日豪サッカー新時代(QLD)第83回「競合」

日豪サッカー新時代

第83回 競合
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

Aリーグ拡張への正式参入を発表するロバート・カバルッチ代表(FCブリスベン・シティー公式フェイスブック・ページより転載)
Aリーグ拡張への正式参入を発表するロバート・カバルッチ代表(FCブリスベン・シティー公式フェイスブック・ページより転載)

今オフ、豪州フットボール界の枠組みに関しての議論がかまびすしい。実現性はともかく、豪州の広範囲から手が挙がるAリーグ拡張の「2枚の切符」争いと、それに伴っての全豪の下部リーグの有力クラブによる「2部リーグ」構想なども含めて、さまざまな思惑が絡み合いつつの百家争鳴が続く。

QLD州では、ブリスベン(及び周辺地域)第2のクラブ、ゴールドコースト並びに州北部でのクラブの再興、州極北部からの新規参入などの動きがある。それらの動きを見守る他州の視線は殊更厳しい。短いAリーグの歴史で、「クラブ消滅」に関してQLD州は“前科2犯”。「二度あることは三度ある」と他州のフットボール界は、貴重な2枠の1つがQLD州に渡ることに極めて懐疑的なのだ。

しかし、どうやらAリーグとその勧進元のFFAは違うらしい。シドニー、メルボルンで味を占めた「ダービー」のうま味を、豪州第3の都市ブリスベンでの再現し、「三匹目のドジョウ」を掬おうとしている節がある(当然、推測の域は出ないが)。そんなFFAの期待に応え得るブリスベン第2のクラブ候補に名前が挙がるのは、ブリスベン・シティー、ブリスベン・ストライカーズ、そして衛星都市イプスウィッチでのフランチャイズ確立を目指すウェスタン・プライドの3つ。

その中で、緻密に練られたプランと共に参入争いに正式に打って出たのが、ブリスベン・シティー。名門クラブが、市内中心部至近のバリモア・スタジアムをその所有者である州ラグビー連盟と協同して再開発していくという動きは、その地理的要件なども相まって、かなりキャッチー。これで最後発ながら有力候補に躍り出た。

一方、ブリスベン随一の古豪ストライカーズは、長らくその参入への動きが取り沙汰されるも、なかなかはっきりした方向性を示せないでいるうちに今回シティーに出し抜かれてしまった格好。ライバルの派手なアピールの後には余程、具体的かつ斬新なアイデアを掲示出来ないとインパクトは薄い。来年から、近郊のローガンに練習拠点を移すブリスベン・ロア、前述のイプスウィッチ方面の動きとの駆け引きを含めて、周囲を驚かせるようなプランを掲示しての巻き返しが図れるか、今後の動きを見守りたい。

競合するどこが選ばれるにしろ、「ブリスベン・ダービー」の実現は、この地域のフットボール界に大きな恩恵をもたらすことは違いは無い。


【うえまつの独り言】
本稿で触れたブリスベンの名門2クラブ。その直接対決は、QLD州NPLでは事実上の「ブリスベン・ダービー」とされる。それぞれのクラブに、シティーには筧基樹、ストライカーズには大森啓生が所属。いずれも中心選手として活躍しているだけに、今後のクラブの動きなど興味深い話が聞けそうだ。

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