日豪サッカー新時代(QLD)第87回「四銃士」

日豪サッカー新時代

第87回 四銃士
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

試合後にはお互いの健闘を讃えあった。左から平山、池田、三上(筆者撮影)
試合後にはお互いの健闘を讃えあった。左から平山、池田、三上(筆者撮影)

9月16日、ゴールドコースト・プレミア・リーグ(GCPL/豪州3部相当)のグランド・ファイナル(GF)GCナイツ対ブロードビーチの一戦に足を運んだ。

「ナイツ」とくれば、クロアチア系と相場が決まっているが、今季のGCPLシーズン王者のGCナイツもその例に漏れない。この日の先発には、3人の日本人選手が名を連ねた。ピッチ上で若い選手に声を掛け続け、変わらぬ存在感を発揮するベテランの三上隣一(36)。今季からのボランチで新境地を拓いた平山裕二(25)は、肋骨の負傷が癒えていないとは思わせぬほどの運動量で攻守のあらゆる局面に顔を出した。金髪に髭でどこか茫洋(ぼうよう)とした風貌の川上亮佑(24)は、切れのあるドリブルで右サイドを駆け上がる技巧派。“スケ”の愛称で親しまれる彼が、その豊富な足技をして相手DFをかわすたびに「0le!」の声がピッチ脇から上がった。

クロアチア伝統の赤白市松模様を身にまとった“三銃士”。そのいずれもシーズンを通しての活躍を見せ、欠かせない戦力としてクラブのタイトル獲得に大きく寄与、GFのピッチでもシーズンの充実度が伝わる動きを見せた。それでも、この夜のスポットライトは3人のいずれでもない4人目の日本人に当たった。

ナイツが先制しリードを保った試合は、残り5分で劇的に動いた。試合の最終盤、三上が退いた後のナイツの左サイドに出た綻びをブロードビーチは見逃さない。同サイドを突く反撃の中心で効果的な動きを見せたのが池田圭太(22)。ピッチを離れれば後輩として可愛がってもらう先述の3人や屈強なオージー相手でも遠慮なく対峙するその姿には、ブラジルで3年のプレー経験があるのも頷ける。同リーグのサーファーズ・パラダイスからシーズン途中で移籍して、ポジションが重なったベテランに「ケイタを使うなら、俺は途中出場でも構わない」と言わしめ、実力でポジションを奪った。そんな男は、GFの大舞台でも大逆転劇の決勝ゴールの起点となり、きっちりと仕事をしてみせた。

試合後の三上は「今日はケイタでしょ」と後輩の頑張りを素直に讃えた。チームメイトと歓喜の輪に身を委ねる池田の姿には充実感が漲(みなぎ)っていた。平山は教え子に囲まれ柔和な顔を見せ、川上は悔しさを隠さなかった。今季のGCPLで確かな存在感を発揮した“四銃士”。彼らのような日本人選手の頑張りこそ、取り上げられるべきなのだ。


【うえまつの独り言】
何とかサッカルーズが凌いだ。シリアとのホーム&アウェーのプレー・オフを辛うじて勝ち上がった豪州は、11月の北中米カリブ海予選の4位チームとのプレー・オフに向かう。相手はまだ分からないが、ここでもしっかり勝たねばならない。ポスタコグルー監督の去就がどうだとかはとりあえず置いて。

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