2017年2月 ニュース/総合

安倍首相、シドニーで日豪首脳会談

自由貿易の重要性と安保協力の強化で一致

安倍晋三首相は1月13~15日、オーストラリアを訪問した。シドニーで14日、マルコム・ターンブル首相と日豪首脳会談を行い、自由貿易の重要性や2国間の安保協力の強化、両国と米国のそれぞれの同盟関係の重要性を改めて確認した。「米国第一」を掲げるドナルド・トランプ米大統領の就任などを受けて、地域のパワー・バランスや自由貿易体制の先行きに不透明感が漂う中で、日豪の結束を改めて内外にアピールした格好だ。

日豪首脳会談で握手を交わす安倍晋三首相(左)とマルコム・ターンブル首相(Photo: AFP)
日豪首脳会談で握手を交わす安倍晋三首相(左)とマルコム・ターンブル首相(Photo: AFP)

安倍首相のオーストラリア訪問は、2014年7月以来2年半ぶりで、第2次安倍政権では2回目となった。今回は、フィリピン、オーストラリア、インドネシア、ベトナムの4カ国歴訪の一環。

13日夜に政府専用機でシドニー国際空港に到着した安倍首相は14日朝、ターンブル首相の私邸に近いシドニー東郊ワトソンズ・ベイをターンブル首相と散策した。市内のヒルトン・ホテル・シドニーで開催された日豪観光セミナーであいさつし、旅行先としての日本の魅力をアピール。同ホテルで開かれた日豪ビジネス会合にも出席し、日豪両国がイノベーション(技術革新)の分野で世界をリードすると表明した。

同ホテルでは、マイク・ベアードNSW州首相(当時)の表敬訪問も受けた。安倍首相は、多くの日系企業が進出しているNSW州と日本の関係強化に期待を示した。ベアード州首相は、同州進出日系企業への支援や文化、社会面での交流も活発にしたいと述べた。

自衛隊と豪国防軍の協力を強化

安倍首相はシドニー北郊キリビリにある連邦首相公邸で午後2時30分から約30分、ターンブル首相と日豪首脳会談を行った。発表によると両首脳は、両国が主唱する「開かれた国際貿易環境」の観点から、2015年発効の日豪経済連携協定(EPA)の成果を歓迎するとともに、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の実施が「必要不可欠な優先事項」であることを強調した。ただ、米国のトランプ新大統領が就任直後の大統領令でTPP離脱を宣言しており、米国が参加する形での実現は難しくなっている。

安保協力をめぐっては、両首脳は「より深い防衛協力を2017年に追求するよう」両国の防衛大臣に指示した。会談後、自衛隊と豪国防軍の間で相互の後方支援をより円滑にするための新たな「日豪物品役務相互提供協定(ACSA)」の署名に立ち会った。自衛隊と豪国防軍の間で共同運用と訓練をさらに円滑化する協定の交渉を今年中に妥結することにも期待を表明。両国の戦略的結び付きを強化することを再確認した。

また、両首脳は日本とオーストラリアのそれぞれの米国との同盟関係が引き続き重要であること、両国の平和と安全の要であること、地域の安定と繁栄を下支えするものであることを確認した。中国が海洋進出を加速する南シナ海をめぐる状況については「すべての関係国に対し、南シナ海における拠点の軍事化を含む、緊張を高め得る行動を避けるよう強く求めた」としている。東シナ海の状況についても「一方的または強制的な行動への反対」を改めて表明した。北朝鮮に対しては、核実験と弾道ミサイル発射の停止、人権侵害を終わらせること、拉致問題の解決を求めた。

会談後、安倍首相夫妻は首相公邸で開かれたターンブル首相夫妻主催の晩餐会に出席した。豪州側からハワード元連邦首相やビショップ外務貿易相ら、日本側からは三村日豪経済委員会会長ら両国の政財界の代表者が出席した。

安倍首相は翌15日朝、シドニー国際空港を出発し、次の訪問国インドネシアに向かった。

訪日旅行をトップ・セールス

オーストラリアを訪問中の安倍晋三首相は14日、市内のヒルトン・ホテルシドニーで開催された「日豪観光セミナー」で開会のあいさつを行い、海外旅行先としての日本の魅力をアピールした。

安倍首相は始めに「世界的なスキー・リゾートとなった北海道のニセコの魅力を全世界に広めてくれたのは、オーストラリアのスキーヤーの皆さんだ」と謝意を表明。「いつの日かターンブル首相と一緒にニセコでスキーを楽しみたい」と述べた。

1月14日、ヒルトン・ホテル・シドニーでスピーチを行った安倍晋三首相(写真:馬場一哉)
1月14日、ヒルトン・ホテル・シドニーでスピーチを行った安倍晋三首相(写真:馬場一哉)

また、首相は「日本全国各地の豊かな自然や温泉、地域の食材を生かした和食、温かな人々とのふれあいが、皆様をお待ちしている」と日本の魅力をアピール。オーストラリアについても「海岸リゾートを始めとしたダイナミックな自然や先住民文化に触れ、食とワインを楽しむことができる。オーストラリアは日本人を魅了してやまない」と語った。

その上で首相は、日豪双方向の人的交流を拡大するため、「まだ知られていない双方の(観光地としての)魅力の理解と発信に対する更なる協力をお願いしたい」と呼びかけた。

セミナーは日本政府観光局(JNTO)と日本旅行業協会(JATA)が開催し、現地の旅行業界関係者らが参加した。オーストラリア人の訪日需要拡大とともに、オーストラリアの日本人観光客市場の活性化についても、両国の専門家が意見を述べた。

