日豪サッカー新時代(QLD)第93回「新天地」

第93回 新天地
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

ローガンの新しいグラウンドでのトレーニングで汗を流すブリスベン・ロアのイレブン(読者提供)
ローガンの新しいグラウンドでのトレーニングで汗を流すブリスベン・ロアのイレブン(読者提供)

ブリスベン・ロアがファイナル・シリーズ進出ギリギリのところで喘(あえ)いでいる。勝ちで進出圏内ギリギリの6位で最終節に臨める、ファイナル争いのライバルWSWとの直接対決。そこで、まさかの0-3と大敗するも、何とか足が徳俵に掛かった状態で踏ん張った。それでも、最終節で勝っても他力本願は変わらず、現在6位のWSWが引き分け以上であれば、最後の望みは断たれる。来月、今季の総括で良い結果を伝えられれば良いのだが。

そのロア、実は大事なシーズンただ中に大きな引っ越しをした。ブリスベンの南にあるローガンは急成長を見せるブリスベンのベッド・タウン。誘致されていたローガン市の新設スポーツ施設の目玉のクラブ・ハウス兼専用練習場がようやく完成したのだ。

これまでのロアは、練習場とクラブ・ハウスのジプシー状態がしばらく続き、その話は渡りに船。長らく使っていたブリスベンのインナー・ノースにあるバリモア・スタジアムでは、大家のQLDラグビー連盟と賃貸契約で揉め、一旦はグリフィス大学のグラウンドを使用していた。そのグラウンドの状態が良くないと分かると、同連盟と和解、再びバリモアへとなかなか落ち着かなかった。オフィスも、バリモアからペリー・パーク、再びバリモアとこちらもジプシー状態だったが、ようやく安住の地を得た。

このロアの“ローガン進出”。その多くは噂の域を出ないまでも、さまざまな憶測を呼んだ。ようやく動き出したAリーグのエクスパンションでは、「第2のブリスベンのクラブ」待望論は少なからずある。その有力候補となる2つのブリスベンの古豪のうち、ブリスベン・ストライカーズはロアが一時オフィスを間借りしたペリー・パークの持ち主であると同時に、ローガン地域で若年層の普及に努めてきたクラブ。もう一方のブリスベン・シティーは、ラグビー連盟と組んで老朽化の進むバリモアを再築して使用するプランでのAリーグ入りを目指している。うがった見方になるが、ロアがバリモアを引き払い、郊外に新天地を得たのは、ストライカーズの領域に進出することを承知の上で……。

ブリスベンには、14年前のAリーグ発足時のロアのAリーグ参入の過程で、さまざまな軋轢が生じた過去がある。歴史は繰り返すのか。それとも、コンセンサスが整わないうちに他地域に拡張枠をさらわれるのか――。何だかきな臭くなってきた。


【うえまつのひとり言】
今やブリスベンの絶対的守護神となったジェイミー・ヤング。今年で契約が切れるにもかかわらず、契約更改が決まらないことでやきもきさせられたが、やっと来季の契約を更新。日本行も噂された今が旬のGKは、来季以降もブリスベンの門番としてゴールを死守する。

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