第58回 NAT 君臨

 

第58回 君臨

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu


メルボルンVのキャプテン、マーク・ミリガン。代表でのアジアカップ制覇も含め、キャリア・ハイとも言える最高のシーズンを送った(写真=メルボルン・ビクトリーFC)

メルボルン・ビクトリーがレギュラー・シーズンとファイナル・シリーズをともに制する「完全優勝」を成し遂げ、Aリーグの14~15年シーズンは終了した。この完全優勝で、メルボルンVは、シーズン優勝、ファイナル優勝回数でともに3回とリーグ最高記録に名を連ね、名実ともに豪州随一のビッグ・クラブとなった。

今季のメルボルンVは、レギュラー・シーズンでは、2位のシドニーFCとの勝ち点差は3で、独走した訳ではない。それでも総得点数56、総失点数31はともにリーグ最高の数字を記録しており、実力的には抜けていた。ファイナルでは、シーズンの上位2チームがグランド・ファイナルまで勝ち上がり、2010年以来となるメルボルンV対シドニーFCの“ナショナル・ダービー”が最高の舞台で実現した。

その2010年の対戦では、メルボルンVはPK戦で敗れて涙をのんでいる。そのPK戦でメルボルンVの1本目を外して天を仰いだのが、当時キャプテンを務めていたケビン・マスカット、現在のメルボルンVの指揮官だ。マスカットは11年まで現役でプレーした後、アシスタント・コーチを経て、13~14年シーズンの冒頭に豪州代表監督就任のために退任したアンジ・ポスタコグルーの後を襲い、監督に就任。そのシーズンは4位で無冠に終わるも、今季ではブリスベンから「3シーズンで50ゴール」という実績を誇るFWベサート・バリシャを獲得するなど、素晴らしい補強で隙のないチームを創り上げることに成功。誰もが認める強さで快挙を成し遂げた。

現役時代から頭に血が上りやすいことで有名で、時にはとんでもない悪質なファールを見せるなど激しいプレーで鳴らしたDFだったマスカット。彼のその性格をして監督には不向きとする声も根強くあった。しかし、彼はそんな批判に対して、文句の付けられない結果でもって反証してみせた。そんなマスカット監督だが、ピッチ・サイドでは現役時代同様、とにかく熱い。しばしば、審判のジャッジに激しく異を唱え、大きな声とジェスチャーで選手を鼓舞するシーンが見られる。

かなり気が早いようだが、来季のAリーグも、ほとんどの主力が残留するメルボルンVを中心に回るのではないだろうか。マスカット監督という熱血漢に率いられるメルボルンVが、熱いプレーで、来期に再び君臨しても驚きはしない。


【うえまつの独り言】
WSW高萩洋次郎、田中裕介両選手にシーズン終了のタイミングで話を聞いたが、まさかのACLの敗退はやはりショックの様子。WSWの来季の始動に2人の姿は見られるのか、2人の去就が気になるところだ。ぜひとも戻ってきてもらいたいものだが……。

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