初めてのゴールドコースト開催 コモンウェルス・ゲーム2018観戦ガイド

初めてのゴールドコースト開催 コモンウェルス・ゲーム2018観戦ガイド ⓒ2018 Gold Coast 2018 Commonwealth Games Corporation
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「コモンウェルス・ゲーム(英連邦大会)2018」が、いよいよ4月4日からゴールドコーストを舞台に開催される。12年ぶりの自国開催となるオーストラリアが、英連邦随一のスポーツ大国としての力を見せつけられるか注目が集まる今大会、競技の見どころから大会の楽しみ方まで、本紙スポーツ記事でおなじみの植松久隆が、直前情報を交えお届けする(掲載情報は3月13日時点のものに基づく)。(取材・文:植松久隆/本紙特約記者)

五輪に次ぐ世界最高峰のスポーツ大会

そもそも「コモンウェルス」とは

コモンウェルス・ゲームを語る前に、まず「コモンウェルス」とは何ぞやから書き起こさなければ、大会の概要をつかめない人も多いだろう。コモンウェルス(commonwealth)の単語自体は「連邦」と訳されるが、これに定冠詞が付いて「the Commonwealth(of the nations)」となると、「英(イギリス)連邦」を意味する。

かつて、「7つの海を制した」大英帝国(the British Empire)を構成した国々が、21世紀の今も、イギリス国王(現在は、エリザベス2世女王陛下)を元首として仰ぐ国家の集合連合体として存在しており、その加盟国によるスポーツ競技大会が「コモンウェルス・ゲーム(日本語ではしばしば「英連邦大会」と訳される)」として、4年に一度開催されているのだ。この大会は、毎回、世界最大のスポーツ国際大会である夏季五輪の2年後に行われ、参加各国の一流アスリートにとっては五輪に次ぐ格を有する大会として位置付けられている。

自国開催で覇権復活を期する豪州

大会自体は1930年に始まり、今回のゴールドコースト大会で実に21回目を数える。世界各地から約70の国と地域が参加するかなり大きな大会規模だが、言うまでもなく五輪のメダル常連国のアメリカ、ロシア、中国、そして日本は参加しない。第20回グラスゴー大会(14年)でのメダル獲得数ランキングのベスト3は、イングランド、オーストラリア、カナダだったが、これら3つの国・地域の通算メダル獲得数を見ても、長きにわたりこれらが3強として君臨し続けている。10年の自国開催で一躍メダル獲得数2位となったインドが上記3強を追うポジションに位置し、そのインドを南アフリカ、ニュージーランド、スコットランドといった国・地域が追っているのが最近の大会での勢力分布だ。

上位3強の中でも総合力で抜きん出ていると言えるのが、今大会の開催国・オーストラリア。そして、そのライバル筆頭がイングランドだ。オーストラリアにとっては、前回大会でイングランドの後塵を拝しただけに、今回はホームで10年大会以来のメダル獲得数首位への返り咲きを何としても狙いたい重要な大会となる。

今大会は、オーストラリアでの開催としては5度目となるが、直近では06年にメルボルンで開催しているためオーストラリアにとっては12年ぶりの自国開催となる。そして、今回のゴールドコーストは初めての州都以外での開催の大会ということになる。ちなみに、過去のオセアニア地区で行われた大会の全てで、オーストラリアはメダル獲得数の首位に立ってきた。当然、ホームの今大会も英連邦随一のスポーツ大国の名に恥じぬ圧倒的な強さを見せるべく、準備に余念がない。

キャンベル姉妹(25/23)を始めオーストラリアは競泳で力を見せつけるか(Photo: AFP)
キャンベル姉妹(25/23)を始めオーストラリアは競泳で力を見せつけるか(Photo: AFP)

英国由来のユニークな競技

ここからは、大会概要と注目競技について触れていこう。今大会は、約70の国と地域からのアスリートがゴールドコーストの地に集い、4月4日の開会式から15日までの12日間で18競技275種目の熱戦が繰り広げられる。

