2018年8月 ニュース/総合

マルコム・ターンブル首相(左)とビル・ショーテン労働党党首(右)
マルコム・ターンブル首相(左)とビル・ショーテン労働党党首(右)

年内早期選挙の憶測も

「スーパー・サタデー」試金石に

与党保守連合(自由党、国民党)のマルコム・ターンブル首相が、次期連邦選挙の年内実施に踏み切るのではないかとの観測が浮上している。公共放送ABC(電子版)は7月23日、5選挙区で27日に行われる連邦下院補選で保守連合が得票を大幅に伸ばした場合、「ターンブル首相が勢いに乗って今年中の早期選挙に踏み切る可能性がある」と指摘した。

豪選管(AEC)によると、下院の全議席と上院の約半数を改選する通常選挙の投票は規定上、8月4日から2019年5月18日までに実施される。ターンブル首相はいつでも選挙実施を発表できるフリーハンドを握る。現時点で可能性は低いものの、状況次第では年内投票も視野に入る。

選挙時期を左右する1つの試金石になるのが、「スーパー・サタデー」と呼ばれる27日の補選だ。二重国籍問題で議員資格停止が相次いだことなどから、WA州フリーマントル、同パース、SA州マヨ、TAS州ブラッドン、QLD州ロングマンの各選挙区で投票が実施される。5選挙区で一度に補選が行われるのは異例だ。

これらの選挙区の議席は改選前、いずれも野党議員が占めていた。与党は0勝5敗でも現状維持となるため、首相にしてみれば失うものはない。逆に野党が議席を減らせば、最大野党労働党のビル・ショーテン党首にとっては痛手となる。改選議席のうちマヨとロングマンの2選挙区は元々保守が強い地盤。いずれも与党は前回選挙で僅差で敗北したが、今回は議席を奪回する可能性がある。

とはいえ、早期選挙は与党にとってリスクがある。調査会社ニューズポールの2大政党別支持率では、保守連合が16年9月以降、36回連続で労働党を下回っている。7月15日付の全国紙「オーストラリアン」が掲載した最新の同調査によると、労働党は51%、保守連合は49%(いずれも前回と変わらず)だった。

だが、同調査の「どちらの党首が首相にふさわしいか」の設問では、ターンブル首相が48%(前回比2ポイント増)、ショーテン党首が29%(1ポイント減)。政党支持率とはネジレがある。与党支持率が浮上しないと共に、ショーテン党首待望論も盛り上がっていないという構図が浮かぶ。次期選挙も前回と同様に「どちらのリーダーがましか」を選ぶ消極的な人気投票となる可能性は否定できない。


会合であいさつする草賀純男・駐豪特命全権大使
会合であいさつする草賀純男・駐豪特命全権大使

インフラ事業参入の商機探る
日豪企業の交流会合、シドニーで開催

今後の成長が見込まれる豪インフラ市場をめぐり、日本企業と豪州企業の交流促進を図る「第3回日豪関連企業ネットワーク会合」が7月25日、シドニー市内で開催された。在オーストラリア日本国大使館が主催し、豪日経済委員会(AJBCC)、大手会計事務所KPMG、同プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が後援した。

同会合はこれまで2回開かれており、今回のテーマは交通。同大使館によると、豪州側から連邦・州政府や、建設・交通、金融など23社・機関、日本側からメーカーや商社、建設、金融など39社・機関の関係者が参加した。

冒頭に講演した草賀純男・駐豪特命全権大使は「豪州が人口増加に対応し、アジアの経済成長を取り込むには、交通インフラの整備が不可欠だ」と指摘した。その上で同大使は「日本企業はそうしたインフラ事業を成功に導くスキルと技術、献身的な姿勢、資本を有している」と強調した。

また、PwCオーストラリアのパートナーを務めるマリオ・デリア氏は基調講演で、人口増と豪州経済の堅調な成長見通し、豪州の信用格付けが「AAA」と最高であることを背景に、「豪インフラ市場は少なくとも今後10年は有望だろう。日本の事業者が参入する時は熟した」と期待を表明した。

連邦インフラ・地方開発・都市省のピップ・スペンス副次官(交通担当)は、豪州では今後30年間で約1,200万人の人口増加が見込まれることを踏まえ、インフラ整備に注力する連邦政府の政策について解説。新空港の建設など大規模なインフラ事業が進行中の西シドニー地区などの具体例を紹介した。

続いて、日立オーストラリアの担当者が豪インフラ市場での事業内容について、三菱UFJ銀行の担当者が同行の豪州市場におけるプロジェクト・ファイナンスについて、それぞれプレゼンテーションを行った。この他、NSW州とVIC州、QLD州の担当者が各州で進行・計画中の主な交通インフラ事業の概要を説明した。


輸出が急増している豪州産ワイン(Photo: Destination NSW)
輸出が急増している豪州産ワイン(Photo: Destination NSW)

豪州産ワイン輸出、前年度比2割増

安物イメージ払拭か――中国向けも急拡大

豪州産ワインの輸出が近年、著しく伸びている。ワイン振興団体「ワイン・オーストラリア」(WA)が7月24日に発表した統計によると、2017/18年度の豪州産ワインの輸出額は27億6,000万ドルと前年度に続き過去最高を更新した。前年度比20%増と過去15年間で最大の伸びを記録した。輸出量も8億5,200万リットル(9,500万ケース相当)と10%増え、これまでで最高だった。

