2018年2月 ニュース/総合

日本人観光客が戻ってきたシドニー
日本人観光客が戻ってきたシドニー

日本人観光客市場のV字回復鮮明に

邦人社会に追い風――日本食人気も貢献

在豪邦人の雇用を支える2つの業界に追い風が吹いている。低迷していたオーストラリアの日本人観光客市場の回復が顕著となり、現地の日系観光業界は長い低迷期を抜き出しつつある。一方、日本産食品のオーストラリア向け輸出も2017年に過去最高を更新する公算が高い。日本食人気を反映した形で、多くの邦人が働く日系レストランや食品業界には朗報と言える。

17年も増便相次ぎ、座席供給拡大

オーストラリア統計局(ABS)が17年12月に発表した出入国統計によると、17年1月〜10月にオーストラリアを訪問した日本人の短期渡航者数はトレンド値で36万500人となり、前年の同じ時期と比べて4.6%増と堅調な伸びを維持した。同年11月、12月の統計は未発表だが、このままのペースが続けば16年(41万6,700人)の水準を上回りそうだ。

オーストラリアを訪れる日本人の数は、バブル期のオーストラリア観光ブームを背景に大幅に伸び、1990年代後半に年間90万人以上に達した。その後減少傾向が止まらず、13年には約30万人台前半とピーク時の約3分の1の水準まで落ち込んでいた。

ところが、日本を訪れるオーストラリア人が急増していることや、2国間のビジネス交流拡大などを背景に、近年になって航空大手各社が日豪路線を増便。縮小していた供給座席数が拡大に転じると、日本人訪問者数は3年連続で前年実績を上回り、16年には8年ぶりに40万人の大台を超えていた。

バブル期からシドニーで日本人観光客を案内してきたベテランのドライバー・ガイドは「ここ数年、仕事が増えている。日本人観光客は着実に戻ってきている」と話す。増便の動きは続いている。日本航空は16年9月1日に成田—メルボルン線を就航させ、カンタス航空も同年12月14日、関空—シドニー線を19年ぶりに復活させた。18年は一層の送客増が期待できそうだ。

日本産食品の輸出額も右肩上がり

近年右肩上がりで拡大している日本産食品のオーストラリア向け輸出額は、17年も前年に引き続き過去最高を記録しそうだ。日本の農林水産省がこのほど発表した日本産食品・農林水産物の輸出額に関する統計によると、17年1月〜10月のオーストラリア向け同輸出額は約121億9,000万円(国・地域別で世界9位)と前年同期比で19.3%増えた。

近く発表される17年通年の統計では、約124億円(前年比2.3%増)だった16年の実績を上回り、過去最高を更新することがほぼ確実となった。

品目別では、日本酒や日本産高級ウイスキーの人気を背景に2位のアルコール飲料が30.6%増と大幅に伸びた他、1位の清涼飲料水も15%増えた。

背景には、根強い日本食人気がある。すしを中心に日本食が幅広い層に浸透している他、近年はラーメン、焼き鳥、焼き肉など需要の幅も広がりつつある。シドニーなど大都市のショッピング・センターでは、狭い商圏に「スシ・ロール」のテイクアウェイ店が乱立。一部では過当競争の兆しが出ているものの、「すしの人気は郊外や地方都市に広がっており、日本食品の需要は今後も安定して伸びそうだ」(食品業界関係者)との声がある。

ただ、オーストラリア政府が輸入食品に対して厳しい検疫規制を行っていることから、畜産品や乳製品、果物・野菜などの生鮮食料品の輸入は難しい。現状では、オーストラリア向けは通関が比較的容易な飲料や調味料、加工食品などが主体となっている。

また、日本食人気が日本産食品の需要に必ずしも直結してないのも課題だ。現地で提供される大半の日本料理の食材は、オーストラリア産や第3国産の低価格品で代用できる。日本産食品の強みはニッチな高級食品が中心。日本が輸出に力を入れる高級牛肉や果物などの品目で、オーストラリア政府の検疫規制を崩せるかどうかが焦点となる。

日本産食品・農林水産物の輸出に力を入れる日本政府は、20年までに世界全体で輸出額を1兆円(16年実績は7,500億円)に増やす目標を掲げている。オーストラリア市場は人口約2,400万人と他の主要市場と比較すると小規模であるものの、国民1人当たりの輸出額で見るとオーストラリアは英語圏の中でも最高の水準にあり、戦略的に重要な売り込み先となっている。


2017年12月に福岡市で行われたMOU締結式の模様
2017年12月に福岡市で行われたMOU締結式の模様

日韓航路に豪州船――協議開始で合意
JR九州高速船とWA州の造船メーカー

日本と韓国を結ぶ航路に、オーストラリアの新型高速船を就航させる計画が動き出している。JR九州高速船は2017年12月、オーストラリアの大手造船メーカー「オーストラル」との間で新型高速船の建造に向けて協議を開始することに合意し、了解覚書(MOU)を締結したと発表した。

同社によると、新型高速船は現行の2倍以上の座席数を持つ全長80メートル級のトリマラン(三胴船)とする。船体デザインは、豪華寝台列車「ななつ星in九州」などを手掛けた水戸岡鋭治氏が担当する予定。20年の日韓航路就航を目指している。

オーストラルはWA州に拠点があり、これまで世界54カ国の100以上の事業者を対象に300隻以上の商船や軍用艦船を建造してきた実績がある。

今回の合意について、リチャード・コート駐日オーストラリア大使は「JR九州高速船によるオーストラルのトリマラン導入は、20年までに海外訪問者数4,000万人の達成を図ろうとする日本の力を大きく後押しする。同時に、日韓における人的交流の更なる強化を促すであろう」と歓迎した。


SUVが初めて乗用車上回る
2017年の新車販売台数

オーストラリアの新車市場で、多目的スポーツ車(SUV)が乗用車を逆転した。豪連邦自動車工業会(FCAI)が1月4日に発表した2017年の新車販売台数に関する統計によると、車体のタイプ別でSUVは46万5,646台と全体の39.2%を占め、45万12台だった乗用車(37.8%)を初めて上回った。

オーストラリア市場で「ユート」(Ute)と呼ばれるピックアップ・トラックなどの小型商用車(19.9%)を合わせると、乗用車の形をしていない非従来型の車が新車の10台に6台を占めたことになる。

全体の新車販売台数は前年比0.9%増の118万9,116台と、底堅い景気と低金利を背景に堅調に伸び、前年に引き続き過去最高を更新した。

車名別の販売台数では、小型トラックのトヨタ「ハイラックス」が2年連続で首位の座を維持した。メーカーのブランド別シェアは、前年に続いて1位のトヨタと2位マツダの日本勢がワンツー・フィニッシュを果たした。

順位 ブランド 販売台数 シェア
1 トヨタ 216,566 18.20%
2 マツダ 116,349 9.80%
3 現代(韓国) 97,013 8.20%
4 GMホールデン(米) 90,306 7.60%
5 三菱 80,654 6.80%
6 フォード(米) 78,161 6.60%
7 フォルクスワーゲン(独) 58,004 4.90%
8 日産 56,594 4.80%
9 起亜(韓国) 54,737 4.60%
10 スバル 52,511 4.40%

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