日豪サッカー新時代(NAT)第84回「栄冠」

日豪サッカー新時代

第84回 栄冠
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

豪州のローカル・サッカーの未来が論じられている今、FFAカップの舞台で下部リーグのクラブの頑張りが見られることの意味は大きい(筆者撮影)
豪州のローカル・サッカーの未来が論じられている今、FFAカップの舞台で下部リーグのクラブの頑張りが見られることの意味は大きい(筆者撮影)

全豪の732のフットボール・クラブが1つの優勝カップをめぐりしのぎを削る大会も、今年で4回目を迎えた。

7月末から、いよいよAリーグの10クラブが参加するラウンド32が始まり、日本の天皇杯に当たるFFAカップは一気に本格化する。ここまで勝ち上がった下部リーグ22チームの大多数を、豪州実質2部の各州のNPLクラブが占めるのは当然だが、実質3部クラスのリーグからも5クラブが勝ち上がっていることも見逃せない。

Aリーグの各クラブは、この大会の初期ラウンドを新シーズンに向けての船出のタイミングで戦う。一方、下部リーグのクラブはリーグ戦のたけなわで迎える。その両者の置かれたコンディションの違いが、時として一発勝負のカップ戦の醍醐味でもある、いわゆる“ジャイアント・キリング”を演出する。ラウンド32では、4試合組まれるAリーグ対下部リーグの試合で、どのような番狂わせが起きるのだろうか。

気になる日本人選手だが、ラウンド32には現時点で7人の登録が確認出来る。その筆頭は、昨季同様に唯一の日本人Aリーグ・プレーヤーとなりそうな楠神順平(WSW/29)。勝負の2季目の始動を順調に迎えるためにも、初戦のウェリントン・フェニックス戦は重要となる。

最も多くの日本人がプレーするNPLNSWからは、昨季のNPLファイナルを制したシドニー・ユナイテッド58の一員として臨む新裕太朗(27)、現行のリーグ戦でMVP級の大活躍を見せる関谷佑(APIAライカート/25)。首位を快走するクラブで頑張る小長谷勇太(ブラックタウン・シティー/24)。更には州北部NNSWNPLからも、2年連続の大会出場となる森保圭悟(エッジワース・イーグルス/24)、けがから復帰間もない砂田琢己(ブロードメドゥ・マジック/23)が参戦する。今年、QLD州からの参戦は小野穣暉(FNQヒート/23)、ただ1人(QLD版17年8月号掲載)。

過去3大会、決勝は全てAリーグ同士の対決となったが、下部リーグのクラブがその歴史を塗り替えられるか。日本人選手は、セミ・ファイナルの壁を越えられるのか。一発勝負のカップ戦は、多くの波乱がさまざまなドラマを演出する。栄冠はどのクラブに輝くのか――今年も大会を大いに楽しみたい。


【うえまつの独り言】
日豪戦が近づいている。やはり、日本のフットボール・メディアは豪州代表の動きが気になるようだ。筆者のところにも、ちらほらとコンタクトが来始めた。8月31日、埼玉決戦、現地でつぶさに見て来ようと思う。その取材の成果は本紙で取り上げてもらえれば良いが。

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