大会競技の構成は五輪と異なりとてもユニーク、何というか「英国チック」なのだ。コモンウェルス・ゲームを取り仕切る英連邦大会連盟(CGF)は、23競技を同大会の開催競技として制定、そのうち10競技をコア競技として全ての大会で行うようにと規定している。その10競技の内訳を見ると、体操、バドミントン、ボクシング、ホッケー、競泳、重量挙げ、ラグビー(7人制)などのおなじみの種目以外に、ネットボール、ローンボウルズ、スカッシュの3つが含まれている。これら3競技はそれぞれ英連邦諸国で盛んに行われてきたスポーツだが、全世界的に普及しているとは言い難い。これらの競技が「コア競技」となるあたりが、実に英国由来のコモンウェルス・ゲームらしいところなのだ。

ローンボウルズなど、コモンウェルス・ゲームならではの競技が観られるのも同大会の魅力
ローンボウルズなど、コモンウェルス・ゲームならではの競技が観られるのも同大会の魅力

今大会の見どころ“ライバル関係”

オーストラリアは、ほぼ全競技でメダルの有力選手がそろう強力なラインアップで自国大会を盛り上げる。見どころを挙げ始めるときりがないので、ここは筆者の独断で見どころを幾つかピックアップしたい。

その見どころのキーワードとなるのが、「ライバル関係」。大会全般を通して、さまざまな競技会場でしのぎを削るのが、オーストラリアとイングランドの2チームの選手たち。クリケットの「the Ashes」などでの伝統的な対抗意識もあって、この両チームの対決は競技を問わずに否が応でも盛り上がる。そんな中で、両チームがまさに激突することで盛り上がり必至な競技を幾つかチェックしておくと、まずは自転車のトラック競技。ゴールドコースト開催をうたいながら、実は自転車と射撃はブリスベン開催で、自転車トラック競技の熱戦の舞台はブリスベンの西郊にある「アナ・ミアーズ・ベロドローム」。競技会場名に冠せられたオーストラリア・サイクリング界のスーパースター、アナ・ミアーズは参戦しないが、オーストラリアは精鋭をそろえ仇敵イングランドを迎え撃つ。オーストラリアとイングランドのライバル関係が、その他にも男女ホッケーなどさまざまな場面で火花を散らすのは必至。

ライバル関係と言えば、オーストラリアにとって外せないのがタスマン海を挟んでの隣国・ニュージーランドだ。直接的なメダル争いで両国がぶつかりそうなのは主にチーム競技。7人制ラグビーでは南アフリカ、ネットボールではイングランドやジャマイカを交えての金メダル争いにはなるだろうが、いずれの競技でもオーストラリアとニュージーランドの直接対決が実現すれば盛り上がりは間違いない。

競泳は豪州の表彰台独占か

豪州新体操界の実力者ダニエラ・プリンスは美人アスリートとしても注目(Photo: AFP)
豪州新体操界の実力者ダニエラ・プリンスは美人アスリートとしても注目(Photo: AFP)

一方、オーストラリアが他を寄せ付けない圧倒的な強さを見せ付けそうなのが、競泳だ。ドルフィンズと呼ばれる男女代表チームには、五輪のメダリストがずらり。その中でも先のリオ五輪でまさかの共倒れに終わってしまった地元QLD州出身のケイトとブロンテのキャンベル姉妹(25/23)は直前の選考会でも100mでワン・ツー・フィニッシュを飾るなど、しっかり照準を大会本番に合わせてきた。50m、100m、そして4x100mリレーといった競技で姉妹そろって幾つのメダルを獲得するのか興味は尽きない。

最後になったが、筆者がスポーツ特集を書く時に密かに仕込む「お約束」、美人アスリートは紙面に限りがあるため、今回は筆者の推しメン筆頭・豪州新体操界をけん引する実力者ダニエラ・プリンス(25)の一択で紹介。17歳で10年デリー大会で団体金メダルを獲得も、14年のグラスゴーでは団体5位、個人9位と不本意な成績に終わっただけに恐らく最後となる大会での「ダニエラ・スマイル」を見せて欲しいものだ。

