【GC】2016サーフィン世界大会「クイックシルバー・プロ&ロキシー・プロ」

コンペティションで勝つサーフィンとフリー・サーフで魅せるサーフィンは大きく違う。世界中に独自のスタイルを持ったサーファーが存在する中、ストイックに競い合うことを選んだ選手たちはまさしくアスリートだ。そのサーフ・エリートたちによる美しく、しなやか、そして豪快なライディングの演舞。この歴史ある大会で、栄光のトップを手にし、今期第一戦を制するのは一体誰になるのだろうか? 文・写真=yasu kakurai

サーフィンの大会は、世界に点在する有数のサーフ・ポイントで技と技を出し合い、ポイント評価で競い合うスポーツ。相手に打撃を与え倒れるまで戦うというような競技ではない。自然の波に自分をアジャストさせる身体能力、限られた時間の中で駆け引きする判断力、そして強い精神力、それらの総合力を発揮できた者だけが世界の頂点に輝くことが許される。

選ばれし者だけが参戦できる「CT」

WSL(ワールド・サーフィン・リーグ)主催のCT(Champion Tour)今期第一戦・クイックシルバー&ロキシー・プロ2016が、世界有数のビーチ・ブレイクで知られるゴールドコースト・スナッパー・ロックスで3月10日~21日までの期間、最高のシチュエーションで開催される。

クイックシルバー・プロはメンズ・ヒートで、前年トータル成績を換算し、WSL-CTポイントランキング・トップ22人、WSL-QSポイントランキング・トップ10人とワイルド・カード2人の計34人で競われるチャンピオン・ツアーの1つである。

そして、ロキシー・プロがウィメン・ヒートで、前年成績からWSL-CTトップ10人、WSL-QSトップ6人、ワイルド・カード1人の計17人がCTに参戦となる。

メンズは年間11戦、ウィメンは年間10戦の中でランキングされ、グランド・チャンピオンが決められる。選手たちはこの狭き門を目指し、世界各地の大会へ向かうが、戦いに勝ち抜くのは簡単なことではなく、多くのサポートがあってこそ成し得る。

今大会の注目選手たち

毎年さまざまなドラマが生まれるこの大会「クイックシルバー&ロキシー・プロ」は、02年から始まり、今回で15回目のコンペティションとなる。過去を振り返ってみても、オーストラリア勢ではミック・ファニング、ジョエル・パーキンソン、タジ・バロウ、オーウェン・ライト、ジュリアン・ウィルソンと、挙げれば切りがないほどの有名選手がいる。彼らのサーフ・ラインは、太く力強いレール・ワーク、深いボトム・ターンから繰り出す真っ白く大きなスプレー、そしてアーティスティックな数々の技にあふれ、圧倒的な強さを実感させられる。これに加えてド派手なエアー・アクションに目を見張るものがある。

そんな中、やはり見逃せないのが、ガブリエル・メディーナ、エイドリアーノ・デ・スーザ、フィリペ・トレドなどブラジリアン・プロサーファーたちだ。大波はもちろん、小波であろうが、強風のジャンク・コンディションであろうが、きっちりとパワー・スポットにボードをかませ、高速スピードから一気に空へと飛び抜ける。そこに回転を加えた体とボードが見事に波へと着地し、次の技へとつなげていく。そのトータル・マニューバーは、新たなステージへの進化である。

そして、アメリカやハワイの選手たちのエッジの効いたパワフルなライディングや豪快なリップ・アクションも見ものとなる。アメリカのケリー・スレーターは、43歳の現在も王者に君臨し、今大会でも歓声を巻き起こす驚きのハイスキルなテクニックを披露してくれることだろう。

更に日本人にとって大きな見どころとなるのが、カノア・イガラシ(18歳)のCT参戦だ。幼少期から天才サーファーと呼ばれメディアでも多く取り上げられてきた。現在アメリカ国籍の彼だが、両親は日本人、つまり純粋な日本人である。その彼が世界最高峰であるCTの舞台に参戦権を得たことは、日本そして世界サーフィン史上初のこととなる。

ミック・ファニング、鋭いアクションを武器にするビッグ・サーフスター
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新星のごとく現れたガブリエル・メディーナ、今やCTの顔の1人
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優れた人間性、神がかった技、多くに長けた生きる伝説、ケリー・スレーター
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「CT選手になる」という夢をかなえた今大会注目のカノア・イガラシ
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日本人プロ、世界への挑戦と軌跡

先駆者であり、“世界に一番近い男”と言われた大野修聖のASP WQS 6スター「Estoril Quiksilver Pro 2009」(ポルトガル)にて準優勝という快挙が、現状最高成績だった。更に、若手プロ・サーファーの大原洋人(18歳)が、昨年の「WQS Vans US Open」(アメリカ・ハンティントン)で日本人初となるWQSでの優勝を勝ち取り、表彰台のトップを飾った。これを見て、身の震えを感じたサーファーは多かったことだろう。

日本人サーファーのレベルが少しずつ、そして確実に前進し始めている。「夢やイメージは願えばかなう」という言葉が、サーフィン界でも実証されているということだ。今大会でのカノア・イガラシの活躍に大きな希望と期待が膨らむ。

“本当のリアル”があるビッグ・イベント

WSL Championship Tourの大会を、目の前で間近で見ることは、その場の緊張感や躍動感、空気や時の流れを感じ、映像とはまた違い、「なるほど、ゴールドコーストがサーフ大国と言われる理由がこれなのか」という“本当のリアル”を味わえる。

世界屈指のサーフ・イベントに足を運び、トップ・レベルのサーフィンを感じてほしい。

■開催地:スナッパーロックス・クーランガッタ・ゴールドコースト
■期間:2016年3月10日~21日
■Web: www.worldsurfleague.com
※波のコンディションなどによりキラ・ビーチなどへ変更の可能性もあり。詳細は上記ウェブ・サイトにて要確認※チケット不要。駐車場はパブリック・パークを利用

[用語解説]
WSL CT(Championship Tour)とは?
年間でメンズ11戦、ウィメン10戦ある世界大会で、このツアーに参加できるのはメンズ34人、ウィメン17人のみ。※これらのコンテストにより、年間獲得ポイントで順位が付き、グランド・チャンピオンが決定する。

WSL QS(Qualifying Series)とは?
WSL CTの下に位置する2部リーグで、世界各国のサーファーがCT入りのチケットを得るために世界中のQSコンペへ参戦。さらに各々の大会そのものがグレード分けされており、ポイントに格差がある。
(例)
Volcom Pipe Pro(Oahu HAW)優勝者3,000ポイント
Australian Open(Sydney AUS)優勝者6,000ポイント
Vans US Open(California USA)優勝者10,000ポイント

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