2015年2月 ニュース/総合


事件から一夜明けたシドニー市内中心部マーティン・プレイス。多くの市民が献花に訪れた

現場に慰霊碑建立へ

シドニーの立てこもり事件

シドニー市内中心部マーティン・プレイスの「リンツ・カフェ」で昨年12月15日、武装した男が客や店員17人を人質に立てこもり、男を含む3人が死亡した事件で、NSW州のベアード州首相は同月23日、犠牲者を追悼する慰霊碑を建立すると発表した。また、犠牲者の1人で弁護士のカトリーナ・ドーソンさん(38)は16日未明の銃撃戦で警官側の銃弾を受けて死亡していたことが、1月11日までに分かった。

地元メディアによると、12月15日午前10時前、男が銃器を隠し入れたかばんを持って店内に押し入り、銃で脅して人質にカフェのガラス窓に黒い旗を掲げさせた。警察は現場近くの数ブロックを封鎖して付近の建物の従業員などを避難させたほか、不審物が見つかったとの情報があったシドニー・オペラ・ハウスも封鎖した。午後5時ごろまでに人質5人が店外に脱出。16日午前2時すぎ、激しい銃声の直後、特殊部隊が突入、激しい銃撃戦の末、数十秒後に店内を制圧した。

警察によると、立てこもったのはイラン人の自称イスラム教聖職者マン・ハロン・モニス容疑者(50)。銃撃戦の際、カフェのマネジャーのトリ・ジョンソンさん(34)、ドーソンさん(38)が銃弾を受けて命を落とした。モニス容疑者は銃弾を浴び即死した。人質の女性3人と警官1人がケガを負い、人質の妊婦2人が手当てを受けた。

報道によると、ジョンソンさんはモニス容疑者に襲いかかり、同容疑者に撃たれて死亡した。また、ドーソンさんは妊娠中の友人をかばって覆い被さったところを撃たれた。いずれも、自分を犠牲にして他人を守った行為だとして賞賛された。

 

なぜ凶悪犯放置−首相府が独自調査へ

モニス容疑者は1990年代に渡豪して2001年に豪州に政治亡命したとされる。イラン政府は豪州に身柄の受け渡しを要請していたという。警察は要注意人物としてマークしていた。これまでに50件以上の性的暴行などの罪で起訴され、戦死した豪州軍兵士の家族に嫌がらせの手紙を送っていたほか、自分の妻が殺害された事件に関わったとして起訴されていたが、保釈中だった。

事件の終結を受けて、トニー・アボット首相は16日、会見でモニス容疑者の動機について「イラクとレバントのイスラム国(ISIL=イスラム国の別名)のシンボリズムによって自分の行動を覆い隠すことを狙った」と説明。プロのテロ集団による組織的な関与はなく、過激思想に陶酔した単独犯であったことを示唆した。首相は同日午後、犠牲者を追悼するためマーティン・プレイスに設けられた献花台に花束を捧げた。

また、アボット首相は17日、モニス容疑者が野放し状態になっていた理由を調査する方針を表明した。首相は「なぜ保釈されていたのかを知る必要がある。諜報機関がなぜ、最近になって内偵の対象から外していたのかも理解できない」と不満をあらわにした。容疑者に関する調査は連邦首相府が実施し、15年1月末までに報告書を提出する。たてこもり事件に関する捜査は、これとは別に連邦警察とNSW州警察が行う。



想定外の資源価格下落を背景に厳しい財政見通しを発表したジョー・ホッキー連邦財務相(Photo: AFP)

今年度の財政赤字、大幅拡大へ
資源価格下落−中期経済財政見通し

連邦政府は昨年12月15日、2014/15年度の中期経済財政見通し(MYEFO)を発表した。これによると、同年度の基礎的現金収支ベースの財政赤字額は404億ドルとなり、14年5月の予算案発表時の298億ドルと比較して赤字幅は106億ドル拡大する見込み。アボット政権の黒字化シナリオは、大幅な軌道修正を迫られることになった。

赤字幅拡大の最大の要因は、鉄鉱石をはじめとする商品価格の下落だ。輸出額全体の約5分の1と最大の鉄鉱石は、指標価格が年初の1トン当たり約120米ドルから現在は約60米ドルと約50%、5月の予算案発表時から約半年で約30%それぞれ低下した。一般炭の価格も5月比で15%、農産物輸出の主力商品である小麦の価格も同20%それぞれ下落した。

商品価格の下落が主導する形で、今年度の法人税収は23億ドル(今後4年間で144億ドル)、所得税収も23億ドル(同86億ドル)それぞれ減少。税収の減少幅は全体で62億ドル(同320億ドル)に達する見通し。与党保守連合(自由党、国民党)が過半数に満たない連邦上院で、野党が反対したため法案が成立しなかったことによる歳入のマイナス幅も106億ドルに達する。

歳入が減る一方で歳出も増加する。景気の減速によって賃金の伸びが鈍化していることから、中低所得家庭向け優遇税制の支出が32億ドル、低所得者向けの補助金の支出が10億ドルそれぞれ拡大する。チャイルド・ケアの補助金も24億ドル増加する。

この結果、基礎的現金収支の赤字幅は今後縮小を見込むものの高い水準で推移する。2017/18年度の段階でまだ115億ドルの赤字(5月の予算案発表時は28億ドルの赤字)を見込む。基礎的現金収支の黒字化は、当初予定していた4年以内どころか、2019/20年度まで持ち越されると予想している。

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