この規模のスポーツ大会が、ゴールドコーストやブリスベンで開催される次の機会はいつになるか分からない。競技のほとんどが世界のトップ・レベル、またはそれに準ずるレベルというハイレベルの大会、ぜひとも生観戦で楽しんで欲しい。

コモンウェルス・ゲームの楽しみ方

ゴールドコーストを主会場に開催される2018コモンウェルス・ゲーム。ゴールドコーストとその周辺にいながらにして、世界レベルの競技を楽しめるまたとない機会。やはり、情報収集は怠らず、大会期間中は競技を計画的に観戦したいもの。

そんな観戦のお供として便利なのが、大会公式サイト(Web: www.gc2018.com)。英語が苦手だとしても、サイト内の説明は分かりやすさを重視したシンプルなものとなっており、欲しい情報にはすぐにたどり着けるだろう。

また、観戦の助けになりそうな主な情報を右記の通りピックアップしてお届けしよう。

一部競技のチケットにはまだ余裕あり

開会式、水泳やネットボール、体操といった人気競技以外はまだまだチケットに余裕があるようだ。大会公式サイトのチケット・ページ(Web: www.gc2018.com/tickets#availability)で観客席の空き状況を確認して、興味があるものは即ゲットしよう。

大会情報は公式アプリで逃さない!

競技時間、競技結果、メダル争いなどの情報をリアル・タイムで追うなら、ゴールドコースト2018コモンウェルス・ゲーム公式アプリ(Web: www.gc2018.com/app)のダウンロードは忘れずに!

競技会場はゴールドコースト以外にも

ゴールドコーストでの大会をうたう今大会だが、競技会場はQLD州の広範囲にまたがる。バスケットボールの予選は、ケアンズとタウンズビルで行われ、自転車トラックと射撃はブリスベンが会場となる。

ゴールドコースト内で見ても、開会式・閉会式と陸上が行われるカラーラ・スタジアム、その隣のカラーラ・スポーツ&レジャー・センターではバドミントン、重量挙げ、レスリングが行われる。競泳、ダイビングは、サウスポートの屋外施設であるオプタス・アクアティック・センター、体操と新体操はクーメラ・インドア・スポーツ・センターと会場はゴールドコースト全域に広く分布している。

各会場の情報は、大会公式ウェブサイト内ホーム画面の「GETTING THERE」から「Venue Guides」を選択、各会場を指定すると詳細を確認できる。また、それぞれの会場の紹介ページには、会場地図が掲載されプリントアウトもできるため、こちらも非常に便利だ。大会前のお楽しみ、

ブリスベンでの自転車競技など競技会場はQLD州の広範囲にまたがる
ブリスベンでの自転車競技など競技会場はQLD州の広範囲にまたがる

クイーンズ・バトン・リレー

五輪の聖火リレーに当たるのがクイーンズ・バトン・リレー。女王から託されたバトンが世界中の参加国・地域を経て、オーストラリアに上陸して、QLD州にまでやってきた。トゥーンバ、イプスウイッチと内陸からやってきたバトンは、3月30日にブリスベンに到着する。3月31日に1日をかけて市内を巡った後に南下、翌日にはゴールドコースト北郊に至り、ゆっくりと市内を循環してから開会式を迎える予定。バトン・リレーの詳細は公式ウェブサイト内(Web: www.gc2018.com/qbr)で紹介されている。

大会マスコット、コアラの「ボロビ」

公式マスコット「ボロビ」も大会を盛り上げる(ⓒ2018 Gold Coast 2018 Commonwealth Games Corporation)
公式マスコット「ボロビ」も大会を盛り上げる(ⓒ2018 Gold Coast 2018 Commonwealth Games Corporation)

2016年に発表されている今大会の公式マスコットは、サーフィン好きの青いコアラの「ボロビ」。この名前、地元のアボリジニーのユーゲンバ族の言葉で「コアラ」を意味する。

昨年には、この言葉の使用についてユーゲンバ族の人びとから訴えられるという事態が起きたが、それも大会委員側の勝訴と終わった。そんなトラブルも乗り越えて、QLD州の至る所で積極的にPR活動に飛び回っている「ボロビ」にどこかで会えるかもしれない。

交通状況をきちんと確認しよう!

