2018年10月 ニュース/総合

干ばつが深刻化しているNSW州北東部ガネダの農場で、弱った羊を運ぶ農業生産者の男性(Photo: AFP)
干ばつが深刻化しているNSW州北東部ガネダの農場で、弱った羊を運ぶ農業生産者の男性(Photo: AFP)

干ばつで農産物に打撃

小麦など冬穀物、10年ぶり不作

オーストラリア東部一帯を襲っている大規模な干ばつの影響で、農産物の生産に深刻な影響が出そうだ。連邦政府系シンクタンクの作柄予想によると、輸出の主力である小麦を含む冬穀物の生産量は今年度、約10年ぶりの低水準となる公算が高い。

豪農業経済資源局(ABARES)が9月11日に発表した四半期毎の作柄予想によると、小麦や大麦など冬作物全体の2018/19年度の生産量は約3,320万トンと前年度比で12%減少する。6月時点の予想である3,770万トンから大幅に下方修正した。

地域別では、最大の冬穀物生産地であるWA州は降雨に恵まれ、1,630万トン(12%増)と史上2番目の生産量が見込まれる。一方、干ばつの被害が最も大きいNSW州は390万トン(46%減)、QLD州は90万トン(38%減)、VIC州は540万トン(29%減)となり、東部穀倉地帯の落ち込みが激しい。

全体で見ると、西部の豊作が東部の不作をある程度相殺する形だ。それでも、史上最悪の干ばつと言われた05/06年度(1,760万トン)と06/07年度(3,540万トン)以来、約10年ぶりの不作となる見通しだ。

豊作予想の西部に降霜

作物別では、冬穀物で最大の小麦が全体で1,910万トンと10%減少する。WA州は961万トンと21%の増産となる。一方、NSW州252万トン(44%減)、QLD州53万トン(23%減)、VIC州270万トン(33%)と東部州は軒並み不振が予測されている。ただ、WA州でも9月中旬の降霜の影響で、小麦の増産見通しが下方修正される可能性が出ている。

オーストラリア産小麦の輸出額は約46億7,000万ドル(17/18年度)あり、農産品では牛肉に次ぐ主力輸出商品となっている。干ばつによる減産を背景に、18/19年度の輸出額は42億ドルと10%縮小すると見られている。オーストラリアは有数の小麦輸出国であるだけに、東部の干ばつが世界市場の食糧受給や商品市況に影響を与える可能性がある。

羊肉・羊毛生産にも影響

畜産物にも影響が出ている。干ばつが悪化すると、牧草が枯れて飼料のコストが増えるため、生産者は羊を売却して現金化する動きが強まる。その結果、羊肉の供給は拡大する。18/19年度の全国の羊肉生産量は77万トンと前年度比で6%増える見通しだ。

逆に、羊肉用にと殺される羊が増えるため、羊の飼育頭数は691万頭と3%減少する。羊毛の供給が縮小することから、同年度の羊毛生産量は4%減の40万4,000トンと見込まれている。高い需要に対して供給が絞られるため、背景に羊毛価格は1キログラム当たり19.99ドルと15%上昇し、過去最高の水準に達する見込みだ。


6月期GDP、前年同期比3.4%増

前期比0.9%増――個人消費が好調

オーストラリア統計局(ABS)が9月5日に発表した国内総生産(GDP)に関する統計によると、今年4月~6月期のGDP成長率(季節調整値)は、前年同期比で3.4%増、前期比で0.9%だった。1月~3月期の前年同期比2.8%増、前期比0.7%増からそれぞれ加速した。

前年同期比3.4%は、世界金融危機後の資源ブームのピークだった2012年9月期以来、約6年ぶりの高水準。中央銀行の豪準備銀行(RBA)が予想した3%を上回るハイ・ペースだ。しかし、「17年6月期の確定値が大幅に下方修正された影響が大きい」(5日付公共放送ABC電子版)との見方もあり、必ずしも景気の実態を反映した数字ではない可能性がある。

