2017年6月 ニュース/総合

2億6,000万ドルの負担増—ウエストパック銀
連邦政府の新しい銀行税導入で

豪4大銀行の1つ、ウエストパック銀は5月22日、大手銀への増税策による負担が年間2億6,000万ドルに達するとの見通しを明らかにした。増税の対象となる4大銀行と投資銀行マッコーリー銀の5行のうち、具体的な負担額の見通しを公表したのはウエストパック銀が初めて。

同日付の公共放送ABC(電子版)によると、ウエストパック銀は投資家向けの書簡の中で「悪い公共政策」だと増税策を批判した。その上で、新税導入に掛かる同行のコスト負担について、2017年9月30日までの今年度下期で約6,500万ドル、来年度の1年間で約2億6,000万ドルと予想した。

また、新税は外国銀行を対象にしていないことから、同行は「オーストラリアの投資家よりも海外の投資家を優遇するものだ」と指摘。①外国銀行からも徴税すること、②恒久財源とするのではなく期限を設定すること、の2点の法案修正を求めている。

連邦政府は先の17/18年度予算案で、歳出増加策の目玉の1つとして大手銀への新たな課税策を発表した。議会での法案成立を経て、新年度が始まる今年7月1日からの施行を目指している。

銀行業界は、増税で大手銀の収益が悪化すれば預金者や株主の不利益につながるとして、反発を強めている。


シドニー空港会社、第2空港の開発と運営を拒否
「投資家に還元出来ないリスク大きい」

シドニー国際空港(キングスフォード・スミス空港)を運営するシドニー空港会社は5月2日、連邦政府が2026年の開港を目指す西シドニー空港の開発・運営にかかわらない意向を表明した。投資に見合った利益を還元出来ないリスクが大きいと判断した。

シドニー空港会社は同日付のオーストラリア証券取引所(ASX)の投資家に宛てた声明で「新空港がシドニー西部に雇用と莫大な投資をもたらすことに疑いの余地は無い。シドニー圏で航空便の供給が拡大することは、NSW州の経済活動や観光産業にとって国内的にも国際的にも非常に価値がある」として、新空港建設の重要性については認めた。

その上で、同社は連邦政府が示した西シドニー空港の開発・運営に関する提案を退けた。「数百万人の国民のスーパーアニュエーション(年金)基金を代表する投資家の利益」を考慮した結果、「(財務上の)リスクが非常に大きく、投資家に利益を還元することが、数十年間にわたって出来なくなる」と結論付けた。

連邦政府は昨年12月、新空港の開発・運営への関与を同社に提案。同社は受け入れの是非を検討してきた。同社が提案を拒否したことを受けて、連邦政府は先の新年度予算案で国営の「西シドニー空港公社」を設立することを決めた。

現在のシドニー国際空港は、航空需要の拡大を受けて近く供給能力が飽和状態に達すると予測されている。3本ある滑走路を増設出来る余地は無く、騒音対策で夜間の離発着も禁じられているため、これ以上の供給能力拡大は難しい。第2空港の建設構想は数十年前からあったが、連邦政府は14年4月になってようやくシドニー西部バジェリーズ・クリークに第2空港を建設する計画を発表していた。


ノートPC機内持ち込み、一部で禁止検討
テロ対策-米英は中東路線で導入済み

マルコム・ターンブル首相は、一部の航空路線の機内にラップトップ・コンピューターなどの電子機器を持ち込むことを禁止する措置を検討していることを明らかにした。公共放送ABC(電子版)が16日、報じた。

首相は現時点で直ちに導入するつもりはないとしたで「海外からの情報と助言を考慮し、関係国と緊密に連携している」と述べ、一部のフライトについて持ち込み禁止を検討していると指摘した。禁止が決まれば、連邦交通相が発表するとしている。

米国と英国は今年3月、電子機器の内部に爆発物を仕込んだ新手のテロ攻撃を防ぐため、イスラム教徒が多い中東や北アフリカの国・地域発のフライトを対象に、ラップトップ・コンピューターやタブレット、ポータブルDVDプレイヤー、デジタル・カメラなどの持ち込みを禁止している。

なお、米ワシントン・ポスト紙は15日、トランプ米大統領がロシアのラブロフ外相との10日の会談で、自称イスラム国(IS)に関する高度な機密情報をロシア側に漏えいした疑いについて報じた。機内でのラップトップ・コンピューターの使用に絡むテロの危険に関する情報も含まれるという。


