豪州F1グランプリ(GP)2018観戦ガイド

豪州F1グランプリ(GP)2018観戦ガイド

モーター・スポーツ界最高峰、F1グランプリ(GP)世界選手権開幕第1戦であるオーストラリアンF1GPが、3月22日(木)から25日(日)までメルボルン市内のアルバート・パークで開催される。2014年以来、4連勝を続けるメルセデスが今年も勝利か、伝統のフェラーリが11年ぶりに復活優勝を遂げるか、新星フェルスタッペンとオージーのスター・リカルドを擁するレッドブルか、マクラーレンとの提携を解消したホンダは、トロ・ロッソにパワー・ユニット(PU)を供給するがその結果は? 見所満載の2018年オーストラリアンF1GPを紹介する(括弧内は昨年順位)。(文=板屋雅博)

新シーズンの開催地・技術規定の変更

 今年から開催地が1カ所増え21都市での開催となり、メルボルンは2011年より7年連続で年間最初の開催地となった。19年間開催されたマレーシアGPがなくなり、フランスGPとドイツGPが日程に組み込まれた。フランスGPは08年以来10年ぶり、ドイツGPは16年以来2年ぶりの復活となる。

 また、今シーズンからはレギュレーション(技術規定)の変更もある。かつては3,000cc以上の大型エンジンと大音響がF1の代名詞であったが、世界的なエコ化の流れでずいぶんと小型化している。現在のマシンについて説明しよう。

 V型6気筒1.6リッター・ターボ・エンジンが規定となる。エンジンには運動エネルギーと熱エネルギーを回生する機構が組み込まれており、パワー・ユニット(PU)と呼ばれる。今季から各ドライバーは3機のPUしか使用できなくなった。年間21レースに対して3PUとは最低でも7レースに耐えるようにメーカーは設計製造を要求されるため、過酷でコストが掛かり、資金力があるチームが有利であると、今回の技術規定変更は多くのメーカーから批判を浴びている。

F1GPを引っ張る各メーカーの動向

 新シーズンに臨むF1GP主要各メーカーの、これまでの動向について以下に紹介する。

●メルセデス(ドイツ)

 今年もメルセデスは、ルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスのコンビで戦う。

 チームメイトのニコ・ロズベルグが勝ち取った16年を除いて、ハミルトンは、08年(マクラーレン)、14年、15年、昨年と4回の年間チャンピオンに輝いた。もちろん、今年も最有力候補である。ロズベルグの引退により昨年はボッタスを起用したが、ボッタスは3勝して期待に応えた。

 メルセデスのPUを積むチームは、フォース・インディア(インド)とウィリアムズ(イギリス、5位)がある。フォース・インディアは、メーカー史上最高位の4位を獲得した。ウィリアムズもメルセデスPUを積んだ14年からは安定して上位に入賞している。

●フェラーリ(イタリア)

 昨年と同じセバスチャン・ベッテル、キミ・ライコネンでメルセデスに挑む。昨年メルセデスの668点に対して、フェラーリが522点と迫ってきている。

 メルセデス、マクラーレンと並ぶ御三家でF1の代名詞とも言える名門フェラーリは、08年を最後に年間チャンピオンから遠ざかっている。ベッテルは10年から14年の世界チャンピオン。

 ライコネンは07年の世界チャンピオンで現役最年長(37歳)。PUの改善状態では十分に年間優勝も狙える。フェラーリPUを積むメーカーは、ザウバー(スイス、10位)とハース(アメリカ、8位)がある。

●レッドブル(オーストリア)

 昨年3勝を挙げてメーカー別で3位であった。レッドブルを引っ張るのはオージーのダニエル・リカルドだ。優勝こそアゼルバイジャンGPの1回だけであったが、2位1回、3位7回と合計9回、表彰台に登り、安定した成績を残して年間5位に入賞した。パース生まれの28歳は、11年からF1に参戦、14年にオージー、マーク・ウェバーの引退によって正ドライバーに昇格し、いきなり3勝を挙げた。

 マックス・フェルスタッペン(オランダ、20歳)は、最も将来が期待される若手ドライバー。15年にトロ・ロッソからF1に参戦し12位だったが、デビュー戦のオーストラリアGPでは史上最年少出走(17歳165日)を記録した。16年にトロ・ロッソから兄貴分のレッドブルに移籍。移籍後初戦のスペインGPでF1初優勝を達成し、セバスチャン・ベッテルの当時の最年少優勝記録(21歳73日)を18歳227日に大きく塗り替えた。昨年は、中盤戦までリタイア7回と振るわなかったが、後半戦に2勝して6位に食い込んできた。リカルドとフェルスタッペンの活躍次第でレッドブルは躍進の可能性がある。