豪州産ワインはかつて海外市場で買い叩かれ、安物イメージが定着した。中・高価格帯ではブランド力で勝るニュージーランド産に遅れを取り、低価格帯ではチリ産の後塵を拝した。しかし、15億ドル以下で伸び悩んでいた輸出額は15/16年度以降に一転して急増。イメージ向上を図った高付加価値戦略が、一定の効果を挙げた可能性がある。

輸出単価(本船渡し=FOB価格ベース)は、1リットル当たり平均3.24ドルと9%上昇し、09年以降で最高の水準まで回復した。特に1リットル当たり50~99.99ドルの価格帯の輸出額が2億2,200万ドルと86%拡大するなど、中・高級ワインに需要がシフトしつつある。

また、中国人の嗜好の変化を背景に、対中輸出が急増していることも強い追い風となった。輸出市場別では、中国(香港、マカオを含む)向けが11億2,000万ドルと55%増えた。中国は今や輸出額全体の40%を占める最大の得意先だ。

一方、かつて最大の輸出市場だった米国向けは安売りに歯止めが掛からず、4%減の4億2,400万ドルで2位だった。WAによると、豪州産ワインはボトル1本当たり8米ドル以下の低価格品の市場で強いが、高級品市場ではブランド力が浸透していないという。WAのアンドレアス・クラーク代表は「需要が拡大している米国の高級ワインの市場をもっと開拓する必要がある」と指摘した。米国のワイン・イベントを通して、高級品市場へのPRを強化していく。

3位以下は、英国が3億8,400万ドル(12%増)、カナダが1億9,900万ドル、ニュージーランドが8,800万ドル(17%増)など。日本向けも好調で、5,300万ドルと15%増え、8位に入った。

ワインは豪農業分野の主力輸出商品の1つ。豪農業資源科学局(ABARES)によると、輸出額は1位牛肉(77億8,000万ドル)、2位小麦(48億9,000万ドル)、3位羊毛(43億4,000万ドル)に次いで4番目に多い。


キャンベラ球団、横浜DeNAと提携
豪州に選手派遣、日本のオフに実戦参加

プロ野球の「オーストラリアン・ベースボール・リーグ」(ABL)のキャンベラ・キャバルリーは7月16日、日本のプロ野球セ・リーグの横浜DeNAベイスターズとの間で、選手の受け入れなどに関する戦略的パートナーシップを締結することで合意したと発表した。

横浜DeNAは日本の2018年シーズン終了後に選手やチームのスタッフをキャバルリーに派遣し、ABLの18/19年シーズンに参加させる。選手には、野球の技術向上だけではなく、海外生活による精神的な成長も期待する。球団経営を担う職員の派遣も検討する。

横浜DeNAの岡村信吾・代表取締役社長は「オーストラリアは南半球に位置し、日本のオフシーズンにトレーニングを積むには最適な環境にある。選手たちには、オーストラリアで多くの経験を積み、ベイスターズに新たな経験をもたらしてくれることを期待している」とコメントした。

キャバルリー側も、横浜DeNA選手の来豪を歓迎している。キャルバリーは来季の全試合をストリーミング放映する。横浜DeNA選手のプレーを見る日本の視聴者が増えると見込まれるため、スポンサーの獲得に意欲を示している。海外進出や2020年東京五輪での豪州代表選抜を狙う選手にとっては、横浜DeNAとの交流が人脈作りにつながるとの期待もあるようだ。

クリケットの人気が高いオーストラリアでは、野球は観戦スポーツとしてはマイナーな存在。しかし、米球界でプレー経験のある選手もいるなど実力は高いとされる。ABLは10年に発足し、8球団が夏の11月~2月のシーズンを戦っている。キャバルリーはリーグ発足当初から参加し、12/13年度に初優勝。13年の国際野球大会「アジア・シリーズ」では、台湾シリーズ覇者の強豪を決勝戦で破り、優勝している。


WA州ピルバラ地区を走るリオ・ティントの鉄鉱石運搬列車
WA州ピルバラ地区を走るリオ・ティントの鉄鉱石運搬列車

世界初の無人貨物列車が発進

リオ・ティント、日立傘下の企業と開発

英豪資源大手リオ・ティントは7月10日、WA州で無人運転による貨物列車を初めて運行した。同州北西部ピルバラ地区のトム・プライス鉄鉱石鉱床から鉄鉱石2万8,000トンを載せ、同ケープ・ランバートの鉄鉱石積出港までの約280キロを走破した。約1,500キロ離れたパースの指令所から、機関車3両がけん引する貨物列車1編成の運行を管理した。

豪資源部門では無人トラックの導入など自動化の動きが加速しているが、同社によると長距離貨物列車の自動運転は世界で初めて。産業用ロボットとしては、世界最大で最長という。自動運転ソフトウェアと連動したカメラで運行状況を指令所から目視できるようにし、公道と線路が交差する全ての地点に監視カメラを備えるなど安全対策を講じた。自動化によって仕事を失う運転士の雇用確保にも務める。

自動運転の技術は、日立製作所傘下の鉄道運行システム企業であるアンサルドSTS(本社イタリア・ジェノバ)と共同で開発した。アンサルドSTSによると、国際規格のデジタル信号と鉄道安全運行システムで列車を制御し、インターネット・プロトコル(IP)によって列車の位置、速度、進行方向などの正確なデータを指令所との間で交信する。

両社は6年間かけて自動運転システムを実用化。全国鉄道安全管理局(ONRSR)が今年5月に運行を認可した。今年末に本格的な商業運行を目指す。

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