日豪サッカー新時代(QLD)第88回「不振」

日豪サッカー新時代

第88回 不振
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

昨年の今頃は、まだ柔和な表情を見せていたジョン・アロイジ監督(写真=Nino Lo Guidice)
昨年の今頃は、まだ柔和な表情を見せていたジョン・アロイジ監督(写真=Nino Lo Guidice)

ブリスベン・ロアが振るわない。10月開幕のAリーグ2017/18シーズン、ここまでの5試合で2分3敗と勝ちがない(11月10日現在)。勝ち点わずか2という体たらくで最下位でないのが不思議なくらいだ。

正直言えば、今年のチームには開幕前からあまり期待が持てなかった。プレシーズン・マッチでもなかなかエンジンがかからず、FFA杯も早々に敗退。補強も決して順調に進んだとは言えないなど、あまりにもポジティブな要素が見えなさ過ぎた。

今季のチーム編成は、ベテラン偏重が進んで年齢分布はかなり歪(いびつ)。日系のMFカレッティ丈や有望なサイド・バックのデーン・インガムなど伸び盛りの若手の起用もあるにはあるが、若手とベテランの間をつなぐ中堅層の人材不足で戦力に厚みがない。新外国人選手のイタリア人FWマッシモ・マッカローネは38歳、メルボルンVから移籍してきた元チュニジア代表のファヒド・ベンハルファーも35歳。イタリアでの実績が充分とはいえ、その年齢を不安視して契約更新されず惜しまれつつ去ったレジェンド、トーマス・ブロイッシユより2歳年上のマッカローネを獲得する補強戦略には多くのファンが首を傾げた。

3-3と打ち合いで何とかドローに持ち込んだ10月22日のアウェーのウェリントン戦。その試合の先発メンバーを見ていて驚かされた。11人中30代が8人。19歳のカレッティと共に27歳のDFルーク・デヴィアとDFジャック・ヒンゲルト以外が30代。実にその平均年齢は31.45歳に達した。けがで離脱中の34歳のMFトーマス・クリステンセンが戻れば、カレッティと22歳のミッチェル・オックスボロウで埋めるボランチの一枠も彼のものとなる。そうなれば、もっと平均年齢は上がる。

フットボールは、もちろん年齢でやるわけではない。経験が若さを凌駕(りょうが)して、大きな結果を生むことも往々にしてある。しかし、今季のロアは勝てない。点もなかなか入りそうな気配がなく光明が差さない。層の薄さを考えれば、これから暑くなる中で選手の疲労蓄積なども大きな不安要素。やはりベテラン中心となるとこの辺もボディー・ブローのように効いてくる。

ジョン・アロイジ監督からは、今のところ悲壮感は見えない。しかし、悪い流れを断てないまま、「まだ序盤戦」などと悠長なことも言っていられない。QLD州唯一のAリーグ・クラブには、何とか頑張ってもらいたい。選手の奮起を待ちたい。


【うえまつの独り言】
連載88回目の今月、これまでの経緯を踏まえれば「米寿」とのタイトルで、末広がりだけにハッピーなネタを提供したかった。あと12回掲載を続け来年の12月号を迎えると、なんと当連載は100回の大台に乗る。来年のことを言えば鬼が笑うのだろうが、まずは弛まず、休まず、積み上げていきたい。

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