2018年9月 ニュース/総合

就任会見を行うスコット・モリソン新首相(Photo: AFP)
就任会見を行うスコット・モリソン新首相(Photo: AFP)

新連邦首相にモリソン氏

次期選挙控え、逆風の船出

スコット・モリソン前連邦財務相(連邦下院議員)が8月24日、第30代連邦首相に就任した。同日行われた与党自由党の党首選の決戦投票で、45票対40票の小差でピーター・ダットン前内相に競り勝った。

モリソン氏は1968年シドニー生まれの50歳。2007年の連邦下院議員選挙で初当選。連邦移住相を経て、前政権で財務相を務めた。

モリソン氏は26日、新内閣の閣僚人事を発表した。右腕の財務相にはジョッシュ・フライデンバーグ氏が就任。24日の党首選の第1回投票で落選したジュリー・ビショップ外相は閣僚を辞任した。マリース・ペイン氏が2代連続で女性外相に就いた。副首相・インフラ・交通・地域開発相はマイケル・マコーマック氏(国民党党首)が続投。「ターンブル降ろし」の中心人物となった右派のダットン氏も引き続き内相を務める。

与党支持率は大幅下落

調査会社ニューズポールが首相交代後に実施した世論調査(全国紙「オーストラリアン」26日付掲載)によると、選挙結果に近い2大政党別支持率は、与党保守連合(自由党、国民党)が44%と前回調査比で5ポイント下落。野党労働党は56%と5ポイント上昇した。各政党別支持率は、保守連合が4ポイント下落の33%、労働党が6ポイント上昇して41%と逆転した。

新首相就任直後は与党支持率が一時的に上昇するのが通例だが、この結果を見る限りモリソン新首相に対する国民の期待感は低いようだ。

ターンブル氏の右腕として政権を支えたモリソン氏は、ターンブル政権の基本路線を継承すると見られる。しかし、来年5月までに次期連邦選挙を控え、首相交代劇で露呈した党内の亀裂を早期に修復できるかどうか。強い逆風の中での船出となった。

ターンブル氏は政界引退

求心力が急速に低下していたターンブル氏は21日に1度目の党首選を開き、48票対35票でダットン氏に勝利していた。しかし、直後にターンブル氏の続投に反発する閣僚が次々と辞任を表明。24日の2度目の党首選には出馬せず、退陣に追い込まれた。首相交代後、ターンブル氏は政界引退を表明した。

実業家出身で穏健派のターンブル氏は15年9月、保守派のトニー・アボット元首相を引きずり下ろして首相に就任した。懸案だった同性婚の合法化を実現したが、支持率は低空飛行を続けた。エネルギーなど経済政策で党内をまとめられなかったのも響いた。ターンブル首相のままでは勝てないとの声が党内に広がり、首相就任から3年弱で退陣に追い込まれた。

保守連合(自由党、国民党)が13年の連邦選挙で政権を奪回して以来、約5年間で首相はモリソン氏で3人目。豪州では近年、前労働党政権時代から短命首相が続いており、内政・外交への影響が懸念される。


連邦下院補選、与党は0勝5敗

連邦議会下院の補欠選挙の投票が7月27日、WA州フリーマントル、同パース、SA州マヨ、TAS州ブラッドン、QLD州ロングマンの5選挙区で一斉に行われた。5議席は改選前、いずれも野党が議席を保持していた。与党自由党は勝利の可能性があった3選挙区で候補者を立てたものの敗北し、0勝5敗に終わった。

このうち、与党が擁立を見送ったフリーマントルとパースでは、労働党候補が事前の予想通り圧勝した。だが、ブリスベン北方のロングマンでは労働党候補が得票率を前回選挙比で3.7%(8月13日時点)増やして勝利した他、ブラッドンでも労働党候補が小差で競り勝った。マヨでも、少数野党センター・アライアンス(CA)の候補が、ハワード政権時代に外相を務めたアレキサンダー・ダウナー氏の実娘、ジョージナ・ダウナー氏との一騎打ちを制した。

連邦補選が5選挙区で一度に行われるのは異例。このうち4選挙区の補選は、昨年から豪政界を揺るがした二重国籍問題による議員資格停止に伴うもので、1選挙区では議員辞職を受けて実施された。

野党勢力は改選前の議席を保持したことで、与党保守連合(自由党、国民党)が小差で過半数を維持している下院の勢力図に変更はない。


豪日米がインフラ投資で連携
インド太平洋地域で枠組み

豪外務貿易省(DFAT)と日本の国際協力銀行(JBIC)、米国の海外民間投資公社(OPIC)は7月30日、インド太平洋地域でのインフラ投資に関するパートナーシップを発表した。ジュリー・ビショップ外相が31日、明らかにした。

ビショップ外相の声明によると、日豪米3カ国が連携し、経済成長を促す同地域のインフラ開発事業に投資する。同地域の平和と繁栄を促進するためには更なる支援が必要との認識の下で、「自由で開かれた、包括的で、繁栄したアジア太平洋地域を育成する」としている。

