日豪サッカー新時代(NAT)第89回「待望」

第89回 待望
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

ポスタコグルー前監督(左)とケーヒル(右)。まさか今年のW杯でこの2人の姿が見られない可能性なんて、この写真のころ、一体誰が想像しただろうか(筆者撮影)
ポスタコグルー前監督(左)とケーヒル(右)。まさか今年のW杯でこの2人の姿が見られない可能性なんて、この写真のころ、一体誰が想像しただろうか(筆者撮影)

アンジ・ポスタコグルー前監督の突然の辞任に続いて、またも「ティム・ケーヒルがメルボルン・シティー退団」と豪州代表関連の大きなニュースが世間を騒がせた。しかし、このニュースに、さほどの驚きはなかった。所属先のウォレス・ジョイス監督との確執が以前から伝えられ、実際、出場機会も限られていたケーヒルが痺(しび)れを切らして出場機会を求めて動くことは十分に予想できた。

W杯まで半年を切った今、所属先で出番を得られていないことは試合勘を鈍らせるだけでなく、代表の新監督へのアピールの機会も持てないことで代表落選という最悪の結果につながりかねない。その思いがケーヒルを駆り立てた。しかし、当然ながら退団にもリスクはある。新天地が見つからないリスクが現実のものになれば、それこそ全てを失いかねない。それでも38歳になるケーヒルは思い切った。

これまでの移籍の経緯で「銭ゲバ」のイメージが強いケーヒルが、出場機会の確保を最優先させ賃金闘争を控えれば、需要がまだ見込めるだろうことも彼を後押ししたに違いない。ポスタコグルー前監督の横浜F・マリノスの監督就任の噂とリンクさせ「ケーヒルも横浜か」なんて報道もあるようだが、しょせんは“新聞人事”。いずれにしても、新監督の構想に漏れないためにも、早めに次を決め、新クラブでの定位置確保が求められることは、誰よりも本人が分かっているはずだ。退団後、既に早1週間が過ぎて特に進展が見られない現状は、6月のW杯を目指すサッカルーズの陣容にも大きく関わってくるだけに多くの人が心配しつつ事の推移を見守る。

サッカルーズの後任人事には動きがあった。昨年末13日の夜、「グラアム・アーノルドにオファー」との速報記事にネット上は色めき立った。しかし、これを本人が「オファーなんてない」ときっぱり否定。国内では、ほぼ唯一の選択肢のアーノルドに対して、海外候補者の“新聞人事”は、ゴラン・エリクソン、ユルゲン・クリスマン、フィリペ・スコラーリと、いずれも噂の域は出ないまでも、豪華な名前が連なる。FFAは監督選考期限を「2月中旬」と既に明言している。待望の新監督は、アーノルドがシドニーFCとの兼任という超裏技でW杯に臨むか、世界的名将のワンポイント・リリーフか。その答えが出るまではもう少し掛かりそうだ。焦らずに待とう。


【うえまつのひとり言】
本来ならば、FFAの運営に関するゴタゴタをこのコラムでも取り上げなければならない。ただ、事はそう簡単ではなく1,000文字そこらで書き切れるネタではない。もう少し事の推移を見守ってから、しかるべきタイミングで取り上げたい。まずはFIFA介入でどう動くかを見守ろう。

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