目指せベスト・ラン フル・マラソン完走ガイド

目指せベスト・ラン

シドニー・ランニング・フェスティバル2017
フル・マラソン完走ガイド

毎年恒例、シドニーを代表するランニング・イベント「ブラックモア・シドニー・ランニング・フェスティバル」(シドニー・マラソン)の季節が今年もやって来た。初めてフル・マラソンにチャレンジするランナー、あるいは再挑戦というランナーも多いのではないだろうか。そこで本特集では、フル・マラソン当日までのコンディション調整から当日の準備、レース中のペース維持のテクニックなどをフル・マラソン完走歴14回を誇るベテラン市民ランナーの前田宏夢さんがご紹介。レース本番で会心のランニングを目指そう。

レース2週間前からの準備

最適なトレーニング

レース2週間前は休養期間、またはレース当日に心身両面のピークを持っていくための「ピーキング」という調整期間で、スタミナ増加と、スピード刺激、疲労を抜くことのバランスを取ることが必要です。

レース2週間前は、最後に距離を走る時期。レース直前に長い距離を走ることに不安を覚えるかもしれませんが、フル・マラソンを走りきるためには何よりもスタミナが必要です。2週間あればじっくり疲労を抜くことができるので、長い距離を走るようにしておきましょう。特に、初マラソンに挑戦する方や「サブ5」(5時間切り)を目指す方は、レース2週間前の土日を利用して、20㎞程度の距離を最低1回走っておくことをお薦めします。そうすることで自分の体の調子や、距離に対して体がどう反応するかを把握できます。レース前週は、距離は落として10㎞、5㎞といった距離をレースと同じペースで走るようにします。

また、レース2週間前の時期のトレーニングは、レース本番と同じ時間帯に行うことも重要です。それにより、レース当日も時間、気温に体が対応できるようになります。シドニーにお住いの方は、可能な限りコースに近い場所を試走しておきましょう。コースの特徴やポイントを知ることができるだけでなく、レース中も精神的に余裕を持てます。

NGなトレーニング

レース前だからといって急に追い込んだり、不安になってトレーニングで走る距離を増やしたくなるかもしれませんが、急な練習量アップは本番に向けてマイナス要因になるため、そこはぐっとこらえましょう。レースまでに疲れが抜けない、最悪の場合けがをしてしまいます。

また、トレーニングには思えないかもしれませんが、レース本番で「初めて」の状況を残してしまうこともNGです。例えば、レース中のエネルギー補給。ランニングだけでなく普段の生活を含め、エナジー・ジェルを飲まないという人は多いと思います。ただ、フル・マラソンではレース中に3,000キロ・カロリー以上を消費するため、エナジー・ジェルなどのエネルギー補給は必須。レース当日に普段と異なることをすると、ジェルが体に合わず腹痛を起こすこともあります。そこで、レース本番前のトレーニングであらかじめいろいろな種類のジェルを試しておくことも、トレーニングの一環になります。

この他に、シューズやランニング・ウェアもレース本番で「初めて着用」しないようにしましょう。シューズは言うまでもなく、ウェアも長時間のレースの中で慣れていない物だと、地肌とこすれ出血を起こします。そうなれば、走ることに集中できなくなりパフォーマンスへの影響は避けられません。

コンディション維持の方法

肉や魚、豆腐などのたんぱく質を含む食品をしっかり取ることで、体の回復と疲労の低下を促進します。またランナーにとっての敵が「貧血」。これは鉄分不足によって起こるので、緑黄色野菜やレバーなど鉄分を多く含む食べ物を食事に取り入れましょう。またエネルギーのもととなる糖質も大事なので、練習後にはスポーツ・ドリンクやゼリーなど糖分が多い物を摂取することで、疲労回復とスタミナ切れの起きにくい体を作ります。

レース3日前くらいからは「カーボ・ローディング」を行います。これは、ランニングに必要なエネルギー源となる炭水化物を多く摂り込む作業。ごはんやうどん、パスタなどの麺類、パンや果物を摂ってエネルギーを溜め込みます。カーボ・ローディングと同様に水分補給も大事な要素です。レース1週間前からは1日1~1.5リットルを目安に、1回でコップ1杯分くらいのお水をこまめに飲み体内に水分を補給しておきます。

一方で、レース直前の食事では特に生ものや脂質の高い肉、揚げ物は避けましょう。繊維質が高い物もレース前日や直前にはNG。消化が良くないので、当日にお腹の張りを感じることもあります。