大会が近づくにつれ準備が急ピッチで進む過程では、道路の封鎖や車線減少などの影響も見られたゴールドコースト。3月に入って、ブリスベン・ゴールドコースト間を結ぶ大動脈のM1の制限速度が大会1か月以上前から時速10キロもダウンするなど、交通面での変化はまだ続く。

大会期間中も、会場周辺の道路の通行止めや、駐車制限がされるということは必ず起きてくるので、きちんと情報収集をし対応を行う必要がある。バスやライト・レールといった交通機関が通常運行されるのかなどもきちんと確認をしておこう。また、観戦の際の各会場までの移動はトラベル・プランナー(Web: jp.gc2018.com/#!/home)で確認を。

さて、駆け足でコモンウェルス・ゲーム観戦に有益な情報をお伝えしてきたが、今大会のスローガンは“Share the dream”。とにかく大会期間中に会場を訪れてもらいたい。世界中から集まる選手や観客と大会のすばらしい経験を共有することができたならば、その1つひとつが大会の成功につながってくるに違いない。

QLD州コモンウェルス・ゲーム担当大臣より

QLD州コモンウェルス・ゲーム担当・観光相
ケイト・ジョーンズ

まもなく、私たちクイーンズランド州が主催する最大のイベント、2018年コモンウェルス・ゲーム・ゴールドコーストが開幕します。開催に向けた準備もこれ以上ない程に万全で、3億ドルをインフラの整備に投じて、州全体で18の施設の新設、改修を行いました。その結果、ゴールドコーストが大会の長い歴史上、開会式に1年以上先んじて全ての競技施設の準備を整えることのできた初の開催地となったことを誇りに思っています。

大会の開催期間中、クイーンズランド州は70のコモンウェルス諸国、諸地域から6,600人以上の選手・役員を迎え入れて、水泳や体操など18の競技、7つのパラ・スポーツで熱戦が繰り広げられます。

しかし、コモンウェルス・ゲームはただの2週間のスポーツ・イベントではなく、3,000人以上のアーティストが参加する芸術と文化イベントでもあります。そのイベントは、クイーンズランド州が持つそのユニークな文化への興味を引き立たせるだけではなく、この州のアボリジニー、トレス諸島の先住民族の偉大な遺産に光を当てる機会でもあります。

またそれらの文化的メリット以外にも、コモンウェルス・ゲームはクイーンズランド州の観光業にとってもすばらしいプロモーションの機会となります。大会期間中には、およそ1,100万人の国内外からの訪問者を見込んでおり、大会の世界的規模でのテレビ放映によって、ゴールドコーストは15億人の目に触れることになります。

一度、この地を訪問し、そのすばらしい環境に触れたならば、必ずや、また戻ってきたくなるはずです。この州には、グレート・バリア・リーフから手つかずの自然が残る亜熱帯雨林の大自然、ゴールドコーストのその華やかな魅力まで、皆さんの誰もが楽しめるものがあります。

この11日間のスポーツ・イベントは、クイーンズランド州にとって非常に良い機会になります。世界中の人びとにクイーンズランド州こそ次の休暇の目的地のナンバー・ワンとリストアップしてもらえるでしょう。

また、私たちは大会後の開催地の商業利用について話し合うため、州の代表者を世界中に派遣し調整を進めています。ブロードビーチのコモンウェルス・ハウスで予定される貿易・投資に関するプログラムは、私たちが現在州全域で展開しているさまざまな活動について補足的な説明の役割を果たし、世界的な企業がクイーンズランド州を知る良い機会となるでしょう。

大会期間中にクイーンズランド州を訪れる全ての日本人の方々、またクイーンズランド州で新たなビジネスの機会を考えておられる方々を歓迎致します。また、日本から大会の様子を観戦される方々を始め、今回の大会が皆様をクイーンズランド州へと誘えるようになることを期待してやみません。

ケイト・ジョーンズ

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