2017年9月 ニュース/総合

北朝鮮が米国を攻撃した場合、豪米安保条約を発動すると言明したマルコム・ターンブル首相(左)と、米国のドナルド・トランプ大統領
北朝鮮が米国を攻撃した場合、豪米安保条約を発動すると言明したマルコム・ターンブル首相(左)と、米国のドナルド・トランプ大統領

首相「北が攻撃すれば米を支援」

アンザス条約発動を明言

マルコム・ターンブル首相は8月11日、北朝鮮が米国を攻撃した場合、豪州も軍事行動に参加する考えを表明した。北朝鮮が発表したグアムへのミサイル発射計画をめぐる米朝の緊張が高まる中で、同盟国・米国と足並みをそろえて有事に即応する。

民放ラジオのインタビューでターンブル首相は、経済制裁や中国の影響力行使による外交的な解決に期待を示した。その上で首相は「このことは明確にしておきたい。米国が北朝鮮の攻撃を受ければ、アンザス条約(豪・NZ・米3国安全保障条約)が発動され、豪州は米国を支援する。豪州が攻撃を受ければ、米国が(豪州を)支援する」と述べた。

また、首相は「防衛においては豪米は一心同体。米国との同盟は豪州の安全保障の根幹だ」と強調した。首相は豪米同盟の絆を示す例として、2001年の米同時多発テロ直後、当時のジョン・ハワード首相が直ちにアンザス条約を発動し、豪州が米国主導のアフガニスタン侵攻に参加したことを挙げた。

一方、韓国が配備を進めている高高度防衛ミサイル(THAAD)の豪州国内への導入について、首相は現時点で検討していないことを明らかにした。THAADについて首相は「短距離または中距離のミサイルに対して比較的狭い地域の防衛を想定しており、北朝鮮が最近発射実験を行っている長距離の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の防衛には適していない」と指摘した。

北朝鮮のICBMの射程距離が伸びれば、豪州の本土防衛にとって大きな脅威となる。このため豪州では、最新鋭のミサイル迎撃システムの導入を急ぐべきだとの声も出ている。


人気料理番組「マスターシェフ·オーストラリア」の日本特集で寿司の調理を学ぶ出演者たち。ウェブサイト(tenplay.com.au/channel-ten/masterchef)で全編の動画を視聴できる
人気料理番組「マスターシェフ·オーストラリア」の日本特集で寿司の調理を学ぶ出演者たち。ウェブサイト(tenplay.com.au/channel-ten/masterchef)で全編の動画を視聴できる

訪日豪州人、7月も過去最高
前年同月比3.4%増の3万400人

日本政府観光局(JNTO)が8月16日に発表した統計によると、2017年7月に豪州から日本を訪問した外客数は3万400人と前年同月比で4.3%伸びた。6月に続き、7月としての過去最高を記録した。

1~7月の累計は29万2,900人と前年同期比11.6%増えた。引き続き2桁台の高い伸びを維持している。豪州人の需要が高いスキー・シーズンを迎える年末に向け更に増加すると予想されることから、17年は16年に続いて年間で過去最高を更新し、50万人を突破する可能性もありそうだ。

JNTOは現状について「新聞広告やSNS、ウェブサイトなど、さまざまな媒体を活用した訪日プロモーションの効果が恒常的な訪日者数の増加を支えている」と指摘した。7月にはメディア招請の一環で人気料理番組「マスターシェフ・オーストラリア」で6日間連続の日本特集「ジャパン・ウィーク」が放映されたことから、今後の需要喚起につながると期待している。

全世界からの訪日外客数も7月は268万1,500人と前年同月比16.8%伸び、単月で過去最高を記録した。1~7月の累計は1,643万8,800人と前年同月比17.3%増加した。


同性婚の是非、郵便調査で問う

国民投票案は上院で否決

性的少数者の社会運動を象徴する虹色の旗「レインボー・フラッグ」がはためくシドニー東部テイラー・スクエア
性的少数者の社会運動を象徴する虹色の旗「レインボー・フラッグ」がはためくシドニー東部テイラー・スクエア

豪統計局(ABS)は8月10日、同性婚の是非を問う郵便調査を実施すると発表した。全有権者が対象だが、義務投票制を採る通常の選挙と異なり、郵便調査への参加は任意。「投票」ではなく「調査」の形を採ることから、豪選挙管理委員会ではなくABSが実施する。

ABSは9月に調査票の郵送を開始し、11月15日までに結果を公表する。調査結果は法的な拘束力も持たないが、連邦議会が結果を参考に婚姻法の改正を審議する見通し。賛成派のブランディス連邦法相は8日、公共放送ABCテレビで「同性婚は今年のクリスマスまでに合法化されるだろう」と述べた。

豪州では近年、性的少数者のカップルが通常の夫婦と同等の権利を持つべきだとの声が高まり、同性婚への支持が拡大している。与党保守連合内でもリベラル派のターンブル首相は賛成の立場だが、伝統的なキリスト教の家族観を重んじるアボット前首相ら保守派は反対。与党は有権者に判断を委ねる形で国民投票の実施を目指したが、野党は議会での審議を主張。国民投票案は野党が多数派を占める上院で2度否決されたため、与党は次善策として議会の承認が必要のない郵便調査に転換した。

