日豪サッカー新時代(NAT)第71回「動向」

日豪サッカー新時代

第71回 動向
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

3年前のW杯最終予選オマーン戦のサッカルーズ。ケーヒル、シュワルツァー、ホルマンの姿が見える(FFA提供)
3年前のW杯最終予選オマーン戦のサッカルーズ。ケーヒル、シュワルツァー、ホルマンの姿が見える(FFA提供)

前回取り上げたAリーグきってのレジェンド、アーチー・トンプソンの移籍先が決まったとの報道があった。前回のコラムで「愛するクラブを去った時の涙から見て、他のAリーグ・クラブでプレーすることを潔しとしないのではないか」と書いたが、どうやらその予想は正しかったようだ。報道によれば、トンプソンの移籍先として確実とされるのがメルボルン郊外に本拠地を置くハイデルベルグ・ユナイテッド。ギリシャの中でもマケドニアに近い地域出身の移民によって設立された歴史のあるクラブで、現在はビクトリア州1部(豪州2部相当)のNPLVICで戦っている。

しかし、その報道の翌日には、米国で休暇中のトンプソン自身が「まだどこともサインしていない」とツイート。この原稿を書いている時点では、トンプソン移籍のニュースは宙に浮いてしまっている。それでも「火のないところに煙は立たない」わけで、実際、いくつかのNPLクラブからのアプローチの中で、ハイデルベルグと踏み込んだ交渉をしているのは事実だろう。Aリーグでも獲得を考慮するクラブがあり、マレーシアからは既にオファーが届いているという彼が最終的にどこに落ち着くのか、じっくりと見守りたい。

1人のレジェンドがAリーグを去れば、また新たなレジェンドが海外から戻って来る。新旧サッカルーズの主力選手で豪州復帰の可能性が取り沙汰されるのは、ティム・ケーヒル、マーク・シュワルツァー、ブレット・ホルマンといったサッカルーズのレジェンドばかり。ケーヒルは、現所属の杭州緑城との契約が切れた後、他の中国リーグのオファーを待ち、その動向次第では豪州復帰の可能性が一気に高まる。確執が噂されたFFAのギャロップCEOとの関係にも良化の兆しが見られるなど、豪州が誇る英雄凱旋の地ならしは進んでいる。

昨季のプレミア・リーグでサプライズ優勝を果たしたレスターの控えGKとして、大きなタイトルを手中にしたシュワルツァーも今年で43歳。プレミア・リーグ制覇の達成感をして自らの欧州での輝かしい経歴にピリオドを打ち、母国復帰を考える可能性は高い。もし、そうなれば全体的にGKの人材不足のAリーグの複数のクラブが大ベテラン獲得に動いても驚きはない。

さて、このオフ・シーズンで何人のレジェンドが母国に錦を飾ることを選択するのだろうか。そのあたりの動向を興味深く注視していきたい。


【うえまつの独り言】
W杯最終予選の豪州での日豪戦(10月11日)の開催場所が決まらない。メルボルンMCGとシドニーANZスタジアムの間で激しい綱引きが続く。MCGは観客収容数は多いが、観客席からピッチまでの距離があり過ぎるのが難点。ANZスタジアムでも8万人超収容するのだから、そちらで十分だと思うのだが……。

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