2018年1月 ニュース/総合

同性婚合法化を支持したマルコム・ターンブル首相
同性婚合法化を支持したマルコム・ターンブル首相

同性婚認める法改正、下院で可決

「歴史的瞬間」とターンブル首相

世論を二分した同性婚論争が2017年内に決着した。同性カップルの結婚を認める婚姻法の改正案は同年12月7日、連邦下院で成立した。ピーター・コスグローブ連邦総督が8日署名し、発効した。1カ月間の周知期間を経て、同性婚は18年1月9日以降、正式に認められる。海外で既に結婚している同性カップルの婚姻は、12月9日午前0時以降有効となった。

マルコム・ターンブル首相は7日夜、公共放送ABCの時事番組で「自分の首相在任中に実現できたことを誇りに思う。歴史的な瞬間だ」と述べ、白豪主義の廃止を決めた1967年の国民投票以来の歴史的な人権改革だとの認識を示した。首相は、合法化に向けた野党労働党の支援にも謝意を示した。

一方、トニー・アボット前首相ら反対派が求めていた宗教・慈善団体の免責条項は反対多数で否決された。アボット氏らは、同性婚が合法化されれば、牧師が同性婚カップルの挙式を拒否できなくなるなど「信仰の自由が脅かされかねない」と主張していた。

オーストラリアでは近年、同性カップルにも男女夫婦と同様の権利を認めるべきだとする声が高まり、伝統的な家族観を重んじる保守派との間で対立が深まっていた。与党保守連合(自由党、国民党)内でも、リベラル派のターンブル首相を始めとする推進派と、保守強硬派とされるアボット前首相ら反対派の間で賛否が分かれた。

ABCによると、同性婚を合法化したのは、係争中を含めて少なくとも21カ国目。2001年に世界で初めて合法化したオランダを始めポルトガル、英国、フランス、スペイン、ドイツなど西欧や英語圏の先進国を中心に容認の動きが広がった。一方、イスラム諸国や東南アジア、南アジアなどの70以上の国では、同性愛行為自体が違法となっている。

オーストラリア統計局(ABS)は2017年11月15日に同性婚の是非を問う郵便調査の結果を発表し、「イエス」(賛成)と答えた人の割合が61.6%に達し、「ノー」(反対)の38.4%を大幅に上回っていた。調査結果は法的拘束力を持たないが、調査結果を受けて連邦議会が婚姻法改正案を審議していた。


年央経済財政見通しを発表したスコット・モリソン連邦財務相
年央経済財政見通しを発表したスコット・モリソン連邦財務相

今年度の実質GDP、2.5%増見込む

堅調に成長も、消費やインフレになお課題

新年の豪州経済は「晴れ時々曇り」――。2017/18年度(17年7月1日~18年6月30日)後半の経済は堅調な成長を持続し、雇用市場も拡大を続ける一方、個人消費やインフレ、賃金は控えめな伸びにとどまる模様だ。

連邦財務省が17年12月18日に公表した「年央経済財政見通し」(MYEFO)によると、17/18年度の実質国内総生産(GDP)の成長率は2.5%増加する。17/18年度予算案発表時点(17年5月)の2.75%増から0.25ポイント下方修正したものの、16/17年度実績の2%増と比べて、成長スピードをやや速める。18/19年度は予算案発表時と同じく3%増に加速する。

MYEFOを発表したスコット・モリソン連邦財務相は「豪州経済は17/18年度に堅調なペースで拡大するだろう」と指摘した。背景には、非資源分野の投資が増加する一方、資源投資の減少による経済成長へのマイナスの影響が緩和されたことがある。

失業率は5.5%と予算案発表時の5.75%から上方修正した。17年1月以降、1日当たり約1,000人に相当する36万人以上の雇用が新たに創出され、雇用は力強く改善したという。ただ、個人消費と物価、賃金の伸びは引き続き抑制的な水準を維持しているという。インフレ率は2%と豪準備銀(RBA)がターゲットとする「2~3%」の下限付近にとどまる。

一方、財政見通しでは、17/18年度の基礎的現金収支の赤字額を約236億ドルと見込み、予算案発表時の予測と比べて同収支の赤字幅は58億ドル縮小するとした。モリソン財務相は「予算案発表時に示した20/21年度の財政均衡化に向けた道筋を着実に歩んでいる」と財政運営に自信を示した。20/21年度の同収支は約102億ドルの黒字となり、黒字幅は予算案発表時と比較して27億ドル増えるとしている。


