2017年5月 ニュース/総合

ペンス米副大統領が来豪

ターンブル首相と会談--北朝鮮めぐり中国に「より強い行動」要求

4月22日、シドニーの連邦総督公邸で会談したマイク・ペンス米副大統領(左)とマルコム・ターンブル首相(Photo: AFP)
4月22日、シドニーの連邦総督公邸で会談したマイク・ペンス米副大統領(左)とマルコム・ターンブル首相(Photo: AFP)

マルコム・ターンブル首相は4月22日、4カ国歴訪の一環でオーストラリアを訪問したマイク・ペンス米副大統領とシドニーで会談した。緊張が高まっている朝鮮半島情勢について、ターンブル首相とペンス副大統領は「北朝鮮に誰よりも強い影響力を持つ中国に、より強いコミットメントを求める」ことで一致した。

会談後の共同記者会見で首相は、豪米同盟の重要性を再確認した上で、シリアのアサド政権、自称「イスラム国」(IS)、北朝鮮に対して、トランプ米政権と連携していく姿勢を強調した。北朝鮮をめぐってペンス氏は「中国が北朝鮮と問題を解決出来なければ、米国と同盟国がやる」と軍事行動も辞さない姿勢を改めて示した。

一方、ターンブル首相は、オーストラリアが対北朝鮮の軍事行動に参加する可能性について「現時点では、我々の外交努力は極めて重要だ。中国が責任を持って対応を強化すると確信している」と述べるにとどめた。

豪州も北朝鮮有事に備え

緊張が高まっている朝鮮半島の有事に備えて、米国の同盟国である豪州も対応を強化しているもようだ。4月11日付の地元紙「デイリー・テレグラフ」(電子版)によると、北部準州のアリス・スプリングス近郊パイン・ギャップにある豪米共同基地の衛星レーダーが、北朝鮮のミサイル発射を索敵しているもようだ。

同紙は情報当局者の話として「故・金日(キム·イルソン)成首席の誕生日である4月15日の前後に、北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験を行うかもしれない。発射されたミサイルを米国が撃ち落とす可能性を視野に、豪州などの同盟国は即応体制に入った」と報じていた。

実際に北朝鮮は16日、ミサイル1発を発射したが、直後に爆発して失敗したと伝えられている。次回は25日の「朝鮮人民軍創建85周年」前後に、ミサイル発射や核実験などなんらかの挑発行動に出る可能性が指摘されている。

米軍は8日、オーストラリアに向かう予定だった原子力空母カール・ビンソンを主力とする空母打撃群を急きょ、朝鮮半島近海に派遣すると発表していたが、実際はゆっくりと北上していたことが分かった。空母打撃群は「数日中」(ペンス副大統領)に日本海に到着する見通しだが、24日付の公共放送ABC(電子版)によると、北朝鮮はカール・ビンソンを「一撃で沈める」と威嚇。米国の同盟国であるオーストラリアも有事になれば核攻撃の対象となることを示唆している。


首相、米軍のシリア攻撃支持
化学兵器使用「世界は許さない」

マルコム・ターンブル首相は4月7日、米軍によるシリアのアサド政権軍への巡行ミサイル攻撃を支持すると表明した。首相はマリース・ペイン国防相と同日午後に会見を行い、「我々が、世界が、化学兵器の使用を許さないという極めて重大なシグナルを送った」と述べた上で、「米国の敏速な行動を支持する。シリアの化学兵器使用が終わることを祈る」と言明した。

米軍がアサド政権軍を攻撃したのは今回が初めて。ターンブル首相によると、オーストラリア国防軍は参加していない。同日朝に米国のジム・マティス国防長官から電話で事前通告を受けたという。アサド政権軍は4日、シリア国内の反政府勢力支配地域に対してサリンと見られる化学兵器を使用し、女性や子ども、幼児などの民間人を含む70人以上が死亡したとされる。対抗措置として米軍は7日、地中海に展開する2隻の海軍艦船から巡行ミサイル59発を発射し、化学兵器攻撃の拠点となったとされるシリア西部の空軍基地を攻撃した。

公共放送ABCのゾー・ダニエル・ワシントン支局長は7日、同テレビのニュース番組で、中国の習近平首席の訪米中というタイミングで米軍が攻撃に踏み切ったことについて「ドナルド・トランプ米大統領は、そばにいる習首席に対して『タフな男』を演出し、核不拡散を念頭に中国が北朝鮮により強硬な態度を取るよう迫った形だ」との見方を示した。

