五郎丸、スタメンで出場もチーム敗退──鵜の目タカの目②

鵜の目タカの目② ― 特約記者・植松久隆による取材雑感

五郎丸、スタメンで出場もチーム敗退

文=植松久隆(Taka Uematsu/本紙特約記者)
ウイングのナブリに並走する五郎丸。この日はキックで6得点と存在感は発揮した(写真Nino Lo Giudice)

ウイングのナブリに並走する五郎丸。この日はキックで6得点と存在感は発揮した(写真Nino Lo Giudice)

いやはや、フラストレーションの残る試合だった。試合当夜の蒸し暑さのように、何だかねっとりと後味の悪い敗戦には、ポジティブに書ける要素が何もない。ただでなくても不人気のリチャード・グレアム監督の首筋にヒヤリと冷たい空気を感じさせるには充分なほどに内容のない敗戦。正直、チーム状態は最悪だ。

この日も、フッカーのファインガがケガで途中退場するなど、ケガ人があまりにも続出する状況には同情の余地はある。しかし、この試合のレッズにはこんなことを言いたくないが、トライできそうな気がまったくしなかった。実際、80分を戦い終えてノートライ。五郎丸のPC2本のみで、昨季の最下位チームであるフォースに22-6の力負け。

グレアム監督が「機能する自信がある」と語ったカーマイケル・ハントをセンターに起用するバックスの新布陣も不発で開幕2連敗。次戦のレベルズ戦(メルボルン)で、無様な負けを喫するようであれば、グレアム監督の責任論も一気に噴出してくるだろう。

地元紙のスポーツ版の表紙を大きく飾った五郎丸(筆者撮影)

地元紙のスポーツ版の表紙を大きく飾った五郎丸(筆者撮影)

どん底で喘ぐレッズの唯一の光明は、間違いなく五郎丸の存在。この日、初スタメンとなった五郎丸は、レッズのすべての得点を挙げて一定の存在感を見せた。それでも、得意のキックはこの日2/4(成功率.500)と、正直物足りない出来だった。

グレアム監督は、試合後の会見で「(五郎丸のキックの成功率は)期待していたほどではなかったが、とにかく試合の流れが向かなかった。彼はよくやっていた」とそのパフォーマンスには及第点。この日の五郎丸の全体的なパフォーマンスは、前節のワラタス戦からは間違いなく向上しているが、まだ、本来の出来ではないとの印象を受けた。

 そんな五郎丸をファンはどう見たのだろうか。彼らの生の声が聴きたくて、試合後会見を待つ僅かな時間を利用してゲート前に駆けつけた。公平な判断が聞きたかったので、ローカルのファンだけに声を掛けた。

「GOROがいてくれて良かったよ。彼がいなけりゃ、完封負けさ」

「最悪のチームの最高の選手だよ。思った以上に良い選手だね」

「キックはちょっと精度を欠いたけど、もっと良くなるはず。今のチーム状況だと、彼への依存度は相当高くなるね」

「GOROは、今のレッズにはもったいないほどの選手」

 彼に対する評価は概ね良好。しかし、これはチーム状態が余りにも悪すぎての相対的な評価アップと言えなくもない。本人もそのあたりは充分過ぎるくらいに分かっている。試合後の会見では「自分に与えられた仕事を今日は果たせなかったのが残念。キックでしっかり結果を残していかないと、チームの力にはなれない」と素直な気持ちを吐露。チームの敗戦もあって、淡々とした表情を崩すことは無かった。

 一夜明けた日曜日の朝。地元紙の日曜版「Sunday Mail」のスポーツ面の表紙には、五郎丸のお馴染みのポーズの写真とともに、”GOROですらも救えない惨めなレッズ。奇跡を祈ろう”との見出しが躍った。開幕わずか2戦を終えた段階で奇跡を祈らねばならないほどの状態にあるレッズ。なぜだか、大昔のヒット曲の替え歌のこんなフレーズが頭をよぎった。

「♪たとえばGOROがいるだけで、レッズが強くなれること……」

 この先、レッズが浮上していくには、五郎丸の獅子奮迅の活躍は欠かせない。レッズの15番の存在感が増せば増すほどに、勝利の可能性は上がる。

 豪州の地に降り立って、早1カ月。エンジン全開でチームを鼓舞する五郎丸の姿が、メルボルンでも見られるだろうか。

 私もメルボルンに飛ぶ―五郎丸の初トライ、初勝利を目撃するために。

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