ただ、性的少数者への偏見を助長するとして、賛成派の一部は郵便調査のボイコットを呼び掛けている。同性婚推進団体は10日、郵便調査を差し止めを求めて連邦最高裁に提訴した。

カンタスCEO、「イエス」呼び掛け

アラン・ジョイス氏(左)とトニー・アボット前首相(右)
アラン・ジョイス氏(左)とトニー・アボット前首相(右)

カンタス航空のアラン・ジョイス最高経営責任者(CEO)は8月21日、同性婚の是非を問う郵便調査で「イエス」(賛成)を呼び掛ける考えを示した。ジョイスCEOは会見で「私たちの従業員や顧客、株主にとって重要な問題。カンタスは結婚と性の平等、先住民の権利を支援をしている」と述べた。同日付の公共放送ABC(電子版)が伝えた。

アイルランド出身のジョイス氏は、2000年にカンタス航空に入社、08年からCEOを務めている。以前から自身が同性愛者であることを公言しており、今年3月に20人の著名財界人らで同性婚合法化を支持する運動を行った。

反対派、「信仰の自由」への影響懸念

一方、反対派の代表格であるアボット前首相は8月15日付の全国紙「オーストラリアン」に寄稿し、「是非を決めるだけではなく、(同性婚問題をめぐって分断した)社会を和解させる仕組みが必要だった」と述べ、国民に直接是非を問う方法が最善との認識を示した。

アボット氏は「同性婚が合法化された場合、信仰の自由や言論の自由がどのように保護されるべきかについて、賛成派は考えを明らかにしていないのは残念だ」と述べた。アボット氏ら反対派は、家族観をめぐる信仰上の自由が制限される恐れがあると主張している。

これに対して、アボット氏の実の兄弟でシドニー市議のクリスティーン・フォースター氏は、ツイッターで「同性婚と信仰の自由を関連付けようとしている人たちは、問題をごまかし、不安を煽っている」と批判した。同性のパートナーと暮らすフォースター氏は、同性婚をめぐり親族のアボット氏と対立を深めている。

世論調査で6割以上が賛成

調査会社ニューズポールは8月17~20日、同性婚に関する世論調査を実施した。21日付「オーストラリアン」が掲載した調査結果よると、同性婚の合法化に「賛成」と答えた人は全体の63%と前回調査(2016年9月)と比較して1ポイント上昇した。「反対」は30%と2ポイント低下した。「分からない」は7%(1ポイント上昇)だった。

年齢別では、若い世代ほど賛成派が多いという傾向がはっきりしている。賛成は18~34歳で70%、反対は65歳以上で47%とそれぞれ最も多かった。

賛成派の割合を支持政党別で見ると、左派の環境保護政党「グリーンズ」(緑の党)支持者が82%(反対13%)と最も高く、次いで中道左派の労働党が75%(反対19%)だった。中道右派の保守連合の支持者も55%(反対39%)、右派の「ワン・ネーション党」も50%(反対49%)が賛成しており、保守派の間にも同性婚の容認論が広がっている。


日本人観光客が戻りつつあるシドニー(Photo: Destination NSW)
日本人観光客が戻りつつあるシドニー(Photo: Destination NSW)

日本人観光市場は依然堅調

上半期約19万人――豪政府観光局

豪州の日本人観光市場は、依然として堅調に伸びている。2017年上半期(1~6月)に豪州を訪問した日本人の数は18万9,500人と前年同期比で5.9%増加した。6月単月では2万1,700人と前年同月比7.4%増となった。オーストラリア政府観光局が18日、オーストラリア統計局(ABS)の集計を基に発表した。

同政府観光局は「豪州は時差が少なく安全な旅行先であるというイメージが再認識されている」ことを日本人渡豪者数が引き続き増加している要因に挙げている。

日本人の渡豪者数は1990年代後半に90万人以上とピークに達したが、その後大幅に落ち込み、2010年代前半には30万人前後と最盛期のおおむね3分の1の水準まで縮小していた。ところが、近年になって豪州人の訪日需要を拡大を背景に直行便の新規就航が相次いだことなどから、日本人渡豪者数も増加に転じ、16年には8年ぶりに40万人を超えた。

豪州への短期訪問者数が多い上位10カ国・地域(2017年6月単月)

1 NZ 108,200人
2 中国 75,400人
3 米国 62,100人
4 シンガポール 48,800人
5 マレーシア 35,100人
6 インドネシア 30,800人
7 英国 28,400人
8 インド 24,200人
9 日本 21,700人
10 韓国 17,900人

同政府観光局は、7月以降も堅調に増加するとの見通しを示し、下半期の伸びにも期待している。日本航空が9月1日に成田・メルボルン間に定期直行便を就航させることや、カンタス航空が12月14日に関西空港・シドニー間に季節運航便を就航させることが追い風になると見ている。

同政府観光局は、2020年までに日本人渡豪者数年間70万人という中期目標を掲げている。

なお、ABSの統計によると、6月の短期渡航者数は国・地域別で1位NZ(10万8,200人)、2位は中国(7万5,400人)、3位は米国(6万2,100人)などの順に多かった。日本(2万1,700人)は9位にとどまっている。

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