オーストラリア・モトGP2015観戦ガイド

二輪界の世界最高峰モトGP2015年第18戦オーストラリア・グランプリが10月18日、メルボルン南部のフィリップ島で開催される。昨年のチャンピオン、新星マルク・マルケスは大方の予想を裏切って大不調。一方でベテラン勢ががんばっており、優勝の行方が混迷している。メーカーではベテラン勢2人が騎乗するヤマハが、マルケスのホンダに対して圧倒的に有利な展開となっている。

熾烈な争いを繰り広げるベテラン勢

モトGPは、モトGPクラス(1,000㏄エンジン)、モト2クラス(600㏄)、モト3クラス(250㏄)の3つのクラスがある。最高峰はモトGPクラスで最高時速は350kmにも達する。

転倒で苦戦するマルク・マルケス
転倒で苦戦するマルク・マルケス

昨年は18戦中13戦で優勝したマルク・マルケス(ホンダ/22歳、スペイン)が年間チャンピオンを獲得した。2位のバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ/36歳、イタリア)が2勝、3位のホルヘ・ロレンソ(ヤマハ/28歳、スペイン)が2勝、4位のダニ・ペドロサ(ホンダ/29歳、スペイン)が1勝であった。マルケス、ロッシ、ロレンソ、ペドロサは「4強」と呼ばれている。

開戦前のマスコミの予想はマルケスの年間チャンピオン3連覇であった。若い天才マルケスに死角はないと思われた。ところが今年は転倒リタイアに苦しんでいる。米国GPで勝利したものの、その後10戦までリタイア4回を繰り返し、英国GPでは早くも敗北宣言を出す始末である。HRC(ホンダレーシング)の中本修平氏はシーズン前に「マルケスの最大の課題は、集中力が欠けていると反応が遅れて転倒すること」と語っている。

一方、ヤマハのベテラン勢が熾烈な戦いを演じている。第13戦サンマリノGPまでロッシが4勝で247ポイント(P)、ロレンソが5勝で224Pである。モトGPは1位25P、2位20P、3位16P、4位13Pと15位1Pとポイント差が少ない設定なので1位を多く取るよりも安定して上位の順位を取る方が年間チャンピオン争いでは有利になる。ロッシは12戦までの全戦で表彰台に上がっているのがトップの理由である。

6年ぶりの王座か? バレンティーノ・ロッシ
6年ぶりの王座か? バレンティーノ・ロッシ

王座に執念を燃やすホルヘ・ロレンソ
王座に執念を燃やすホルヘ・ロレンソ

バレンティーノ・ロッシは15年間で9回の年間チャンピオンを獲得しており不世出の天才ライダーと言われ、世界中に熱狂的なファンがいる。6年ぶりに年間チャンピオンを奪回する好機であり本人もやる気十分だ。今年は開幕戦カタールGP、アルゼンチンGP、ダッチGP、英国GPを優勝してコンスタントな成績を残している。13戦以外のレースで表彰台を確保している点で年間チャンピオンの最有力候補である。

年間チャンピオン奪取を熱望しているのはホルヘ・ロレンソも同じだ。2010年と12年の2回、年間チャンピオンに輝いており、マルケスが脱落した今年は虎視眈々と王座奪回を狙っている。今年はスペインGPから4連勝し、チェコGPも制して最多の5勝だが、サンマリノGPで転倒リタイアなど表彰台を逃すレースも多く、ロッシに比べると安定性に欠けている。

ロッシ、ロレンソの戦いに一番影響すると見られるのはマルケスだ。優勝4回、ポール・ポジション6回、ファースト・ラップ6回と調子は決して悪くない。ロッシとロレンソが熾烈な戦いを繰り広げる中で、マルケスがレース優勝をさらうかもしれない点も今回の見どころの1つ。第16戦のオーストラリアGPまでチャンピオン争いがもつれ込む展開が予想される。

今年はヤマハが独走か!?