5月4日、ニューヨークで豪米首脳会談を行ったマルコム・ターンブル首相(右)とドナルド・トランプ米大統領(Photo: AFP)
5月4日、ニューヨークで豪米首脳会談を行ったマルコム・ターンブル首相(右)とドナルド・トランプ米大統領(Photo: AFP)

トランプ大統領就任後初の豪米首脳会談

両首脳の緊密な関係アピール

マルコム・ターンブル首相は米東部時間の5月4日(豪東部時間5日)、ニューヨーク市内でドナルド・トランプ米大統領と初の豪米首脳会談を行った。両首脳は今年初めの電話会談で難民引き渡し協定を巡り激しい口論になったと報じられ、豪米関係に隙間風が吹いたとされるが、トランプ氏は電話会談に関する報道について「フェイク・ニュース」(偽ニュース)だと一蹴した。5日付の公共放送ABC(電子版)が伝えた。

首脳会談は、ニューヨーク市内ハドソン川に浮かぶ米海軍の退役空母「イントレピッド」の艦上で行われた。トランプ氏は会談後、問題の電話会談について「君たち(報道陣)が誇張したんだ。僕たちは赤ん坊じゃない。電話会談はすばらしかった。私の印象では、あれ(報道)はいささかフェイク・ニュースだ」と述べ、首脳間の緊密な関係をアピールした。トランプ氏はその上でオーストラリアについて「地球上で最も美しい場所の1つだ。友達もたくさんいる」と述べ、早期の訪豪を実現させたい考えを示した。

強固な豪米同盟強調

両首脳はその後、同艦上で開かれた珊瑚海海戦75周年を記念する夕食会に出席した。有名プロゴルフ選手のグレッグ・ノーマン氏やメディア王のルパート・マードック氏ら、オーストラリア出身の著名人や政財界の関係者が臨席した。

珊瑚海海戦は75年前の1942年5月、オーストラリア北東沖の海域で日本軍と豪・米の連合軍の間で行われた史上初の空母同士の戦い。ターンブル氏はスピーチで同海戦について「勝利のために米国とオーストラリアの海軍兵と空軍兵600人以上が命を落とした。我々の自由は、敵(日本軍)と勇敢に戦った彼らにもたらされたものだ」と語り、豪米同盟の力強い絆を強調した。

トランプ氏は、中東での豪国防軍の貢献に謝意を示した上で、「歴史と全能の神への信心を共有する2つの国(豪米)を愛している。旧交を温め、繁栄と恒久的な平和のために、末永い協力関係を誓う」と演説した。

会談に先立ち、ターンブル氏はハリー・ハリス米太平洋軍司令官と会談し、緊迫する朝鮮半島情勢を始め安保問題について意見を交換した。ニューヨーク市警察の対テロ作戦司令部も視察した。

トランプ氏は同日、首都ワシントンの下院議会で選挙公約の「オバマケア」(医療保険制度改革)廃止法案を小差で可決に持ち込んだ。このため、ニューヨーク入りがずれ込み、首脳会談は予定より約3時間遅れて行われた。

「豪健康保険制度はベター」とトランプ氏

トランプ米大統領は5日(現地時間)、自身のツイッターに「オーストラリアの健康保険制度は、我々(米国)のものよりも優れている。オバマケア(医療保険制度改革)は死んだ!我々のヘルス・ケア制度もすぐに偉大なものになる」と投稿した。

外交上のリップ・サービスとしてオーストラリアの健康保険制度を持ち上げただけで、同様の制度を米国で採用するつもりはないようだ。トランプ氏は4日、ターンブル首相と就任後初の豪米首脳会談を行ったが、この日は会談に先立ち、米下院でオバマケア廃止法案が可決されていた。

オーストラリアは日本と同様に国民皆保険制度を採用する。民間健康保険に加入しなくても、「メディケア」(国民健康保険)制度によって、全ての国民が基本的な医療サービスを受けることが出来る。一方、国民皆保険制度を採らない米国では、民間健康保険に加入していない貧困層は病気にかかっても治療を受けられないという問題があった。

