日豪サッカー新時代(QLD)第96回「実感」

第96回 実感
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

サッカルーズの将来を担う逸材ダニエル・アルザーニがやって来る(Photo: Moto)
サッカルーズの将来を担う逸材ダニエル・アルザーニがやって来る(Photo: Moto)

FFA杯の季節がやって来た。国内カップ戦王者を決める日本の天皇杯に相当のノック・アウト方式のトーナメントには、毎年、ラウンド32から国内トップ・リーグであるAリーグの10クラブが参入。Aリーグと下部リーグのクラブが実戦の場で顔を合わせる数少ない機会でもある。

それぞれのリーグ戦の日程が大きく異なることで、毎年、Aリーグ・クラブは新しいシーズンを見据え新チームにとって新戦力を試すプレ・シーズンの場と捉え、州トップのNPLなど下部リーグはシーズンたけなわでこのラウンドを迎える。リーグ戦での状況が芳しくないクラブは、この一発勝負の大会で“大物食い”して勝ち上がることを最大目標としているケースもあったり、上昇志向の強い選手にとっては、Aリーグへの売り込みのまたとないチャンスでもある。

先程も書いたようにAリーグ・クラブはチームを作っている段階。もし、クラブの補強ポイントと合致する選手がその素質を十分にアピールすれば、すぐに「練習参加」というチャンスが与えられる。実際、そんなチャンスをつかんでAリーグ入りを実現させる選手もいる。更には、かつて、Aリーグを沸かせた選手がセカンド・キャリアとして下部リーグでプレーしていることもあり、「あ、彼は……」と懐かしい顔に出会うのもFFA杯の楽しみの1つだ。

QLD州に目を向けると、ベスト32にはAリーグのブリスベン・ロアを筆頭に5チームが進出。NPLQ(州1部)からは、共にブリスベンの強豪オリンピックFCとライオンズFC、極北から昨年までのFNQヒート改めケアンズFC。そして、州2部相当のQPLに勝るとも劣らないレベルの高い戦いを繰り広げるGCPLからゴールドコースト・ナイツが堂々の参戦だ。

先日行われたラウンド32の組み合わせ抽選を見て、びっくり。何と、本拠地も近接してリーグで首位争いを演じるオリンピックとライオンズのライバル対決が、いきなり初戦で実現した。少ないQLDチームがいきなり潰し合うのは少々残念だが、現在、リーグ戦でも激しく鎬(しのぎ)を削る両クラブの対戦(7月25日午後7時半キック・オフ、ライオンズ・スタジアム)は見逃せない。

我らがロアも、豪州フットボールの次代を担う至宝MFダニエル・アルザーニ擁するメルボルン・シティーをレッドクリフ(8月7日、ドルフィン・スタジアム)に迎える。FFA杯の興奮、至宝の輝き、ぜひ、ピッチ・レベルで実感して欲しい。


【うえまつのひとり言】
文中、ダニエル・アルザーニについて触れた。この選手、間違いなく、来年は豪州にはいない。今年、ロアはメルボルン・シティーを1試合しかホストしないとなると、今回のFFA杯での対戦は無理をしてでも観に行くべき。若き至宝が世界に飛び出す前に、ごく至近距離で天才の輝きをその目に焼き付けて欲しい。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る