日豪サッカー新時代(QLD)第70回「遮二無二」

日豪サッカー新時代

第70回 遮二無二
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

ピッチでの頑張りがチームメイトからの信頼につながった(写真:Go Zamurai)
ピッチでの頑張りがチームメイトからの信頼につながった(写真:Go Zamurai)

Aリーグのシーズン終了と同時に足が遠のいていたローカル・サッカーの熱戦をのぞきに行った。今回のお目当ては、豪州3部相当のブリスベン・プレミア・リーグ(BPL)の名門キャパラバ・ブルドッグスに所属する平山裕二(25)。

今季で豪州3季目を迎える平山を個人的に贔屓にしてきた。こういうコラムの筆者という立場上、特定の選手に肩入れし過ぎるのは避けるべきなのかもしれないが、同郷、しかも育った町が隣同士、更には、彼の出身校が筆者の兄の母校ともなれば、もう応援しないわけにはいかない。

知り合ってからというもの、折に触れて「きちんとした結果ば残したら記事にしちゃる」と伝えてきた。そして、ようやく、今月号で彼を取り上げることにした。シーズン真っただ中の彼は、まだ何も結果は出していないが、それでも書こうと決めた。

平山は、決して器用な選手ではない。むしろ、日本の尺度に当てはめれば不器用な部類に入るだろう。中高はローカル・クラブで競争に明け暮れ、地元の進学校から進んだ関東大学サッカーの名門・国士館大で大学サッカーの荒波にもまれた。平山の最大の武器は無尽蔵のスタミナと、それに裏打ちされた彼一流の「頑張る」スタイルだ。

その自慢のスタミナによる機動性は間違いなくBPLでもトップクラス。しかし、「頑張る」だけでレギュラーが張れるほどBPLは甘くない。平山は走り回ってチームの攻撃の起点となり、多くのアシストなどでチームの得点のほとんどに絡むことにより、チームでの確固たる居場所を得ている。

今回、久しぶりに彼の「頑張る」スタイルをスタンドから観ていて思った。彼のスタイルは、今を時めく岡崎慎司のそれを彷彿させる。ここ豪州では、元来、日本人選手にはオージーにはないプレーのきめ細やかさや洗練されたテクニックが要求されてきた。しかし、今後は岡崎の強烈なイメージもあって、日本人の諦めずに走り続ける愚直なまでの献身的プレー・スタイルも求められるようになるかもしれない。

「今日は足を運んで頂いたにも関わらず恥ずかしい試合をすみませんでした」と1-3で敗れた試合後に律儀なメッセージを送ってきた。現行のBPLは超混戦。平山は、その残り試合を遮二無二やり通すつもりだ。止まってはいられない――3季目のシーズンに何かを成し遂げるためには。


【うえまつの独り言】
リーグ戦と並行のF FAカップ開催もあって、最近は週2日の頻度でローカル・クラブの試合を観戦できるようになった。お住まいの近くのローカル・チームの次のホーム試合にぜひ足を運んでみてはいかがだろう。EPLにはない面白さが、NPLやBPLにはある。

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