オーストラリアはイラクとシリア領内で、米国主導の有志連合による自称「イスラム国」(IS)への空爆に参加している。ISはシリア国内で他の反政府勢力と共にアサド政権軍と対峙している。一方、アサド政権の後ろ盾となっているロシアは、対ISでは米国と利害が一致しているが、今回の米軍のアサド政権軍への攻撃には強く反発しており、シリア内戦は混迷の度合いを深めている。

米軍が今後もアサド政権軍への武力行使を続ける事態になれば、同盟国オーストラリアの対応も焦点となる。


457ビザ、2つの新ビザに移行

発効要件を厳格化̶連邦政府

連邦政府は4月18日、一時就業技能ビザ「サブクラス457」を廃止し、国内で人材が不足している技能職を補うビザ「テンポラリー・スキル・ショーテージ=TSS」新たに導入すると発表した。マルコム・ターンブル首相は会見で「オーストラリア人の雇用と価値観を最優先する」と述べ、国益に合致した移民政策を推進すると強調した。

連邦政府は、今回の変更により一時就業ビザを短期と中期の2種類に細分化する。一時就業ビザの対象となる「職業リスト」を絞り込み、一部の情報通信(IT)技術者など200以上の職種を既に除外した。英語能力テストや無犯罪証明、現地の人材で賄えないことを証明する「労働市場テスト」などビザの発給基準をより厳しくする。

新しい一時就業ビザは2種類。①国内で人材が不足している技能を持つ外国人を対象とした最大2年間有効の短期就業ビザは、1度しか更新が出来ない。英語力はIELTSで平均5以上(1科目最低4.5以上)。②より高い技能を持つ外国人を対象とした最大4年間有効の中期就業ビザは、条件を満たせば3年後に永住ビザへの切り替えが可能。英語力はIELTSで1科目最低5以上が要求される。いずれも同じ仕事で最低2年の職務経験が必要になる。

改正の背景には、「外国人に雇用を奪われている」という批判に応えざるを得ないターンブル政権の政治的な事情がある。米国も先に就業ビザの厳格化を発表しており、オーストラリアに続いてニュージーランドも同様の政策を打ち出した。自国第一の流れが強まる中で、邦人にとって英語圏での海外就職をめぐる状況は厳しさを増している。

来年3月廃止、永住ビザも変更

今年4月18日時点で発給されている457ビザは有効だが、申請中の人は職業リストの変更などによってビザを取得出来なくなる恐れがある。同日以前に申請して発給を待っている人のうち、職業リストの変更によってビザが取得出来なくなった人は、申請料金の払戻しを受けることが出来る。現時点で一時就業ビザ保持を保持している人も、職種によっては更新時に影響を受ける可能性がある。

新しいビザの導入に先立ち、政府は段階的に一時就業ビザ制度を改正する。既に4月19日に457ビザの職業リストの数を651から435に削減した。今年7月1日には同ビザの職業リストを再度見直すと共に、英語力テストの免除措置(年収9万6,400ドル以上の申請者)を撤廃する。今年12月31日までに457ビザ保持者の納税記録をオーストラリア国税局(ATO)と共有し、給与が規定通り支払われているかどうかも監視する。2018年3月に457ビザを廃止し、2種類の新ビザを導入する。

457ビザで滞在している日系企業の駐在員、現地採用者、今後現地での就職を検討している邦人は、今後も連邦政府が発表する最新情報に注意したい。影響を受ける可能性がある人は、ネットなどに拡散したうわさに惑わされず、有資格の移民申請代理人の助言を参考にする必要がある。

一時就業ビザの改正に合わせて、雇用主指名永住ビザの発給要件も見直す。同じく職業リストの数を削減する他、ビザの種類によっては申請時の年齢制限を45歳に引き下げる。外国人の市民権(国籍)取得の要件も改め、「オーストラリア人の価値観」を受け入れることをより厳しく求める他、家庭内暴力や暴力組織に関わった過去を持つ人を排除するなど審査を厳格化する。


