メルボルン・カップ観戦&馬券ガイド2018

メルボルン・カップ観戦&馬券ガイド

第158回メルボルン・カップが11月6日(火)、メルボルン市内のフレミントン競馬場で開催される。国家を止める競馬、「ストップ・ザ・ネーション」の愛称を持つメルボルン・カップは、毎年11月の第2火曜日に10万人以上の観客を集めて開催される、フル・ゲート24頭、芝3,200mと世界で最も高い水準の3歳以上の馬のハンディキャップ・レースである。世界で唯一、開催日が州の祝日となる競馬で、賞金総額は、昨年より110万ドル増額されて730万ドルとなった。そのような世界有数のレースの優勝馬を予想し、楽しむためのポイントを紹介する。

本記事の情報は9月24日時点のもの

昨年も荒れたメルボルン・カップ

毎年、数々の名勝負が繰り広げられるメルボルン・カップであるが、昨年もまた記憶に残るレースであった。優勝した7番人気のリキンドリング(騎手:コリー・ブラウン、調教師:ジョセフ・オブライエン、ハンディキャップ:51.5㎏)は、3歳牡馬でメルボルン・カップの歴史上、最も若い優勝馬となった。ジョセフ・オブライエン(24歳)もメルボルン・カップ史上最も若い優勝馬調教師となった。ジョセフは、騎手として2度英国ダービーで優勝しているが、180㎝を越す長身のため、22歳で調教師に転向している。ジョッキーのコリー・ブラウンは、2009年にショッキングでメルボルン・カップを制した地元オーストラリアの名騎手である。

2着は、4番人気のヨハネスフェルメール(騎手:ベン・メルハム、調教:エイダン・オブライエン、ハンディキャップ:54.5㎏)。エイダン・オブライエンは、世界で最も名高い調教師の1人。また、ジョセフはエイダンの長男であり、親子でメルボルン・カップの1・2着を制した初めての例となった。

更に見逃せないのは、リキンドリングとヨハネスフェルメールの2頭の馬主は共にロイド・ウィリアムズであるという点。ロイド・ウィリアムズは、オーストラリア最大のカジノであるクラウン・カジノの創設者でありギャンブル界やオーストラリアの新聞・テレビにも影響力を持つ経済界の大物であり、メルボルン・カップを16年(馬:アルマンダン、騎手:ケリン・マカボイ)と17年の連覇を含め過去最多の6回も勝ち取っている有名馬主でもある。終わってみれば、ある意味、勝つべくして勝った組み合わせでもあった。

ザ・エベレストと世界の高額賞金競馬

チェスナットコートら出走予定の日本馬は上位を独占できるか
チェスナットコートら出走予定の日本馬は上位を独占できるか

オーストラリアで最高賞金額となる競馬「ザ・エベレスト(The Everest)」の第1回が17年10月14日にシドニーのロイヤル・ランドウィック競馬場で開催された。12頭立て芝1,200mのスプリント・レースで、賞金総額は1,000万豪ドル、1着賞金は580万豪ドル。優勝馬は、レッドツェル(騎手:ケリン・マカボイ)であった。

もちろん競馬は、伝統と格式の文化イベントであり、賞金総額を争うものではない。ちなみに、世界最高の賞金総額は、アメリカのペガサス・ワールド・カップで1,200万米ドル。その他の世界のレースの賞金総額は、UAEドバイ・ワールド・カップが1,000万ドル、フランス凱旋門賞が500万ユーロ、日本有馬記念が6億円となっている。

冠スポンサー

エミレーツ航空(UAE)が17年で撤退し、今年からトヨタ自動車が冠スポンサーになった。高級車ブランドの名を冠して「レクサス・メルボルン・カップ」と称されることになった。レース前日にメルボルン市内で開催されるパレードなどにレクサス車が活躍すると思われる。