統計の内容を見ると、個人消費に相当する家計支出が前期比0.7%増と好調で、成長を押し上げた。家計支出の前年同期比の伸びは3%に達した。保健や高齢者介護、障がい者支援を中心に政府部門の支出も1.0%増と高水準だった。非資源部門の民間投資は前期比2.4%減となったが、前年同期比では17.7%と高い水準を維持した。

ABSのブルース・ホックマン主席エコノミストは声明で「力強い家計支出を背景に、国内需要の寄与度はGDP成長率の半分以上に達した」と指摘した。ただ、賃金の伸びは最近の傾向通り低調だった。家計の貯蓄率も1.0%と約10年ぶりの低水準まで落ち込んでおり、好調な個人消費がどこまで続くかは引き続き不透明だ。


TPP11締結で輸出拡大に期待するサイモン・バーミンガム貿易・観光・投資相
TPP11締結で輸出拡大に期待するサイモン・バーミンガム貿易・観光・投資相

連邦議会、TPP11批准へ
――下院通過、野党も支持

連邦下院は9月19日、米国を除く11カ国の環太平洋連携協定「TPP11」(TPPイレブン)の関連法案を与党などの賛成多数で可決した。与党勢力が半数に満たない上院での審議に移る。最大野党の労働党は11日の議員総会で同法案への支持を決めたため、上院で可決・成立する見通しで、連邦政府が批准するのは確実な情勢となった。

法案の下院通過を受けて、サイモン・バーミンガム貿易・観光・投資相は19日、「オーストラリアの農業生産者や製造業者、企業にとって、市場が拡大する」と述べた。同相によると、11カ国の国内総生産は合計13.8兆ドルに達し、約5億人の消費市場がある。98%の関税が撤廃される他、市場アクセスや投資ルールの透明性が確保される。

独立機関の推計によると、TPP11の発効により、オーストラリアの所得は2030年までに実質156億ドル、輸出額は300億ドルそれぞれ増加することが見込まれるという。

一次産品の輸出大国であるオーストラリアは早くから自由貿易を推進。米・中・日・韓を含む2国間と多国間の自由貿易協定(FTA)を積極的に締結してきたが、TPPに参加するカナダとメキシコとの協定締結は初めて。

TPP11は加盟国のうち6カ国が批准した日の60日後に発効する。


9月11日、プリンスホテルがシドニー市内のアモラ・ホテル・ジェミソン・シドニーで開いた商談会
9月11日、プリンスホテルがシドニー市内のアモラ・ホテル・ジェミソン・シドニーで開いた商談会

シドニーで販促イベント――プリンスホテル

プリンスホテルは9月11日、シドニー市内のホテルで、豪州人旅行者の集客を図る商談会「プリンス・ホテル・アンド・リゾート・ロードショー 2018」を開催した。現地の旅行業界関係者ら約50人を集め、日本各地にある同グループのホテルやリゾートをPRした。

東京・高輪や品川、京都などエリア別にホテルの特徴を紹介するプレゼンテーションを行った後、会場内の個別ブースで各施設の魅力を旅行業界関係者にアピールした。

豪州人の訪日需要を取り込むため、プリンスホテルは2016年7月にシドニー事務所を開設。17年9月にシドニーで1回目の商談会を開催するなど本格的な販促活動を開始した。同社セールス&マーケティング本部の奥山聡チーフ・マネジャーは「豪州市場での手応えは感じている。スノー・リゾートの売上高は前年の3倍に伸びた。今後はビジネス用途やスキー以外のレジャーにも注力してPRしていきたい」と話した。

冬のスキーを中心に、豪州人の訪日需要は近年、右肩上がりに拡大している。豪州からの訪日客数は17年に49万5,054人(日本政府観光局=JNTO)と前年比11.2%増え、前年に続き過去最高を更新。国・地域別では7番目に多かった。豪州人訪日客の1人当たり旅行支出は22万5,845円(同年の確定値)と2番目に多く、滞在の長い富裕層の取り込みが商機につながる。

なお、同社は17年、豪ホテル運営大手「スティウェル・ホスピタリティー・グループ」を約43億円で買収し、海外事業の展開も加速している。

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