第31回 NAT 予感

 

第31回 予感

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu


シドニーという都市とその周辺の環境が、BIG3の獲得の大きな助けになったのだろうか(撮影=日豪プレス)

デル・ピエロがシドニーFCとの契約を更新した。本人も家族もシドニー生活を満喫しているようで、巨額な年俸よりも環境面という要素が今回の「残留」と言う決断にかなり寄与しているように感じられる。さすがに、世界有数の住みやすい都市として知られるシドニーだけある。シドニーのその恵まれた環境は、デル・ピエロほどの大物選手でも虜にするキラー・アイテムであることを図らずも証明した形だ。

その恩恵を受けうるもう1つのクラブが、ウエスタン・シドニー(WSW)だ。WSWは、目下、小野伸二のマネジメントと残留を基本線に鋭意交渉中(締め切り現在)である。小野自身もインタビューの際にも環境の良さは認めていたし、クラブやチームメイトなどにも心底満足している様子が伺えるので、彼の残留が発表されるのも時間の問題だろう。WSWサポーターにとっては、Aリーグ史上初の参入初年度Vの快挙と小野の残留決定の吉報が同時に届く予感。

話を再びシドニーFCに戻す。フランク・ファリーナが、イアン・クルーク前監督の後を襲って早3カ月が過ぎた。ファリーナと言えば、弱冠35歳でサッカルーズの監督に就任し、6年余り務めたのは記憶に新しい。その後は、2009年に飲酒運転の不祥事もあったが、気持ちを前面に出す熱血漢として評判は高い。

彼の就任後のシドニーFCは、V字回復とはいかずとも、ひと時の最下位からジワジワと浮上。チームの血の入れ替えにも積極的で、自分の理想のチームを作るために妥協の姿勢は見せない。補強面でも、シドニー育ちのサッカルーズ主将のルーカス・ニールをシーズン終了までのゲスト契約で獲得するなど積極的に動いた。まずはファイナル参戦を確定し、そのファイナルの晴れ舞台で、元祖ビッグ・クラブとしての存在感を存分にアピールしてみせる心づもりであろう。

生ける伝説デル・ピエロと熱いファリーナのコラボレーション、何かを生みそうな予感がある。それがこのファイナルなのか、来季のAリーグなのかは分からないが、シドニーFCからも目が離せなくなってきたことだけは確かである。


【うえまつの独り言】
少し前に、次に豪州でプレーを見たい日本人選手は誰? と聞かれた。小野伸二の竹馬の友である高原直泰(現東京V)なんて面白いと思った。でも僕の本命は、中村。俊輔ではなく憲剛。あのプレー・スタイルなら十分に通用するとずっと言い続けているのだが…。
 

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