日本馬

毎年、メルボルン・カップやスプリング・レーシング・カーニバルでは、日本馬が活躍している。今年で日本馬の参戦は9頭目になり、オーストラリアのファンも注目している。

今年のメルボルン・カップでは、4頭の出走がノミネートされている。今年の春の天皇賞5着馬のチェスナットコート(4歳、栗東・矢作芳人厩舎、55.5kg)とソールインパクト(6歳、美浦・戸田博文厩舎、53kg)がコーフィールド・カップとメルボルン・カップに出走予定となっている。

日本生まれのハッシュラター(4歳 、50kg)がフランスで活躍した後に、女性名調教師ガイ・ウォーターハウス厩舎へ移ってきた。トーセンバジル(7歳、55.5kg)は、ダレン・ウェア厩舎に移籍して参戦する予定。

昨年は、アルバートと春の天皇賞4位のアドマイヤデウスが参加予定であったが、アルバートは成績不調により参加を回避。アドマイヤデウスは、VIC州のD.ウィアー厩舎へ移籍してコーフィールド・カップの調教中に靭帯を損傷し欠場している。

06年に日本馬2頭、デルタブルースとポップロックが1、2着を独占した。メルボルン在住の日本人では連勝複式馬券でこの2頭を買って大金を手にした人は多く、日本馬の独占は当時のマスコミでも話題になった。

スプリング・レーシング・カーニバル

フレミントン競馬場には当日、10万人以上の観客が詰めかける
フレミントン競馬場には当日、10万人以上の観客が詰めかける

10月から11月初旬にかけての、競馬最高レベルのG1レースが集中的に行われる期間を「スプリング・レーシング・カーニバル」と呼ぶ。スプリング・レーシング・カーニバルには、コーフィールド・カップ(10月20日)、ジローン・カップ(10月24日)、コックス・プレート(10月27日)、ビクトリア・ダービー(11月3日)、メルボルン・カップ(11月6日)、VRCオークス(11月8日)、VRCステークス(11月10日)の7戦が含まれる。

特に、ビクトリア・ダービーからV RCステークスまでを「メルボルン・カップ・ウィーク」と言い、G1の4レ ースが集中するため街中がお祭りムードに包まれる。コーフィールド・カップとメルボルン・カップの両レースで優勝すると「カップス・ダブル」と呼ばれる。

ハンディキャップ

メルボルン・カップでは、実力が違う出走馬の条件を均等にするため、良い結果を残した有力馬ほど重い負荷重量(騎手、鞍などの総量)が課される。そのため、勝ち馬予想においてハンディキャップは非常に重要な要素となる。

直近5年の優勝馬の重量は右記の通りだが、この2年は軽量のハンディキャップの馬が優勝している。

●フィオレンテ(13年、55kg)
●プロテクショニスト(14年、56.5kg)
●プリンスオブペンザンス(15年、53kg)
●アルマンダン(16年、52kg)
●リキンドリング(17年、51.5㎏)

昨年の有力馬

以下に紹介する昨年の上位入賞馬は、今年も有力馬と考えて良い。

●3位:マックスダイナマイト(アイルランド、9歳、54kg)
●4位:ビッグデューク(アイルランド、7歳、54kg)
●5位:ナキータ(イギリス、8歳、53kg)
●6位:トーマスホブソン(イギリス、9歳、52kg)
●7位:チベリアン(フランス、7歳、53.5kg)
●8位:リブラン(アイルランド、8歳、53kg)
●9位:マルメロ(イギリス、6歳、55kg)

残念ながら昨年1位と2位、リキンドリングとヨハネスフェルメールの今年の出走予定はない。

調教師とオーナーに注目

メルボルン・カップの馬券の買い方の中で、筆者が最も注目しているポイントは、調教師(厩舎)と馬主との組み合わせである。昨年のメルボルン・カップが代表的な例と言える。