レース当日、起床からスタートまで

当日の朝の過ごし方

レース当日はスタートの3時間前に起床し、一度しっかりメインの朝食を取っておきましょう。食事は米、パンなど炭水化物が良いですが、中でも腹持ちの良い餅がお薦めです。

そして、何度マラソンを経験してもレース直前は緊張するものです。家を出る前に、必ずレースに参加する上でのゼッケンを含めた最低限の荷物を持ったかチェックしましょう。

また、当日の朝に注意したいことは、カフェインや冷たいものを取り過ぎないということです。カフェインは運動のパフォーマンスに良い影響を与えるとも言われていますが、同時に利尿作用があるため、トイレに行く回数も増えレースへの集中が難しくなります。

スタート直前の調整

スタートは7時5分。直近3回のシドニー・マラソンのレース時6時台の気温は12~15度でした。まだまだ寒いことに加えて、バッグ・ドロップ(荷物預かり所)がレース25分前に閉じてからは着る物がありません。そこで、捨てても良い服またはウィンドブレーカーなどを羽織って体を冷やさないようにしましょう(捨てた服はチャリティーに回される)。

スタート直前の気掛かりは大きく2点、バッグ・ドロップとトイレです。バッグ・ドロップはレース開始25分前の6時40分です。最近ではテロ対策のために預け荷物のチェックが細かく行われるようになっており、当日は混雑が予想されます。シドニー・マラソンはスタートとゴールが近いため、バッグ・ドロップのクローズ時間がそこまで厳しくありませんが、早めに到着するようにしておきましょう。

そして、ランナーにとって一番厄介なのがトイレ問題。レース前は長蛇の列になります。シドニー・マラソンではトイレの数も多いですが、それでも15~20分待つので早めにトイレに行っておきましょう。もし早めに到着された方はハーフ・マラソン出走後の混雑が緩和されたタイミングでトイレを済ませることをお勧めします。

準備運動は、「静的ストレッチ」よりも「動的ストレッチ」を行いましょう。筋肉がこわばっていると血液の循環も悪くなりパフォーマンスに影響を与えるので、特に股関節、肩甲骨は入念に動かしておきます。


股関節(上)、肩甲骨(下)の可動域を広げることを意識しながらストレッチしよう
股関節(上)、肩甲骨(下)の可動域を広げることを意識しながらストレッチしよう

レース中の注意点

ペースを乱さない走り方

スタート時は、何千人ものランナーが一斉にスタートすることもあり、周囲のペースに引っ張られて普段よりもペースが早くなりがちです。フル・マラソンは人との競争ではなく、自分との戦い。序盤こそ飛ばしすぎず、目標としているペースを守るように意識しましょう。

また、フル・マラソンは3~5時間の長丁場のため、同じ筋肉ばかり使うと硬直してしまいます。そこで、フォームを意識的に変更することもペースを乱さないために必要です。例えば、「この10㎞は太ももで走ろう」、「次はふくらはぎ」というように体全体を使って走ることを心掛けましょう。

また、ペース・メーカーが目印の風船と共に15分おきのペースで走っています。集団で走るので一緒に走ってペースを保ったり、目安にしておくことでペースを保つことができます。

最後に、ペースを保つ秘訣として覚えておきたいことは、疲れた時こそ沿道の声援に応えたり、すれ違うランナーを応援すること。そうすることで、自分に意識が向かなくなり、苦しさや疲れを忘れられ、あっという間にレースを乗り切ることができます。

レース中のエネルギー補給を念頭に、ベストな状況で走れる用意をしておきたい
レース中のエネルギー補給を念頭に、ベストな状況で走れる用意をしておきたい

あると便利な装備品

フル・マラソンを走りきるためにあると便利なグッズを以下の通り紹介。

●ベルトまたはリュック
●エナジー・ジェル
●GPS機能付き時計
●ワセリン
●帽子

Blackmores Sydney Marathon (42.195KMS)
■開催日時:9月17日(日)7:05AM
■料金:$160(オーストラリア・ニュージーランド国内からのエントリー)、$195(他国からのエントリー)
■Web: www.sydneyrunningfestival.com.au/events/marathon



前田宏夢(まえだひろむ)
◎1986年生まれ30代のランナー。シドニーを拠点に「楽しむこと」をモットーに走っている。マラソン歴は、ホノルル・マラソン3回、ゴールドコースト・マラソン3回、シドニー・マラソン3回、キャンベラ・マラソン1回、メルボルン・マラソン1回、タスマニア・マラソン1回、東京マラソン2回の計14回の完走経験を持つ。ベスト・タイムは2時間50分05秒(ハーフ・マラソン1時間18分52秒)。シドニー・マラソンの最高位は30位。また、JAMS.TVでランニング・ブログ好評連載中(www.jams.tv/author/runningmaechan

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