投資に当たっては「透明性、自由な競争、持続可能性、国際基準の遵守、現地人の雇用、持続不可能な債務負担の回避、を共通認識とする」(声明)と強調。中国が推進する「一帯一路」が念頭にあると見られる。

対象となるのは「エネルギー、交通、観光、技術」分野のインフラ事業。OPICが在日米国大使館に代表者を置き、現時点では連携の枠組みを構築している段階。

具体的な事業の内容は明らかにはなっていない。

ビショップ外相は「3カ国間のパートナーシップが正式なものとなることを期待している」と述べた。


豪東部で干ばつ深刻

連邦・州政府が農業生産者に支援策

NSW州を中心とした豪東部で、約10年ぶりに干ばつが深刻化している。連邦・州政府は8月、不作に苦しむ農業生産者を対象に、給付金の増額や税の優遇措置、低金利融資などの支援策を相次いで発表した。

マルコム・ターンブル首相は5日、干ばつの影響で困窮している農業生産者に1世帯当たり年間で最大1万6,000ドルを支給すると発表した。これにより、今回の干ばつ支援策の予算総額は、5億7,600万ドルに増加した。

ターンブル首相は19日にも追加の支援策を発表した。主な内容は、◇干ばつの被害が最も深刻な60の市町村の灌漑(かんがい)用水の供給などのインフラ整備に7,500万ドルを追加支出すること、◇穀物や飼料を備蓄するサイロなどの施設の原価償却を直ちに実施できるようにすること(通常は3年間)、◇低金利融資の限度額を200万ドルに倍増すること、◇干ばつ地域の水インフラ整備に7,200万ドルを追加支出すること、などとなっている。追加支援策により、政府の干ばつ支援策の総額は18億ドルに達した。

首相は声明で「全ての豪州国民は農家が生産する食品に依存している。農業生産者は国の大黒柱だ」と述べ、干ばつ被害者に寄り添う姿勢を強調した。首相は元豪陸軍幹部のスティーブン・デイ氏を干ばつ対策の責任者に任命した。同氏は指揮官として、政府と民間企業、慈善団体、生産者などとの間で調整に従事する。


日本人観光客が順調に戻ってきているシドニー市内
日本人観光客が順調に戻ってきているシドニー市内

日本人訪豪者数、上半期4%増
下半期の伸びに期待――豪政府観光局

今年上半期(1月~6月)に豪州を訪問した日本人の数は、19万9,600万人と前年同期比で4%増加した。豪政府観光局(TA)が8月21日、豪統計局(ABS)の集計を基に発表した。6月単月の日本人訪豪者数も5%増の2万3,100人と順調だった。

夏休みを利用した旅行需要が見込まれることから、下半期(7月~12月)も堅調に増加する見通しで、「更なる伸びに期待している」(TA)という。豪州を訪れる日本人の数は約20年前の1990年代後半の最盛期に90万人以上に達した。しかし、その後、2010年代前半までに年間約30万人と約3分の1の水準に落ち込んでいた。今年の訪豪者数がこのままのペースで伸びていき、40万人を超えれば、ピーク時の4割近い水準まで回復することになる。

TAは、日本人訪豪者数増加の要因として、◇JTBや日本旅行などの強力なプロモーション、◇航空各社との強固なパートナーシップ、◇大自然や食文化などの豪州の特徴を積極的にアピールし続けていること、を挙げた。

TAは20年までに日本人訪豪者数を年間70万人に増やすことを目標に掲げている。TAの中沢祥行・日本局長は「今後も各都市への就航実現に向けた関係各所への働きかけ、オーストラリアならではの強みを生かしたMICEの強化、インフルエンサーを起用したデジタル・マーケティングを実施していきます。また、これまで日本からの渡航が少なかったTAS州やSA州のプロモーションを行うと同時に、WA州北部の新規商品開発に力を入れ、販売促進強化を行っていきます。今年目標の50万人を達成できるよう今年下半期も引き続き、航空会社、旅行会社、州政府観光局と協力していきます」と述べた。


豪日交流基金の役員に就任した料理研究家のアダム・リアウ氏
豪日交流基金の役員に就任した料理研究家のアダム・リアウ氏

豪日交流基金役員にリアウ氏

ビショップ外相が発表

ジュリー・ビショップ外相は8月1日、日本と関係の深い豪州の著名料理研究家、アダム・リアウ氏を豪日交流基金の役員に任命したと発表した。任期は2021年7月まで。8人の役員の1人として、日本と豪州の草の根交流を支える。

リアウ氏は弁護士を経て、全豪一のアマチュア料理人を決める地上波テレビのリアリティー番組「マスターシェフ・オーストラリア」のシーズン2(10年放映)で優勝した。その後、6つの料理本を出版している他、ウォール・ストリート・ジャーナル紙やシドニー・モーニング・ヘラルド紙などにコラムを執筆。旅行や料理をテーマにしたテレビ番組にも出演している。

弁護士時代に東京で勤務していた経験があり、和食への造詣も深い。日本政府の「日本食普及の親善大使」や、全日空(ANA)シドニー・羽田線の「機内食アンバサダー」、国連児童基金(ユニセフ)の「栄養親善大使」なども務め、幅広く活動している。

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