スキー客など豪州から45万人訪日

オーストラリアでは、冬のスキー旅行を中心に訪日需要が順調に拡大している。オーストラリアからの訪日客数は5年連続で20%以上の伸びを続け、2016年の訪日客数は約45万人に達した。カンタス航空と全日空が2015年に相次いで羽田—シドニー線を開設するなど、日豪間の航空座席の供給数が拡大。15年の日豪経済連携協定(EPA)発効を背景に、観光だけではなくビジネス需要も拡大していると見られる。

一方、オーストラリア観光ブームだった1990年代には約90万人に達した日本人のオーストラリア訪問者数は近年、約3分の1の30万人前後の水準まで落ち込んでいたが、ここにきて復活の兆しが見え始めた。日本側の観光業界関係者によると16年は40万人以上に達したもようだ。


新しいNSW州首相に就任したグラディス・ベレジクリアン氏
新しいNSW州首相に就任したグラディス・ベレジクリアン氏

NSW州首相にベレジクリアン氏

電撃辞任したベアード氏の後任

NSW州与党自由党は1月23日、女性のグラディス・ベレジクリアン副党首(州財務相)を全会一致で新しい党首に選出した。これを受けて、ベレジクリアン氏は同日、第45代NSW州首相に就任した。19日に突然、家族の看病を理由に政界引退を表明したマイク・ベアード氏の後任。女性の同州首相は前労働党政権のクリスティーナ・ケネリー氏(在任期間:2009年~11年)に続いて2人目で、保守連合(自由党、国民党)政権では初めて。

ベレジクリアン氏は政策の優先課題として、州内のインフラ整備の加速、不動産高騰を背景に住宅の購入が難しくなっている状況を改善すること、雇用創出を軸とした力強い経済成長、の3点を挙げた。

同氏は同性愛結婚に賛成の立場を取るなど、保守政党の自由党内でもリベラル派として知られる。公共放送ABCによると、党内右派のドミニック・パロテット氏を副党首に迎え入れることで党内融和を図り、党首指名を実現したという。

1970年シドニー生まれの46歳。アルメニア系移民の2世。会見で同氏が明らかにしたところによると、父は来豪後、溶接などの作業員としてシドニー・オペラ・ハウスの建設に従事。母は家族を養うために15歳で学校を辞め、看護師として働いていた。幼少時にアルメニア語で育った同氏は、小学校入学時に英語を一言も話せなかったという。

その後、シドニー大で学士号、ニュー・サウス・ウェールズ大学で修士号を取得。93年に自由党に入党し、党のNSW州青年部代表、コモンウェルス銀の管理職などを経て、03年の州議会議員選挙でシドニー北部ウィロビー選挙区から立候補して初当選した。オファレル政権で州交通相に抜擢され、ベアード政権で州財務相、州産業関係相を歴任した。


事故現場で犠牲者を悼む人びと(Photo: AFP)
事故現場で犠牲者を悼む人びと(Photo: AFP)

邦人含む5人が犠牲に

メルボルン中心街で車暴走
――テロとは無関係

メルボルン市内中心部のバーク・ストリート・モールで1月20日午後、乗用車が通行人らをはねる事件があった。24日までに日本人男性1人を含む5人が死亡、30人以上が負傷した。

警察は、車を運転していた26歳の男を銃撃した後、身柄を拘束した。男は警察の保護下で、病院で治療を受けている。

警察によると、男は同日午後1時45分ごろ、現場近くのスワンストン・ストリートとフリンダース・ストリートの交差点で、アクセルを踏み込んでタイヤを空転させる「バーンアウト」と呼ばれる暴走運転を開始。この直後に、スワンソン・ストリートからバーク・ストリートに入り、モールの歩道に突入して次々と買い物客らをなぎ倒した。

警察は事件とテロの関連を否定している。男は故意に通行人をはねたもようだ。男は同日未明に兄弟を刺傷した疑いが持たれている。現時点で動機は不明だが、男はこれまでも複数の暴力事件に関与。警察は違法薬物や精神疾患との関連を調べている。


ゴールドコーストの豪邸も「爆買」
中国人投資家、300軒以上購入

中国人投資家がゴールドコースト(GC)の超高級住宅を次々と購入している。中国人がこの10カ月間に1,000万ドル以上で手に入れたGCの豪邸は5軒あり、合計の購入価格は6,000万ドルに達している。1月6日付の地元紙「ゴールドコースト・ブルティン」が伝えた。

最近、1,100万ドルで中国人に売却されたGCのホープ・アイランド・リゾート内にある邸宅「セールズ」は、ベットルーム7室、バスルーム10室、8台分の駐車場、オフィス、会議室、大型船が停泊できる船着き場などを備えた3階建ての豪邸だ。1,325万ドルのマーメイド・ビーチの物件や、1,100万ドルのクロニン・アイランドの物件なども中国人の手に渡っている。

地元の不動産関係者によると、GCの海沿いにある豪邸は、これまでも海外の富裕層の投資対象となってきた。バブル期の日本人の投資ブームに始まり、アラブ首長国連邦、ロシアなどの富裕層が触手を伸ばしてきたが、近年は中国人の投資ブームが加速している。2016年に中国人がGCで購入した邸宅は合計300軒以上に達しているという。

オーストラリア国内では、中国人をはじめとする外国人投資家の不動産投資が、住宅価格の高騰を招いているとの懸念が高まっている。連邦政府は15年12月、外国人が不動産を取得する際の申請手数料を引き上げ、違法な取得に対する取り締まりを強化するなどの対策に乗り出しているが、中国人の投資熱は衰えるどころか更に勢いを増しているようだ。

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