警察、テロの証拠発見―NSW州で襲撃事件、4人死傷

NSW州南部クイーンビアンと首都特別地域で4月7日未明、少年2人がガソリン・スタンドなどを次々と襲撃する事件が起きた。ガソリン・スタンド従業員のパキスタン出身の男性(29)が刃物で刺されて死亡し、3人が負傷した。警察は同日朝、盗難車で逃走中の16歳と15歳の少年2人を逮捕。15歳の少年を殺人、強盗、傷害など、16歳の少年を傷害の容疑で、それぞれ起訴した。

現時点ではテロ関連の容疑はかけられていないが、警察はテロ関連の事件であることを示す証拠が見つかったとしている。9日付の地元紙「デイリー・テレグラフ」は、犯行現場のガソリン・スタンドに血で「IS」(自称「イスラム国」の頭文字)と書かれた文字が発見されたと報じた。

オーストラリア国内ではこれまでも、イスラム過激思想の信奉者による一匹狼型のテロ事件が散発している。2014年9月にはメルボルン郊外で18歳の少年がナイフで警官2人を襲い、重傷を負わせた。14年12月にはシドニー市内のカフェでライフル銃を持った男が立てこもり、銃撃戦で人質2人が死亡。15年10月にはシドニー西部パラマタのNSW州警察本部前で、15歳の少年が警察職員を銃で殺害している。


ベレジクリアンNSW州首相が3月13日、AJCN宛てに送った手紙
ベレジクリアンNSW州首相が3月13日、AJCN宛てに送った手紙

「慰安婦像」反対の募金活動

多文化社会の分断を阻止したい

在豪邦人の有志が参加する草の根のグループ「オーストラリア・ジャパン・コミュニティー・ネットワーク」(AJCN)はこのほど、いわゆる「慰安婦像」に反対する募金活動を開始した。

AJCNは2014年4月以来、多文化社会の分断につながるとして、韓国系の反日団体による「慰安婦像」設置の動きに反対してきた。15年8月には、シドニー西郊ストラスフィールド市議会で、同市内の公園で計画された像の設置提案否決を勝ち取った。ところが、像はその後、同西郊アッシュフィールドにあるユナイティング・チャーチ(合同教会)の敷地内に仮置きされた。

このため、AJCNは昨年12月、人種差別法に基づいて、教会の全国組織と地域の責任者をオーストラリア人権委員会に提訴した。安倍晋三首相は1月14日、マイク・ベアード前NSW州首相に日本政府としての懸念を表明。岸信夫外務副大臣も2月20日、グラディス・ベレジクリアン現州首相に懸念を伝えた。これを受けて、ベレジクリアン州首相はAJCNの江川純世事務局長宛ての手紙で「NSW州政府は問題を認識しており、日本人社会の深い懸念を理解している」と応じた。

AJCNはメンバーの手弁当で活動しており、提訴に必要な弁護士費用を全て負担出来ないため、募金活動を始めることになった。江川事務局長は「オーストラリアのマルチカルチュラル・コミュニティー(多文化社会)の分断を防ぎ、日系子女の安全、安心な生活を確保するため、ぜひこの募金活動にご協力をお願いいたします」と呼びかけている。

■AJCN募金活動
◎オンライン(クレジット・カード)Web: www.gofundme.com/t2nvb
◎口座振り込み先(日本)ゆうちょ銀行 店番:019  預金種:当座 口座番号:0324225 口座名:AJCN
◎口座振り込み先(オーストラリア)Commonwealth Bank/BSB: 062-236/Account Number:10196299/Account Name: Sumiyo Egawa(記事欄にDonation AJCNと記入)
◎AJCNの活動の詳細Web: jcnsydney.blogspot.com.au


在留期間10年以上の邦人は再び利用可能に
ジャパン・レール・パス

日本のJRグループは3月31日、訪日外国人がJR全線で利用出来るフリー切符「ジャパン・レール・パス」の利用資格を6月1日から見直すことを発表した。日本のパスポートと「在留期間が10年以上であることを確認出来る書類で、在外公館で取得したものなど」を持っている場合に限り、再び利用出来るようになる。具体的な確認書類については、5月下旬に同パスのウェブサイトで公開する予定だという。

同パスは原則として短期滞在の資格で訪日する外国人が対象だが、これまでは永住権保持者など一定の条件を満たしている海外在住の日本人にも利用を認めていた。しかし、海外在住の日本人への発売を今年3月31日に終了したため、同パスを長年利用してきた在外邦人から反対の声が上がっていた。

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