第66回 QLD 貢献

日豪サッカー新時代

第66回 貢献
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

熱心なファン・サービスで知られるGKジェイミー・ヤング。気さくな人柄だが、ピッチでは好セーブの連発でファンを沸かせる(筆者撮影)
熱心なファン・サービスで知られるGKジェイミー・ヤング。気さくな人柄だが、ピッチでは好セーブの連発でファンを沸かせる(筆者撮影)

年が明けて、本格的な“フットボールの夏”が到来した。コアなサポーターたちがスタンドに戻り、ようやく、あるべき姿に戻ったAリーグは折り返し点を過ぎて、ファイナル出場権争いがますます白熱してくる。

現在首位を走るブリスベン・ロアは、先月、第10節のホーム・ゲームをケアンズで開催した。ロアにしてみても実質的な“遠征”となった試合には、5,162人の観衆が集まった。その数の多寡を論じることにさほどの意義は感じないが、少なくとも、州極北部の中心都市ケアンズのサッカー熱がある程度は証明されたと思う。

QLD州は、過去2つのクラブを消滅させた前歴を持つ。それだけに、非常に限られたエクスパンションの機会が、すぐにまたQLD州に与えられるとは考えにくい。実際、キャンベラやジーロングといった地域の方が、Aリーグ側の優先順位も高いだろう。

しかし、ケアンズの持つポテンシャルも軽視できない。人口は着実に増加、将来的な20万人都市が視野に入っている。ケアンズで将来的なAリーグ入りを目指して活動するFNQヒート(NPLQ/州1部)が、今後どのように活動を続けていくかが、夢の実現の大きなカギとなる。

現状、QLD州唯一のAリーグ・クラブであるロアだが、その地元での人気も決して安泰ではない。ロアは、まずは全豪第3の都市のクラブにふさわしいサポートを市民から得なければならない。今夏、全国的に大入りで活況のBBL(T20クリケットのリーグ戦)のブリスベン・ヒートというライバルに怯えているだけではいけない。彼らのプロモーションやショー・アップなどに、ロアが学ぶべきことは多い。

しかし、「先ずは隗より始めよ」だ。やはり、地道なファン・サービスこそが重要だ。ホームでの試合後、選手がピッチを囲んで待つファンと気軽に写真撮影やサインに応じるのは、スタジアムの日常風景となった。

その中でもGKジェイミー・ヤングのファン・サービスの徹底ぶりにはいつも感心させられる。冗談抜きで、1人残らずサインをして、全員と会話を交わす。ここまで徹底する選手を他には知らない。スタジアムで彼と親しく言葉を交わしたファンの多くは、その後も継続的に彼とロアを応援する。それは、やがて「クラブ愛」へと育つ。そんな地道な積み重ねこそがクラブの観客動員を下支えする。そのことを知る苦労人のジェイミーは、ピッチ外でも大きくクラブに貢献している。そんな彼に大きな拍手を送りたい。


【うえまつの独り言】
オリルーズがいよいよ五輪行きの切符をかけてU−22選手権の戦いの場に臨む。ロアからは、FWマクラーレン、ボレロ、DFドナキーの主力3選手が選出された。チームの大事な時期に主力が抜けるのは痛いが、五輪切符を持ち帰ってくれると信じて、彼らの活躍を願いつつ応援したい。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る