第54回 QLD 交流

 

第54回 交流

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu


牧歌的なセスノックのスタジアムでは、多くのサッカー少年が食い入るように試合を見守る姿も見られた(筆者撮影)

この原稿の締め切り(13日)時点では、我らが日本代表はニューキャッスルでのパレスチナ戦に4−0で勝利、豪州の地でのアジア・カップの戦いをスタートさせたばかりだ。

4日、日本代表の事前合宿地のNSW州セスノックを訪れ、昨年のクラブW杯で話題を集めたオークランド・シティとの練習試合を取材した。NSW州の田舎町セスノックのスタジアムは、多くの日本人やローカルのファンで大盛況だった。この日のスタジアムで多く見られたのは、両親に連れられて観戦に訪れた当地に暮らす多くの日系の子どもたち。彼らは、本田圭佑や香川真司といったスーパー・スターを擁する憧れの日本代表を手が届きそうな距離で見られる、夢のような時間を満喫した。

そんな子どもたちを、試合後にさらなる興奮が待っていた。本田は、試合にフル出場した疲れも見せず、観衆と直接触れ合えるバック・スタンドに足を運んでサインや写真撮影のファン・サービスに勤しんだ。その場では、多くの子どもたちが思わぬスーパー・スターとの交流に笑顔を爆発させていた。

それだけではない。いわゆる出待ちのファンには、ほぼ全員の選手がかなり時間をかけてサインに応じた。ある日系の子は、選手のサインが入ったユニフォームを誇らしげに母親に見せ「お母さん、これが本田、これが香川…」と個々のサインを指さし語りかける。そんな我が子を「良かったね」と目を細めながら見守る母親。この日、これに似た微笑ましい光景がスタジアムのあちこちで繰り広げられたに違いない。

日本代表は、サッカーを愛する子どもにとっては憧れだけでなく、目標として仰ぎ見る存在。ここ豪州でも、多くの日系の子どもたちが「未来の本田」を夢見て、日々サッカーに打ち込んでいる。そんな中から将来的に「豪州育ちの日本代表選手」が誕生する可能性だって十分にある。

セスノックの合宿期間中には、近隣の日系の子どもたちが選手と記念撮影する機会が設けられ、日本代表の公式サイトには顔をほころばせる子どもらの写真がアップされた。2戦目の会場のブリスベンでも、在住の日本人の熱い気持ちが届き、当初は選ばれた子どもだけが日本代表と交流の場を持つはずだったのが、急遽、試合翌日の練習が一般公開されることになった。

こういった得難い交流の機会で、多くの日系の子どもが日本代表にインスパイアされる。そんな中から、いつの日か日系代表選手が輩出されて、ブリスベンに凱旋する—そんなことを夢想する。


【うえまつの独り言】
アジア・カップ期間一時休止中のAリーグに嬉しいニュースが飛び込んできた。小野伸二が所属していたWSWに前広島の高萩洋一郎と前川崎F所属の田中裕介が加入。バリバリのJリーガーが他クラブの誘いを断っての来豪。当面はACLのみの契約だというが、久々の日本人選手を応援したい!

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