9月期GDP、前年同期比2.8%増
投資が成長けん引、個人消費は弱く

オーストラリア統計局(ABS)は2017年12月6日、同年9月四半期(7月~9月)の国内総生産(GDP)に関する統計を発表した。実質GDP(季節調整値)の伸び率は前期比0.6%増、前年同期比2.8%増となった。6月期は前期比0.7%増、前年同月比1.8%増だった。

民間部門の投資と政府部門の公共投資の伸びが幅広い分野で成長を支え、20業種のうち17業種がプラス成長を記録した。鉱業部門の生産は拡大し、豪州の主要輸出商品である鉄鉱石と石炭の輸出も増加したものの、輸出価格の下落を背景に、貿易による利益の指標である交易条件は0.4%悪化した。

ABSのブルース・ホックマン首席エコノミストは、声明で「雇用の伸びと労働時間の増加を背景に、賃金の伸びが持続している」と指摘した。賃金の伸びを背景に家計収入は堅調に拡大したものの、家計消費(個人消費)は0.1%と微増にとどまった。このため、家計の貯蓄率は5四半期ぶりにプラスに転じた。

6日付の公共放送ABC(電子版)によると、エコノミストの予測は前期比0.7%増、前年同期比3%増だった。


シドニー北郊ベネロン選挙区の連邦下院補選で勝利したジョン・アレキサンダー氏
シドニー北郊ベネロン選挙区の連邦下院補選で勝利したジョン・アレキサンダー氏

保守連合が僅差で過半数維持

二重国籍問題に伴う補選で与党2連勝

二重国籍問題に絡む連邦下院議員2人の失職に伴う補欠選挙が2017年12月、相次いで実施され、いずれも与党保守連合(自由党、国民党)の現職候補が手堅く勝利を収めた。この結果、与党保守連合は、過半数割れという最悪の事態を回避した。

連邦選挙管理委員会の集計(12月17日時点)によると、12月2日に投票が実施された連邦下院のNSW州北部ニューイングランド選挙区補選では、連邦副首相で与党国民党党首の現職バーナビー・ジョイス氏が、野党労働党のアーウィングス氏を破った。

ジョイス氏は二大政党別得票率で73.86%を獲得し、事前の予想通りの圧勝だった。ジョイス氏は農村部に強い支持基盤を持つ国民党の大物政治家だが、ニュージーランド国籍を保持していたことが判明したため、連邦最高裁は17年10月、二重国籍保持者の立候補を禁じた憲法に違反しているとの判断を下し、失職していた。

続いて12月16日に行われた連邦下院のシドニー北郊ベネロン選挙区補選は、与党自由党の現職ジョン・アレキサンダー氏が競り勝った。アレキサンダー氏は1970年代に世界ランキング最高8位まで上り詰めた元プロ・テニス選手。2010年の連邦選挙で自由党の地盤であるベネロン選挙区から出馬して初当選し、政治家に転じていた。

アレキサンダー氏も英国国籍を破棄していなかったことが明るみに出たことから、連邦最高裁の決定を受けて失職した。野党労働党は元NSW州首相で知名度の高い女性のクリスティーナ・ケネリー氏を出馬させ、2010年以来の議席奪還を図った。ケネリー氏は前回選挙比で二大政党別得票率を4.83%増やして善戦したが、一歩及ばなかった。

2つの補選後の連邦下院(定数150)の各政党の勢力分布は、与党保守連合76、労働党69、その他の勢力5。与党はこれまで通り過半数をわずか1議席上回る勢力を維持した。

ただ、同性婚を認める婚姻法改正という内政面での大きな成果にもかかわらず、与党支持率は浮上していない。マルコム・ターンブル首相は新年も慎重な政権運営を迫られそうだ。

12月17日付の全国紙「オーストラリアン」が掲載した調査会社ニューズポールの世論調査によると、二大政党別支持率は、保守連合が47%、労働党が53%(いずれも12月4日付掲載の前回調査と変わらず)だった。同紙によると、仮に現時点で連邦選挙が実施された場合、保守連合が13議席を失い野党に転落する見通しだという。

なお、首相が早期選挙に打って出ない限り、規定によると、次期連邦選挙は2018年8月4日から2019年5月18日までの間に実施される。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る