第59回 QLD 衝撃

 

第59回 衝撃

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu


就任会見でのアロイージ新監督。自信あふれる様子で抱負を語った(筆者撮影)

5月7日、ブリスベン・ロアの周辺に衝撃が走った。地元紙のスクープで、要約すれば「ロアが深刻な経営難。オーナー財閥が撤退?!」という報道がかけ巡ったからだ。

思い起こせば、地元の複数のビジネスマンたちによる元オーナー・グループの撤退を受けて、クラブの経営権を暫定的に握ったFFAが、次なるオーナー探しに奔走していたのが11年の10月。ようやく、隣国インドネシアの財閥バーキー・グループがクラブを買収するというニュースが飛び込んできた時、外国資本に買収されるというネガティブな印象よりも、資金が潤沢になってクラブの足腰が強くなるならば歓迎との気持ちで、新オーナーを迎えたものだった。

しかし、蓋を開けてみるとどうだっただろうか。買収直後に打ち出されたさまざまな構想のほとんどは、かけ声倒れに終わった。彼らが設備の充実などに思い切って資金を投じているというような話は聞こえてこなかった。それでも、13~14年シーズンには3度目となるファイナル制覇を達成、成績面では成果を上げてきた。その間、観客動員は増加を続けたが、シーズン6位と成績が伴わなかった今季になって、それも大幅減少に転じた。

そこへ来て、バーキー・グループの本業の業績不振の煽りもあって、クラブの経営状態は悪化していった。先述の地元紙記事では、選手の給料の遅配や、ホーム・スタジアムの州営のサンコープ・スタジアム使用料が未納であることもすっぱ抜かれ、クラブの危機的状況が一気に白日の下にさらされた。

それでも、バーキー財閥が引き続きクラブ経営にコミットすることを確約、さらには地元の旧オーナーたちも支援のため経営に参画する可能性を示唆するなどの動きもあり、その騒動は何とか沈静化に向かった。

そんなロアが危機的状況から立ち直り、再生、発展していくには、成績の安定とそれに伴う観客動員のさらなる増加が求められる。シドニー、メルボルンに次ぐ規模のフランチャイズを持ち、Aリーグ有数の実績を誇るロアには、今後ビッグ・クラブへと育っていくポテンシャルがある。それを生かすも殺すも地元のサポート次第ということで、ジョン・アロイージ新監督の下で覇権奪取を目論む来季のブリスベン・ロアをどんどんと盛り立てていかねばならない。日系社会でも少しでも多くの人に応援してもらえるよう、今後も機会を捉えて発信していきたい。


【うえまつの独り言】
WSWに所属していた高萩洋次郎、田中裕介の2人の退団が決まった。2人ともというのは想定していなかったので驚いた。退団後の2人の去就はまだはっきりしないが、今後の両選手の新天地での活躍を願って止まない。

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