有力調教師は名門厩舎を経営し、多数の有力競走馬を富裕層のオーナーから預かって高額賞金の競馬レースに出走させる。

この数年の動きで注目したいのは、メルボルンの最有力馬主ロイド・ウィリアムズ対世界的な競馬シンジケートであるゴドルフィンの戦いである。

UAEの王族モハメド殿下が数兆円の巨額資金を出資して、世界中の牧場に600頭以上の有力馬を保有するゴドルフィンの馬は要注意である。

注目しておきたい有力調教師を紹介する。

ダレン・ウェア:この数年、オーストラリア・ランキング1位の実力派人気調教師。15年、史上初のメルボルン・カップ優勝女性騎手ミシェル・ペイン騎乗のプリンスオブペンザンスを調教した。今年の出走予定馬は、キングスウィルドリーム(アイルランド、5歳、53kg)、トーセンバジル(日本、7歳、55.5kg)、ビッグデューク(前述)。

チャーリー・アップルビー及びサイード・ビン・スルール:ゴドルフィン軍団の専属調教師。ゴドルフィンの名は、サラブレッドの三大始祖の一頭であるゴドルフィンアラビアンに由来する。欧米、日本の競馬界に旋風を巻き起こしている。今年の出走予定馬は、クロスカウンター(イギリス、4歳、51kg)、ハマダ(イギリス、5歳、53.5kg)、ベストソリューション(アイルランド、5歳、57.5kg)。

ガイ・ウォーターハウス:シドニー出身で、13年のフィオレンテでメルボルン・カップに優勝した初めてのオージー女性調教師。今年の出走予定馬は、ハッシュライダー(日本、4歳、50kg)。

ジェイムズ・カミングス:メルボルン・カップ12回を優勝した伝説の調教師、故バート・カミングスの孫。出走予定馬は、アビリウス(イギリス、5歳、53kg)、ベストオブデイズ(イギリス、5歳、50kg)。

デビッド・ヘイズ:昨年のコーフィールド・カップを含めメルボルン・カップ1回、ジャパン・カップ1回を含みG1レース92回の優勝を誇り、豪州競馬殿堂入りの名調教師。今年の出走予定馬は、ジャーミー(アイルランド、6歳、50kg)。

クリス・ウォーラー:G1のコックス・プレートを昨年まで3連覇しているオーストラリアの名馬ウィンクスを手掛ける名調教師。メルボルン・カップでの勝利はまだないが、可能性は十分。今年の出走予定馬は、リブラン(前述)、アンフォゴットン(オーストラリア、4歳、52.5kg)、ヤングスター(オーストラリア、4歳、51.5kg)。

ジョセフ・オブライエン:昨年優勝の勢いを駆って連覇が期待される。今年の出走予定馬は、ラトローブ(アイルランド、4歳、52kg)。

ジョッキー

メルボルン・カップには、オーストラリア、ヨーロッパ、アジアから世界のトップ・ジョッキーが集結する。まだ騎乗馬などは決まっていないが、有力騎手を紹介する。

ケリン・マカボイ:SA州出身、2000年と16年の2度、メルボルン・カップで優勝した名ジョッキー。昨年のオーストラリア最高賞金額のザ・エベレストで勝利。昨年のメルボルン・カップは、レッドカーディナルで11位。世界ランク5位。

ジェームズ・マクドナルド:ニュージーランド出身で23歳と、注目の若手スター騎手。ゴドルフィン軍団の馬に騎乗予定。一昨年ハートネルで3位。

ダミアン・オリバー:13年のフィオレンテを始めメルボルン・カップ優勝は3回。06年メルボルン・カップでは日本馬ポップロックに騎乗し2着となった。世界ランク32位。

ライアン・ムーア:イギリス人。14年メルボルン・カップ優勝馬プロテクショニストに騎乗。欧米のG1レース、ジャパン・カップなどを制し日本でも昨年までに94勝を上げておりファンが多い。世界ランク1位。

ジョアン・モレイラ:ブラジル出身で香港ジョッキー・クラブ所属。香港での圧倒的な成績から、愛称は「雷神」。世界ランク14位。

クレイグ・ウィリアムズ:ヨーロッパ、オーストラリア、アジア、日本でG1レース39勝を誇る辣腕騎手であるが、メルボルン・カップだけは未勝利。昨年はウォールオブファイアで16位と惨敗。世界ランク12位。

