東日本大震災1周年特別寄稿文 内閣総理大臣 野田佳彦

東日本大震災特集

 

特別寄稿

東日本大震災1周年

震災1周年に向けた寄稿文

再生に向けた新たな決意

野田佳彦首相は3月12日、昨年3月11日の東日本大震災から1周年を迎えるにあたって、「オーストラリアン」「シドニー・モーニング・ヘラルド」など豪各紙に寄稿した。以下、オーストラリア国民に向けて寄稿したメッセージの全文を、在オーストラリア日本国大使館および外務省の協力を得て、日本語(仮訳)で紹介する。


2012年3月12日 日本国内閣総理大臣 野田佳彦


野田佳彦首相

東日本大震災が発生した3月11日は、日本人の心に深く刻まれています。日本が直面した未曾有の危機である大震災から1年を迎えるに際し、この震災という悲劇で被災された方々、そして自然災害による世界各地の被害者の皆様に謹んでお見舞い申し上げます。

私たちは震災の犠牲となった愛する家族、友人、仲間を忘れることはありません。そしてまた、日本に対して世界各国から寄せられた多大なる支援と連帯の表明も、決して忘れることはないでしょう。国際社会からの支援に深く感謝し、この場を借りて我が国による心からの感謝の意をお伝えいたします。

この1年、日本は復旧・復興に向けて大きく前進してきました。震災発生から1周年を迎え、(日本が)直面してきた多くの困難から教訓を得ていくことへの決意を新たにする機会としなくてはなりません。今、この困難の時こそ、日本の本格的な再生を始めるべき時であり、まさにその時を迎えているのです。

震災を機に(日本人に)醸成された強い結束力そして危機感をもってすれば、喫緊の課題となっている被災地の復興、東京電力福島第1原発の廃炉と被災地の除染に向けた取り組み、日本経済の再生に向け、一致団結して取り組むことができると私は信じています。

東日本大震災の復旧・復興に向けて、過去1年間、さまざまな戦略的な対策がなされ、予算措置、法制面の整備が行われました。また、復興交付金や復興特区の設立をはじめ、ワンストップで要望に対応できる組織として復興庁を立ち上げ、全体の司令塔として復興計画、活動を推進していきます。さらに、食品モニタリング検査体制が一段と強化されており、福島第1原発周辺地域の生活空間の除染には1兆円以上の国費が投入されています。

今、震災の被災者の方々をはじめ、多くの国民が抱く最も大きな不安は非常に基本的なもの、すなわち働く場の確保と、家族と安心して過ごせる毎日の生活です。「開かれた復興」の下、復興特区制度やその他の取り組みを活用することで、被災地に国内外から新たな投資を呼び込むと同時に、被災地の産業振興とイノベーションを加速させることで、雇用創出を進めていきます。

岩手県大船渡市や陸前高田市、宮城県の東松島市等の被災地域を含め、日本全国で選定された「環境未来都市」は、その取り組みの1つです。予算、税制優遇措置や規制緩和策を通じ、スマートグリッド、メガソーラーや洋上風力発電を活用しつつ、コンパクトシティ型産業社会インフラや環境にやさしい地域インフラの開発を支援するための仕組みを提供していきます。日本は省エネ分野で世界のリーダー的存在であり、革新的な技術の蓄積では一日の長があります。今こそ、この経験を生かすことで、持続可能な成長の新たなモデルを創出し、世界と共有していくことができると考えています。

さらに、日本が世界をリードし共有していくべき知識は、災害リスクの低減(減災)と災害対策です。今回の震災が「想定外」の出来事であったという言い訳は、もはや通用しないということを、我々は最もつらく厳しい形で学ぶことになりました。

強靭な共同体を再生させ、自然災害に強い持続可能な国づくりを行うため、現在、災害対策全般を見直しており、抜本的な強化を行っていきます。 もちろん、日本が今直面している課題は、昨年の地震と津波、原発事故が起こる前から存在しているものです。日本は過去何年にもわたり、経済成長と財政再建の実現に向けて取り組んできました。しかし、その実現に時間がかかればかかるほど、問題は深刻化していきます。

私が昨年9月に総理大臣に就任して以来、国民に約束していることは、まず何よりも決められない政治から脱却しなくてはならないということです。国政の重要課題を先送りすることは、日本経済や社会、ひいては日本の未来にとっても悪影響をもたらし、そのままにすることは許されません。

現在、多くの復旧・復興プロジェクトが進展していますが、いずれも日本経済の再生に向けて重要な第1歩となります。世界経済の先行き不透明感に加え、歴史的な円高、長引くデフレというハードルはあるものの、日本経済は必ずや成長力を取り戻すでしょう。

日本経済が持つ独自の強さに加え、海外のパートナーとオープンに協力し知力を結集することで、新たな成長分野を開拓していくことが可能となります。また、エネルギー、環境、医療、介護の分野は日本を牽引する産業に成長する大きな潜在力を持っており、海外からの直接投資を含めて民間部門がイノベーションと投資を先導することで、世界市場で重要な役割を果たすことができると考えています。また、ビジネスだけでなく、観光促進の観点からも、日本への投資に対し国際社会の関心や日本への投資を増やすための支援体制を整備していきます。その前提条件として、国際社会に対し、タイムリーかつ正確な情報を提供していくことに注力していきます。

第2次世界大戦で焼け野原となった日本は、その後急速な経済発展を遂げ、石油ショックを乗り越える中、世界でも最もエネルギー効率の高い経済を作り上げました。東日本大震災から1周年を迎える今日、日本は再び国の再建という大きな事業に取り組んでいます。しかし今回は、単に震災前と同じ状態に戻すのではなく、新しい日本を造り上げるという目標に向かって進んでいます。歴史の残る大変大きな挑戦でありますが、私たち日本人は必ずや成し遂げていきます。

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