が政権を奪回する可能性がある。ターンブル氏は選挙の前倒しと両院同時解散で大きな賭けに打って出た格好だが、このままでは在任期間が史上最短の首相に終わりかねない。

《キーワード》両院解散同時選挙 Double-dissolution Election

オーストラリア憲法第57条の規定では、下院が可決した法案を上院が最初の否決から3カ月後以降に再度否決した場合、首相の助言に基づいて、国家元首である英国王の代理人を務める連邦総督が両院の同時解散を命じ、国民に信を問うことができる。下院と上院で法案の議決結果が異なる場合、議会のこう着状態を打破する狙いがある。これに対して、通常の連邦選挙では、任期3年の下院の全議席と任期6年の上院の約半数の議席を改選する。


ジュリー・ビショップ外相
ジュリー・ビショップ外相

心は被災者とともに

ビショップ外相、熊本地震で声明

ジュリー・ビショップ外相は4月17日、声明で「私たちの心は、熊本地震で被災した日本の人たちと共にある。オーストラリア政府は日本政府の要請があれば支援を差し伸べる用意ができている」と述べた。また、日本を旅行中のオーストラリア人3,506人がオーストラリア外務省で登録しているが、声明の時点で死傷者は確認していないという。


1人当たり訪日旅行支出、豪州人トップ
28万5,000円使う−1〜3月期

日本の観光庁が4月20日に発表した1〜3月期の訪日外国人消費動向調査によると、オーストラリア人の1人当たり旅行支出は前年同期比で15.1%増えて28万5,060円となり、世界の国・地域で1位となった。2位は中国で11.8%減の26万4,997円だった。

品目別でも、オーストラリア人は宿泊料金11万5,292円、飲食費5万1,308円、娯楽サービス費3万5,951円とそれぞれ最大だった。観光庁はオーストラリア人旅行者について「宿泊料金や飲食が高いのは、特にスキー・リゾートでの長期滞在(観光・レジャー目的の平均宿泊数14.3泊)の旅行者が多いための考えられる」と分析した。

訪日外国人旅行消費額全体でも、オーストラリア人は42.5%増の381億円となり、国・地域別で中国、台湾、韓国、香港、米国に次いで6番目だった。オーストラリア人の訪日外客数は23.8%増の13万3,775人となり、7番目に多かった。


豪州人800人の名前も−パナマ文書
犯罪組織も資金洗浄に利用

オーストラリア国税局(ATO)は4月4日、タックス・ヘイブン(租税回避地)を利用した課税逃れの実態を暴いたいわゆる「パナマ文書」に、オーストラリア人800人以上の名前が出ていることを明らかにした。このうち120人以上が香港の企業を通して手続きしていたとされる。公共放送ABC(電子版)が伝えた。

パナマ文書をめぐっては、ロシアのプーチン大統領や英国のキャメロン首相ら主要国の著名人が課税逃れに関与していたことが分かっており、各国の政財界を揺るがす事態に発展している。脱法行為に関わったオーストラリア人の個人名はまだ不明だが、今後公表されれば大きな波紋を呼びそうだ。

また、モーター・バイク乗りの犯罪集団「バイキー・ギャング」をはじめ、オーストラリア犯罪委員会が把握している反社会勢力の人物約80人の名前も記載されているという。富裕層の課税逃れだけではなく、マフィアの違法な所得隠しやマネー・ロンダリング(資金洗浄)にタックス・ヘイブンが利用されているようだ。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る