オバマ前大統領は幅広い国民が医療保険に加入出来るよう制度を改革したが、これが保険料の高騰につながり、国民負担の増大を招いたと批判を受けた。このため、トランプ氏は大統領選挙でオバマケア廃止を公約の目玉の1つに掲げていた。


WA州にあるBHPのニューマン鉄鉱石鉱山(Photo: BHP)
WA州にあるBHPのニューマン鉄鉱石鉱山(Photo: BHP)

BHPのブランド名変更、豪州のルーツ前面に
豪英系資源最大手、「物言う株主」に対抗

株式時価総額で世界最大手の資源企業、豪英BHPビリトン5月15日、会社のブランド名とロゴから「ビリトン」を取って「BHP」に変更したと発表した。オーストラリア企業としてのルーツを強調する広告キャンペーンも開始した。株主の利益を最大化するため本社を英国に一本化するべきだと主張する「物言う株主」に対抗する狙いがありそうだ。

同社は2001年、NSW州西部の鉱業都市ブロークン・ヒルに源流を持つオーストラリアの資源大手ブロークン・ヒル・プロプライエタリー(BHP)と、南アで主に操業する英資源大手ビリトンが合併して発足した。メルボルンとロンドンに本社を構え、オーストラリア証券取引所(ASX)とロンドン証券取引所(LSE)に上場している。これに対し、大株主のファンド・マネジャーである米エリオット・アソシエーツは先頃、二元上場を廃止して本社を一本化するべきだと主張していた。

連邦政府は2社の合併案が浮上した当時、オーストラリアを代表する大企業の海外流出は認められないと判断。拠点をオーストラリアに残すことを条件に、2社の合併を承認した経緯がある。今回のエリオットの主張についても、国益にそぐわないとして反対している。

BHPのジェフ・ヒーリー渉外担当取締役は声明で「広告キャンペーンは、我が社が持つオーストラリア企業としての伝統の大切さと、地域社会への貢献について語りかけるものだ」とした上で、「ロゴをオーストラリア人に長年親しまれてきたブランドであるBHPに変更した」と述べた。

同社は既に旧ビリトンの主力事業だった南ア部門を分離・独立させている。株主総会の承認が必要なため、正式な社名は変更していない。


クリーンな水素エネルギーの技術開発に取り組むCSIROの研究員(Photo: CSIRO)
クリーンな水素エネルギーの技術開発に取り組むCSIROの研究員(Photo: CSIRO)

水素エネルギーに画期的な技術開発

特殊な金属皮膜でアンモニアから水素取り出す

オーストラリア発の新技術が、再生可能な水素エネルギーの普及に画期的な技術的進歩をもたらすかもしれない。豪連邦科学産業研究機構(CSIRO)はこのほど、特殊な金属製の皮膜でアンモニアから水素を分離出来る技術を開発したと発表した。輸出産業としての発展も期待出来るという。

CSIROが想定する水素エネルギー供給のモデルは次の通り。

まず、海水を浄化して水(H2O)から電気分解で水素(H2)を取り出し、空気から電気分解した窒素(N2)と反応させてアンモニア(NH3)を精製する。いずれの工程でも、太陽光や風力で発電した電力の使用を想定しているため、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しない。精製したアンモニアは、液化天然ガス(LNG)タンカーなどで海外に輸出する。

技術革新のポイントは、CSIROが開発した特殊な金属製の皮膜にある。輸出先の消費地にある施設で、この技術を使ってアンモニアから水素を取り出す。日本や韓国、欧州などへ輸出し、燃料電池車などのエネルギーとして利用することを視野に入れている。

水素は有力な次世代エネルギーとして期待されているが、密度が非常に低いため、低温で液体化しても長距離を大量に輸送しにくいという難点がある。その点、アンモニアの状態では運びやすく、LNGタンカーなどの既存のインフラも流用出来る。

また、製造段階で再生可能エネルギーだけを使った水素の供給システムが確立されれば、クリーン・エネルギーの普及が加速する可能性がある。水素を使用する燃料電池は使用時に水しか排出しないため「究極のクリーン・エネルギー」と言われているものの、現状では天然ガスや石油といった化石燃料から水素を取り出す方法が主流だ。埋蔵量に限界がある化石燃料を原料に使用している他、精製の段階で二酸化炭素を排出するため、必ずしもクリーンとは言えないとの見方がある。

