第57回 NAT 大混戦

 

第57回 大混戦

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu


何とかファイナル出場権を得たロアは4回目の戴冠を目指す。写真は昨年のGF(写真提供:Brisbane Roar FC)

今年のAリーグは、例年にない大混戦のまま、最終節を迎えようとしている。第26節を終了して残り1試合となった段階で、首位を走るメルボルン・ビクトリーと、勝ち点3で追うシドニーFCに計算上の優勝の可能性が残っている。しかし、シドニーFCが優勝するには、まず最終節でメルボルンVがセントラルコーストに惨敗し、そしてシドニーFCがアウェーでウェリントン・フェニックスを相手に現時点で付いている得失点差7を埋めるだけの大量得点で大勝することが条件。仮に、メルボルンVが0-2で敗れても、シドニーFCが逆転をするには5点差以上の勝ちが必要。そう考えると、メルボルンVのシーズン制覇の可能性は限りなく高い。とはいえ、最後の最後まで何が起こるか分からないのが、サッカー。最終節の試合終了のホイッスルが鳴り響くまでは、まったく気は抜けない。

シーズン王者よりは、ファイナル・シリーズを制したファイナル王者をして真の王者と認めるAリーグ。それだけに、毎年、シーズン最終盤にはファイナル進出権を得られる6位以内に入るための激しい争いが見られる。しかし、今年は何とも勝手が違った。例年は、自動的に順位表の上から6チーム目までがファイナル進出を決めるのだが、今年は違う。

というのも、現在の順位上では3位に付けるパース・グローリーの重大なサラリー・キャップ規定違反が発覚。パースは、既にファイナル進出権の剥奪処分を受けたのだ。従って、最終節の結果でパースがいかなる順位でシーズンを終えとしても(注:1−4位で終わる可能性が残る)、自動的に7位という扱いになるのだ。要は、本来の順位表であれば7位に当たるチームが、今年に限って特例で出場権を得るのだ。

このラッキーなチームは、昨季のファイナル王者のブリスベン・ロア。今季、ここ数年にはないほどの不調に見舞われ7位に沈んでいたロアだが、まさに「棚から牡丹餅」でファイナル出場権を得た。昨季王者の参戦決定で、ファイナルの舞台の役者はそろった。10チーム6チームが参加できるという垣根の低さに根強い批判はあれど、Aリーグの醍醐味はファイナルにこそ詰まっているのは間違いない。

大混戦のシーズンの延長線上で行われる一発勝負のファイナル、いったいどんな驚きのドラマが待ち構えているのだろうか。5月に始まるファイナル・シリーズの熱戦、ぜひ、生観戦してドラマの目撃者となることを強くお勧めしたい。


【うえまつの独り言】
このコラムの締め切りの翌日、ACLの次節を控えている。WSWが鹿島をホームで迎え撃つ。シーズンでは低迷したWSWもACLでは王者のプライドを発揮、健闘している。首の皮一枚繋がっているブリスベンともども、残りのACLでの豪州勢の活躍を期待したい。

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