メーカー別(マニファクチャラーズ・ランキング)では、4勝のロッシ、5勝のロレンソを擁するヤマハが独走している。13戦まで1位9回、2位2回、3位2回のヤマハに対して、ホンダは大きく離されている。メーカー別も個人と同じ得点だが、決勝レースで各メーカーの最高順位ライダーの得点が獲得できる。

調子が上がらないダニ・ペドロサ
調子が上がらないダニ・ペドロサ

ホンダのダニ・ペドロサも今年は良くない。ホンダとの差がかなりあり、ヤマハの10年以来5年ぶりの優勝は間違いない。ヤマハのマシンはYZR-M1、水冷4サイクル並列4気筒、最高出力175kW以上、最高速度350km/h以上。ホンダはRC213V。水冷4サイクルV型4気筒、最高出力175kW以上。

ヤマハ、ホンダとも公道で走れる追加装備したレース車を一般発売している。ホンダのRC213V‐Sは日本で2,190万円、豪州で24.4万ドル。基本的にはレース車をそのまま一般公道を走れる仕様にしており、時速300km以上を出す性能がある。

スズキはGSX-RRで今年から再度参戦した。マシンの性能上はヤマハ、ホンダと遜色はない。アレイシ・エスパルガロとマーべリック・ビニャーレス(ともにスペイン)で1993年以来の優勝を目指している。

日本勢に対抗するイタリア、ドゥカティのマシンはデスモセディチGP15。第13戦までに優勝はないが、2位5回と優勝まであと一歩に迫って日本勢を脅かす存在だ。

イタリア勢ではアプリリアがアルバロ・バウティスタとマルコ・メランドリのライダーで復帰参戦している。ヤマハ、ホンダ、スズキの日本勢に対するドゥカティ、アプリリアのイタリア勢の対決も楽しみである。

注目の日本人ライダーは?

日本人ライダーでは、青山博一(32歳)が昨年、アスパル・ホンダへ移籍し、8位2回と68ポイントを獲得した。今年は手術で欠場したダニ・ペドロサの代役として第2戦米国GPから参戦し、第4戦スペインGPで11位に入った。

モト2クラスのエンジンはホンダ製600ccでタイヤはダンロップ・タイヤ製だ。ホンダ・チーム・アジアから中上貴晶(カレックス・ホンダ、23歳)が参戦している。若手ホープの中上貴晶は、昨年は元気がなかったが、今年は10位以内が4回と勢いを取り戻してきている。

また、若手ライダーの登竜門であるモト3クラスには尾野弘樹(ホンダ/23歳)と鈴木竜生(マヒンドラ/18歳)が参戦している。英国GPまでで尾野が15点、鈴木が6点を獲得。鈴木は一昨年、高校1年生で日本のレース界に本格デビューし、昨年はフランスへ留学、今年からモト3へ参戦した新星。モト2、モトGPでの昇格、活躍を期待したい。

文・写真=イタさん(板屋雅博)
日豪プレスのジャーナリスト、フォトグラファー、駐日代表
東京の神田神保町で叶屋不動産(http://kano-ya.biz/)を経営

観戦お役立ち情報

■レース・コース
 フィリップ・アイランド・グランプリ・サーキットは、メルボルンから140km南に位置し、コアラやペンギン・ツアーとして名高いフィリップ島にある。晴れた日には美しい海と緑に囲まれた世界一美しいサーキットと呼ばれるが、「咆哮する南緯40度」と恐れられるバス海峡から強烈な南風が吹き込むと世界一厳しい難コースに変わる。ホーム・ストレートは900mで全長4,448m。

■服装
 フィリップ島はバス海峡から冷たく強い風が吹き付ける。地元の人は、完全な真冬用防寒具に身を包んでいる。冬用ジャケットやセーター、また観戦時に会場で広げるビニール・シート、雨の日には会場周辺はぬかるみと化すので長靴もあると便利。晴れた日には日焼け止め、サングラス、帽子も忘れずに。

■交通
 メルボルンからはシャトル・バスが運行している。市内フェデレーション・スクエア裏手にバス乗り場がある。決勝戦当日は午前6時45分と9時半の2便が運行している。メルボルン空港から会場まで毎朝10時に直行バスも運行されている。

■イベント
 一番人気はライダーたちによるサイン会。16日と17日に行われ、マルケスなど世界のトップ・ライダーの直筆サインが入手できる。朝9時にサイン会場に並んで整理券をもらうこと。決勝戦のある19日の午前中は9時過ぎからスーパー・バイク・レースやモトGPのウォーム・アップなどが行われる。午後12時25分からは、モトGPライダーのパレードがある。13時からはモト3クラス決勝レース(23周)、14時20分からはモト2クラス決勝レース(25周)と続き、16時からモトGP(27周)がスタートする。サーキット内の各種レースだけでなく、さまざまなイベントが開催されており、朝早くから丸1日楽しみたい。

■2015 Australian Motorcycle Grand Prix
日程:10月16日(金)〜18日(日)
会場:Phillip Island Grand Prix Circuit, Cowes VIC
料金:一般$45(金)、$95(日)、グランド・スタンド$330〜、VIP$945〜
Web: motogp.com.au

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