狙え・アジア王者 最終回 韓国

アジア・カップ2015連動企画

狙え・アジア王者

最終回 韓国
韓国(13回目・最新FIFAランキング66位)
愛称:アジアの虎 戦力:B 実績:B 目標:優勝 筆者予想:ベスト4

来年1月、豪州で開催されるAFCアジアカップ‘15の開幕まで50日を切った。開幕直前まで6カ月連続で大会の有望国を紹介する企画の5回目は、日本の永遠のライバル韓国。日豪両国にとって大きな壁として立ちはだかるアジアの虎が、アジアカップを戦うか、本紙連載コラムでお馴染みの植松久隆が予想する。

アジアカップの有望国を6回に分けて紹介してきた当連載の大トリは、我らが日本と決めている。従って、最終回前の今回は日本とアジアの雄の座を長年競ってきた最大のライバル韓国を取り上げることになる。

韓国は、アジアカップに今大会を含み過去13回に出場を果たしている。これはイランと並んで大会通算の最多タイとなる。その韓国のアジアカップでの実績は、以下のように「優勝2回、準優勝3回、3位4回」と、それなりの成績を収めてきているように見える。しかし、その実、日本ほどの成果を上げてきているわけではない。

韓国は、直近の4大会で3回3位になっているが、これは裏を返せば、なかなか決勝に勝ち上がれないということ。実際、最後に決勝に勝ち上がったのは、カタールで開催された第9回大会(1988年)まで、17年もさかのぼらなければならない(筆者注:この時は、決勝でサウジアラビアに敗れて準優勝)。そして、優勝2回はいずれも56年、60年の第1回、2回大会で、これらの大会の参加国はともにわずか4カ国なので現行の大会と同類項で扱うのには無理がある。

これらのデータからは“アジアの虎”と呼ばれ、実力国として遇されながら最近のアジアカップで、ほとんど結果を出せずにいる韓国の姿が浮かび上がってくる。ライバル日本には、アジアカップの結果だけの比較では完全に置いていかれているといっても差し支えあるまい。

韓国は、予選グループで豪州、オマーン、クウェートとグループAに入った。韓国、豪州というアジアの実力国が同じ組に入ったこともあり、このグループは予選最大の激戦区、いわゆる“死の組”となった。このグループを勝ち上がるには、勝ち点を確実に拾っていくことが重要になる。韓国にとって一番重要な試合は、何といっても、1月17日の豪州戦(@ブリスベン)。この試合は、両国ともに予選の天王山になると万全の準備をしてくるだろうし、見応えのあるガチンコ勝負が見られそうだ。


©AFC Asian Cup 2015

ここで、現在の韓国代表の様子をチェックしておこう。6月のブラジルW杯は予選リーグを1分2敗と勝利を収められないまま、最下位で敗退。W杯で指揮を執った洪明甫(ホン・ミョンボ)は、大会後に辞意を表明。いったんは、大韓サッカー協会が続投を決定するも、その1週間後には選手起用などさまざまな批判にさらされていた洪が辞任を決意して退任した。その後の新任の選びも難航。曲折を経て、ドイツ人のウリ・シュティーリケの監督就任が発表されたのは、9月になってからだった。

その結果、9月の親善試合(5日ベネズエラ戦、8日ウルグアイ戦)は、申台龍(シン・テヨン)監督代行が指揮。シュティーリケの初采配は、10月10日のパラグアイ戦まで待たなければならなかった。その試合には快勝、新体制は幸先の良いスタートを切ったように見えたが、その後は3試合1勝2敗。現時点での戦績は4戦2勝2敗の五分となっている。リアルマドリードの中心選手として活躍するなどプレーヤーとしては輝かしい経歴を持つシュティーリケは、監督としてもドイツのアンダー世代の代表監督を長く務めるなど豊かな経験を持つ。新監督が韓国をアジアカップでの躍進へと導くことができるのか――まずは、お手並み拝見といきたい。

戦力的には中盤の人材には事欠かない。日本戦での猿真似騒動で物議を醸した奇誠庸(キ・ソンヨン/スワンジー・25)を始め、具滋哲(ク・ジャチョル/マインツ・25)、李青龍(イ・チョンヨン/ボルトン・26)など20代中盤のヨーロッパでプレーする有力選手が顔をそろえる布陣は重厚感がある。

FWは、欧州でなかなか結果を出せないまま中東に移籍した朴主永(パク・チュヨン/アル・シャバブ・29)、2年ぶりに招集されてすぐに結果を残した大ベテランの李同国(イ・ドングク/全北現代・35*筆者注:かつては李東国と表記も07年に改名)が、いまだに活躍できるようでは正直厳しい。

最大の注目選手は、期待の若手FW孫興民(ソン・フンミン/レバークーゼン・22)。小学校、中学校は特定のクラブに入らず、元韓国代表の父の英才教育を受けたという非常にユニークな経歴の持ち主。高校在学時に、ブンデスリーガの名門ハンブルガ―SVのユースから声が掛かり、そのままステップ・アップして、ハンブルガーSVのシニアでデビューを果たす。13年には、レバークーゼンに移籍、今季もレギュラーとして10試合4得点の結果を出している。韓国代表の未来を双肩に担う孫が、持ち前のスピードを生かして左サイドを駆け上がるシーンが多く見られれば、韓国の今大会の展望も開けてくる。

繰り返しになるが、韓国のアジアカップは初戦のオマーン戦(10日/キャンベラ)、続くクウェート戦(13日/キャンベラ)で勝ち点を確実に積み重ね、ケガやカードの累積などを極力避けての万全の態勢で、17日の豪州とのブリスベン決戦に臨めるかどうかの一点に懸かっている。

果たして、アジアの虎は豪州の地で咆哮(ほうこう)することはできるのだろうか。

文・植松久隆(本紙特約記者/ライター) Text by Taka Uematsu

日豪プレスOBでもあるフリーランス・ライター。本紙特約記者として、スポーツに留まらずさまざまな分野の記事を本紙に寄稿してきた。本紙連載で好評のコラム「日豪サッカー新時代」は5年目に突入、連載100回を目指す。豪州サッカーを日本に発信する自称“豪州番記者”として、さまざまなメディアで豪州サッカーについて発信中。

 

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る