 フランス・ルノーPUを使用するのは、ルノーF1(フランス、6位)、マクラーレン(ホンダから変更、イギリス、9位)である。

●トロ・ロッソ・ホンダ(イタリア)

 ホンダは、昨年までのマクラーレンとの提携を解消して、F1レース存続の危機に立たされたが、トロ・ロッソと契約して今年からPUの独占供給を行う。トロ・ロッソとはイタリア語で赤い牛、つまりレッドブルと同じ名前の弟チームである。06年に参戦したが、7位、8位前後に低迷している。ベッテル、リカルド、フェルスタッペンなど有望なドライバーはレッドブルに移籍するので当然ではあるが。エンジンやPUは、フェラーリやルノーなどを年によって使い分けている。

 トライバーは、ピエール・ガスリー(フランス、21位、22歳)、ブレンドン・ハートレイ(ニュージーランド、23位、28歳)。それほど期待されるチームではないので、ホンダにとってはじっくりPUを開発できるとも言える。トヨタ自動車やブリジストン・タイヤなどが去った日本勢にとっては最後の牙城であり、「技術のホンダ」として意地を見せて欲しい。

左:名門フェラーリを引っ張るセバスチャン・ベッテル(Photo: AFP)、右上:自身5度目の年間チャンピオンを目指すルイス・ハミルトン(Photo: AFP)、右下:レッドブルの新鋭マックス・フェルスタッペン(Photo: AFP)
左:名門フェラーリを引っ張るセバスチャン・ベッテル(Photo: AFP)、右上:自身5度目の年間チャンピオンを目指すルイス・ハミルトン(Photo: AFP)、右下:レッドブルの新鋭マックス・フェルスタッペン(Photo: AFP)

PU開発競争

 メルセデスの快進撃は、驚異的なパワーに源泉がある。昨年950馬力を超えたとされるが、今年のPU W09は、更に強力になり1,000馬力を超えるレベルにきている。

 強力なPUと優秀なドライバーによってメルセデスは万全の態勢となっている。しかし、ライバルたちも負けてはいない。昨年フェラーリのFerrari 062は900馬力以上を記録し、今年のモデル063は、950馬力を超える。

 昨年、ルノーのPUにトラブルが多発した。900馬力以上のパワー向上を狙って新しいERS(エネルギー回生システム)を投入したが失敗に終わった。ルノー製PUを使用するレッドブルやトロ・ロッソは、シーズンを通じてマシン・トラブルが多発し、PUや部品不足によりリタイア数が大幅に増えた。トロ・ロッソがルノーを捨て、ホンダを選んだ理由もここにある。ホンダを捨て、ルノーに走ったマクラーレンは吉と出るか凶と出るか?

 昨年のホンダPURA617Hは、900馬力には届いてなく、力の差は歴然。フェルナンド・アロンソはホンダPUへの不満を何度も表明している。今年の新型RA618Hがどこまでライバルに迫れるかが勝負である。あまりに劣るようではF1から去ることになるだろう。ホンダのPUを積むのは現在のところトロ・ロッソだけである。

 先行するメルセデスとフェラーリと挑戦中のホンダやルノーのPU開発競争と搭載するチームの活躍と挫折なども興味が尽きない。


文・写真=イタさん(板屋雅博)
日豪プレスのジャーナリスト、フォトグラファー、駐日代表
東京の神田神保町で叶屋不動産(http://kano-ya.biz)を経営

F1観戦の楽しみ方

入場ゲートとお薦めの観戦場所

 F1GPレースは、美しいアルバート・パーク湖を周回する5.3キロの公道を使用して行われる。広大なアルバート・パークのどこで観戦するかは重要なポイントとなる。

 1番ゲート周辺はアミューズメントが集中していて便利だが、かなり混雑する。各ゲートで無料地図を入手し、レース開始2時間前には観戦場所を確保しよう。アルバート・パーク湖が中央にあり、レース・コースの外側に場所を取るか、陸橋を渡って内側に回るかは早めに決めたい。陸橋はレース開始30分前から大混雑する。

MAP

1番ゲート
 陸橋を渡り、湖側を左へ行くと第2コーナーから第3コーナーにかけて、広い芝生の丘があり、お薦めの観戦場所で直線での高速F1の走りを楽しめる。

2番ゲート
 入場しやすくて便利。入って右側や陸橋を超えて右側に芝生席が広がり、スタート直後の第2コーナーから立ち上がって高速走行に入るF1マシンの疾走を楽しめる。第3コーナーから第6コーナーは、カーブが多く加速減速を繰り返す低速での走行が楽しめる。観客席との距離も近く、F1マシンとの一体感も楽しめる。スピンや事故が起こりやすいのもこの辺り。特にスタート直後は、目を離せない。

