アジア・カップ2015連動企画「中華人民共和国」

アジア・カップ2015連動企画

狙え・アジア王者

第2回 中華人民共和国
中国(11大会連11回目・最新FIFAランキング97位)
愛称:龍之隊(チーム・ドラゴン) 戦力:C 実績:C 目標:ベスト8

来年1月にオーストラリアで開催されるAFCアジア・カップ‘15の開幕まで150日を切ろうとしている。開幕直前まで6カ月連続で、大会の有望株を紹介する本企画。2回目の今月は、豪州在住の中国人コミュニティーからの盛大な応援が期待される中国を取り上げる。

過去15回のアジア・カップでは、日本の4回を筆頭に7カ国が優勝を果たしている。既にAFCに所属していないイスラエルを除く優勝経験国6カ国のすべてが、来年1月のアジア・カップに参戦する。しかし、その6カ国にはアジアのスポーツ大国・中国は含まれていない。

長年、その国力の規模からアジア・サッカー界の“眠れる獅子”と目されている中国。しかし、その実態は、最新のFIFAランキング97位、アジアに限定しても13番目と低迷。世界一の12億の人口を抱えるアジアのスポーツ一大強国の中国が、サッカーの国際舞台では、同じ東アジアの日本、韓国に大きく水を開けられている。世界のサッカー・ファンの中国サッカーに対するイメージは、あの悪名高い“カンフー・サッカー”の印象が根強く残り、ほとんどそれ以外の印象は薄いのではないだろうか。

中国の国内リーグ「スーパー・リーグ」は、ディディエ・ドログバやニコラ・アネルカといった世界的な名選手が移籍するなど、ここ数年、中東諸国に次ぐ金満リーグとして移籍マーケットに多くの話題を提供してきた。しかし、かつてのJリーグが経験したような「大物入団で国内リーグ活性化→国内レベルの相対的上昇→代表チーム強化」という好循環は、残念ながら中国では起きていない。


広州恒大中心の代表チーム。結果はいかに

中国では、サッカーはバスケットボールに肩を並べる人気スポーツだが、その関心はイングランドのプレミア・リーグやスペインのラ・リーガに向きがちだ。大物選手入団の波が去ったスーパー・リーグでは、元イタリア代表監督の名将マルチェロ・リッピが率いる広州恒大が4連覇を伺い君臨する。中国代表クラスの選手をかき集める広州恒大への“一極集中”は、国内の総合的なレベルアップを妨げる要因になっているとの指摘もある。

サッカー後進国にとって、代表チーム強化に密接に関わるのが有望選手の海外移籍。中国にとって、その身近なお手本となるのが、ほかでもない日本だが、中国はここでも日本と同じ道を歩もうとしない。2000年代初めに、イングランドでプレーした孫継海(貴州人和)、李鉄(既に引退)に代表されるように中国人選手の海外移籍が盛んだった時期もあったが、その流れは続かなかった。最新の中国代表の招集メンバー26人のリストに海外クラブに在籍する選手は1人もいないのが現状だ。

その中国代表の注目選手は、攻撃陣を牽引するFW林(ガリオン)(28歳・広州恒大)と、現代表で最も国際経験の豊かなMF鄭智(チャンチー)(34歳・広州恒大)の2人。期待の若手・張稀哲(チャンヒチョル)(23歳・北京国安)も、この大会でブレイクして、海外クラブにその存在を大いにアピールする可能性を秘める。

中国は、11年の前回大会に出場したものの、グループAで3位に終わり決勝トーナメント進出を逃した。それでも、アジア・カップには、76年の第6回大会から11大会連続出場して、準優勝2回(84年、04年)、3位2回(76年、92年)と、まずまずの成績を残している。


広州恒大で活躍する林が攻撃陣を牽引する

その中国にとってのアジア・カップでのハイライトは、自国開催の04年の第13回大会。反日デモの嵐が吹き荒れる中での大会は、日本に浴びせられた理不尽なまでの激しいブーイングが記憶に新しい。その大会で中国は、自国民の熱い応援の後押しを受け、決勝まで駒を進めたが、決勝で因縁の日本に敗れた。

中国の今大会の出場権獲得の道のりも、薄氷を踏むものだった。サウジアラビア、イラク、インドネシアと同組(グループC)に入った予選では、まさかの3位に終わる。勝ち点8で並んだレバノン(グループB・3位)に得失点差わずか1の差で、辛くも「予選各組3位の成績最上位国」枠に滑り込んでの予選通過だった。来年の本大会では、ウズベキスタン、サウジアラビア、北朝鮮と同組に入った。FIFAランキングでは、ウズベク、サウジに続く3番手の中国にしてみれば、何としても予選突破してベスト8を目指すというのが、現実的な大目標となるだろう。

ここ豪州の地で開催される大会での、中国代表チームの最大のアドバンテージは、当地の中国人コミュニティーによる盛大な応援が期待できること。非常に愛国的な彼らの「加油!」の熱い応援が、眠れる獅子を目覚めさせる可能性がないとは言えない。

文・植松久隆(本紙特約記者/ライター) Text by Taka Uematsu

日豪プレスOBでもあるフリーランス・ライター。本紙特約記者として、スポーツに留まらずさまざまな分野の記事を本紙に寄稿してきた。本紙連載で好評のコラム「日豪サッカー新時代」は5年目に突入、連載100回を目指す。豪州サッカーを日本に発信する自称“豪州番記者”として、さまざまなメディアで豪州サッカーについて発信中。

 

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