ヒュー・ボーマン:17年に世界1位に輝いたジョッキー。昨年はマルメロで5着。世界ランク5位。

フランキー・デットーリ:イタリア出身。15年に世界ランク1位となった実力者。昨年はアルマンディンで11位。世界ランク4位。

■ファッション

メルボルンの街中は華やかな女性ファッション
メルボルンの街中は華やかな女性ファッション

スプリング・レーシング・カーニバルの期間中のメルボルンの街中は華やかな女性ファッションで埋め尽くされる(左写真参照)。メルボルンの老舗デパート「マイヤー」が開催するファッション・コンテスト、ファッション・オン・ザ・フィールドは、オーストラリアのファッション界の最高峰と呼べるもの。メルボルン・カップの一般入場者にはドレス・コードはないが、男性はスーツ、ネクタイ、皮靴の着用など正装に準じるドレスアップが求められている。海外からの来場者のフォーマルな民族衣装の着用は歓迎されている。

■レース

メルボルン・カップ・デーには、全10レースが行われる。第1レースは午前10時50分出走。メルボルン・カップは第7レースで午後3時出走。チャンネル7で全国放送される。一般観客席には、臨時馬券売り場が設けてある。販売係のスタッフが馬券の買い方を親切に教えてくれる。

■会場への行き方

フリンダース駅から多数の特別列車が出る。トラムは、フリンダース駅エリザベス通りで57番トラム。フリンダース駅は日本のラッシュ・アワー並みに大混雑する。

■競馬場

一般入場券($89)はレース当日、競馬場で発売されない。入場券がないとフレミントン駅から出ることもできないので注意が必要。インターネットやフェデレーション・スクエアの特設売り場、フリンダース駅、サザンクロス駅などで事前に購入しておくこと。会場へはアルコール飲料は持ち込めない。会場に着いたら、レース・コースのすぐ前に陣取ることが観戦のコツ。レースがスタートすると全員が立ち上がるので芝生席では最前列付近以外ではレースが全く見えない。家族連れのエリアも用意され、子どもも楽しめる施設もある。車いすでも入場可能。アルコール禁止区域なので安心して楽しめる。スマートフォンのフレミントン競馬場ガイドのアプリをインストールしておこう。開場は午前8時半。

馬券購入ガイド
 競馬場、フェデレーション・スクエア特設馬券売り場、クラウン・カジノ、インターネットなどいろいろな方法で馬券は購入可能。

●Win(ウィン:単勝)選ぶ馬は1頭。1着の馬を当てる。

●Place(プレイス:複勝)選ぶ馬は1頭。3着までに入る馬を当てる。

●Each Way(イーチ・ウェイ:単勝と複勝の組み合わせ)選ぶ馬は1頭。1着に入ればWinの配当、3着までに入ればPlaceの配当というお得な馬券。

●Quinellas(キネラ:連勝複式)選ぶ馬は2頭。1着、2着を当てる。1着、2着が逆でもOK。

●Exacta(エグザクタ:連勝単式)選ぶ馬は2頭。1着、2着を正しく当てる。

●Trifectas(トライフェクタ:3連単)選ぶ馬は3頭を着順通りに当てる。

●First Four(4連単)選ぶ馬は4頭を着順通りに当てる。

これ以外にも複数のレースにわたって賭ける馬券もある。

■Melbourne Cup

会場:FlemingtonRacecourse(448EpsomRd.,FlemingtonVIC)
日時:11月6日(火)3PM出走
Web: www.melbournecup.comwww.racingvictoria.net.au


イタさん(板屋雅博)

文・写真=イタさん(板屋雅博)
日豪プレスのジャーナリスト、フォトグラファー、駐日代表
東京の神田神保町で叶屋不動産(Web: kano-ya.biz)を経営

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