3番ゲート
 市内からは一番近いゲートだが、近くに陸橋がなく、狭いスペースで混雑するので避けた方が無難。

5番ゲート
 入場しやすいが人気地区からは遠い。第9コーナーは、スピンしやすい場所でクラッシュの可能性があり劇的なシャッター・チャンスが望める。

8番ゲート
 第10コーナーから13コーナーにかけては、F1マシンの高速が楽しめるバック・ストレッチ。この辺りは観客が少なくお薦めで、グッズの販売店、イベント広場、キッズ・コーナーもあり、家族連れがのんびり楽しめる。アルバート・パーク湖に仮設浮橋が掛けてあり、反対側に歩いて湖を渡ることができるので、湖の両岸を行き来して楽しむのも一手。レース前になると往来する人が増えて入場制限されるので注意。

10番ゲート
 GP専用トラム・ストップあり。第15コーナーは、左曲りシケインで一番減速する場所。写真撮影には最高の場所。陸橋を渡ってメイン・ゲート前の催し物地区へのアクセスも良く、お薦めの地区。

アミューズメント・ゾーン
①レジェンズ・レーン(1番ゲートを入ってすぐ右側)
 F1各チーム公式グッズ販売店、F1名車展示コーナー、クラシック・カー展示、最新技術展、自動車運転体験コーナー、豪州軍装備展、幼児と親のコーナー、大型テレビ・スクリーン。

②F1セントラル(レジェンド・ゾーンから1番陸橋を渡った場所)
 F1ピット体験ブース、公式グッズ売店、大型テレビ・スクリーン、飲食店など。

③エムレーン(F1セントラルから湖側への隣り合わせ)
 カフェ、飲食店ブースが並ぶ。ヨット・クラブのレース実演なども楽しめる。

④F1ファン・ゾーン(F1セントラルから南側)
 飲食店、ステージでロック音楽祭、F1及びスーパーカー・レーサーのサイン会場など。

⑤コーツ・ハイアー・スーパーカーズ・ビレッジ(F1ファン・ゾーンから南側)
 F1レースの合間に行われるオーストラリア・スーパーカーの実際のパドック作業を間近で見ることができる。この場所から近くにF1レーサーが到着するピット入場門があり、サインをもらえる可能性がある。

⑥キッズ・コーナー(エムレーンから浮橋を渡った対岸)
 子ども運転スクール、子ども模擬F1レース、子どもスポーツ・ゾーン、豪軍ロック・バンド演奏、クラシック・カー展示、F1各チーム公式グッズ販売店、飲食店、大型テレビ・スクリーン。

決勝当日のスケジュール

10AM…ゲート・オープン
10:30AM~2PM…ビンテージ・カー、スタントカー・ショー、V8スーパーカー・レース
2:35PM…スタート・グリッドでのF1ドライバー写真撮影会
2:40PM …F1ドライバーのパレード
2:45PM …空軍機によるアクロバット飛行
3:56PM …国家斉唱4:10PM …F1GPレース・スタート(※今年から10分遅くなっている)
5:40PMごろ…レース終了予定
8PM…会場閉鎖。レース終了後も各種ステージ・ショーが開催

会場へのアクセス

●トラム:シティーから所要時間約10分。入場券を持った人は無料だが、途中下車できない。降車場所と最寄りゲートは以下の通り。
 ①クラウン・カジノ前(ゲート1、2)
 ②サザンクロス駅(ゲート3)
 ③フリンダース駅(ゲート5、8、9、10)
●空港バス:スカイ・バスがメルボルン国際空港から直行バスを運営している(Web: skybus.com.au)。会場から帰りのトラムやバスで大混雑する。シティーまで徒歩15分が無難。

入場券売り場と入場ゲート

●入場券売り場:2番、8番、10番(売り切れることはないため当日でも購入可能)
●入場可能なゲート:1、2、3、5、8、9、10(1番は一般入場券では入場不可)

 メルボルンの天候は激変する。サングラス、帽子は必需品。日焼け止めは2時間ごとに塗布し、定期的に水分補給すること。防寒着の準備も欠かせない。F1の轟音は低減されており、耳栓は無理に購入することはない。酒類の持ち込みは禁止で、ゲートで没収される。

2018 F1 Rolex Australian Grand Prix
会場:Albert Park VIC
日程:3月22日(木)~25日(日)
入場料:決勝$89~、4日券$175など
Web: www.grandprix.com.au

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