第34回 NAT 日豪戦

 

第34回 日豪戦

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu


「迷」審判が試合を壊してしまったことも記憶に新しい昨年6月のブリスベンでの日豪戦(撮影=美濃諭)

もしかしたら、以前にも似たようなタイトルを冠した回があったかもしれない。もし、そうなら、それだけ思い入れが強いんだなと思って流していただきたい。

日豪戦—。豪州のアジア参入以来、ともにアジアのサッカー強国である日豪両国の真剣勝負。今回は、W杯最終予選の佳境での激突となり、日本は「ホームで本選出場を決めるラスト・チャンス」、豪州は「予選通過には負けられない」という両国ともに強いモチベーションで臨んでくるだけに、激戦必至。

筆者の気持ちは、もう既に今回の対戦の舞台である埼玉に飛んでいる。日豪戦は、なるだけ現地で見るよう心掛けてきたが、今回もその例に漏れない。当連載のタイトルからも透けて見えるように、筆者には「日本と豪州のライバル関係の成熟こそ、アジア・サッカーのレベル向上にとって不可欠」との熱い思いがある。だからこそ、その両国のトップ・レベルでの力比べの場“日豪戦“に、自ら目撃者としてライブで感じ取り、足を運ぶのだ。

豪州が“アジア”に含まれて以来、日豪戦はW杯予選やアジア杯などの真剣勝負の場でしか戦われなくなった。7月20日から韓国で行われる東アジア選手権に、今年から豪州の参戦も決定、公式戦での日豪戦の機会はさらに増える。それはそれで素晴らしいことだ。

しかし、筆者は今の状況から、さらに一歩踏み込む必要性を感じている。日豪両国のライバル関係をより高みに導くには、筆者の長年の持論である「日豪定期戦」の実現が望まれる。毎年と言わず隔年でも構わないので、両国の定期戦の場を作る。アジアの覇権を争う相手と緩い雰囲気の親善試合を戦うことは、両国にとって大きな意味を持たない。それゆえに、両国の定期戦は自ずと白熱したものとなる。そして、その定期戦が、その時々でのベスト・メンバーが激突する“ガチンコ勝負”となるよう、JFAもFFAも最大限の努力を払うように取り決めれば、日豪戦のステータスは日韓戦のそれにグッと近づく(追い越すことは決してないであろうが)。

韓国や中国などと違って、政治的、文化的相克を持たない豪州との真剣勝負は、非常にヘルシーなライバル関係として、ほかのアジア諸国にもポシティブな何かを発信するものになる。

日豪定期戦の実現、これを強く願うばかりだ。


【うえまつの独り言】
6月4日の日豪戦の結果で、豪州のW杯予選敗退が決まるわけではないが、もし負ければ非常に厳しい立場に陥るのは間違いない。彼らは日豪戦の後、間をおかずに大事なホーム2連戦を戦うだけに、3連戦の初戦で無様な試合はできない。うむ、いつになく、熱い日豪戦になるぞ。
 

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