CSIROの研究には、燃料電池車の開発に力を入れるトヨタ自動車を始め、韓国現代自動車、工業用ガス大手の英BOCといった民間企業も支援している。現状では基礎技術が確立された段階。どこまでコストを低く抑えられるかは不明だが、中長期的には世界のエネルギー供給に大きなインパクトを与える可能性もありそうだ。


ウーバー普及でタクシー運転手が悲鳴
WA州政府は救済策を検討中

ライドシェア(相乗り)サービス大手の米ウーバー・テクノロジーの配車サービスの普及によって、タクシー運転手が大きな打撃を受けている。売上が大幅に減り、「タクシー・プレート」と呼ばれる個人タクシーの営業権の相場も急落しているためだ。公共放送ABC(電子版)が伝えた。

パースで個人タクシーを営む女性ドライバーのデブ・パパマイケルさん(57)は6年前の2011年、銀行でローンを組んで、32万ドルでタクシー・プレートを購入した。ところが、その後、ウーバーが急速に普及し、最近は真夜中まで運転しても1日当たり100ドル以上稼ぐことが難しくなってきた。ローンの支払いが滞ってきたため、銀行は担保の自宅の差し押さえを検討している。家を追われれば、パパマイケルさんは一緒に住んでいる娘と娘婿、孫と共に路頭に迷うことになるという。

WA州政府は先に、困窮するタクシー運転手への救済策を検討すると発表。ウーバーの普及によって急落したタクシー営業権を、従来の価格で買い戻す制度を導入する方針を示した。財源として、配車サービスへの課税も視野に入れている。

ABCによると、同州のタクシー営業権の相場は、ウーバーのサービス開始前は20万~30万ドルだったが、現在では10万ドル以下にまで下落しているという。

州政府は年内をめどに救済策をまとめる方向だが、パパマイケルさんは「州政府が何らかの救済策を導入してくれなければ、私はもう終わり。(救済策は)今すぐ必要だ。決まったころには、私は公園のベンチで寝ているかもしれない」と話している。


税金詐欺、被害額は1億6,500万ドル
連邦警察、国税局幹部の息子を逮捕

連邦警察は5月18日、オーストラリア国税局(ATO)から少なくとも1億6,500万ドルをだまし取ったとして、マイケル・クランストンATO副長官の息子でシドニー東部ボンダイ・ビーチ在住のアダム・クランストン容疑者(30)らを逮捕した。ATOは幹部の息子が大規模な税金詐欺に関わっていたことに衝撃を受けている。公共放送ABC(電子版)が同日、伝えた。

同容疑者は詐欺集団の主犯格と見られる。企業の給与支払いを代行する会社を設立して資金を集め、契約業者を通して給与を支払っていた。犯行グループのフロント企業と見られる契約業者が給与税分を納税せずに着服。資金洗浄した巨額の現金を貯め込んでいた模様だ。

連邦警察はこの日、シドニーの28カ所で一斉捜索を行い、同容疑者の他副長官の娘ら合計9人を逮捕。犯行グループが蓄財していたとされる航空機2機、住宅18戸、高級スポーツ・カーなど自動車25台、バイク12台、現金100万ドル、銀行預金1,500万ドル、銃、貴金属、絵画、高級ワインなどを押収した。

ATOは、クランストン副長官が事件に直接、犯行を手引きした可能性は低いと見ているが、ATO内部の職員2人も事件に関わった疑いがあるという。クランストン副長官は6月13日、シドニーの裁判所に参考人として出廷する。

同容疑者は保釈金30万ドルを支払い、出国しないことを条件に保釈された。


シドニーFCが完全優勝—サッカーAリーグ

今季のサッカーAリーグは、シドニーFCの完全優勝(レギュラー・シーズン優勝と年間優勝の同時達成)で幕を閉じた。Aリーグは7日、シドニー・フットボール・スタジアムで年間優勝を決めるグランド・ファイナルを行い、レギュラー・シーズン覇者のシドニーFCが同2位のメルボルン・ビクトリーを破った。

メルボルンは前半、FWベリシャが先制。シドニーは後半、DFグラントがいったんポストに弾かれたシュートを近距離から押し込んで同点とした。延長戦で勝負は付かずPKにもつれ込んだ。シドニーFCはGKブコビッチの好セーブでPKを4-2で制した。

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