3連覇を狙うブリスベン・ロア

熱戦サッカーAリーグ

チームメイトにも打ち解けた様子の高橋祐治(左)(筆者撮影)

19歳のDF・高橋祐治の活躍いかに

3連覇を狙うブリスベン・ロア

 小野伸二の入団で俄然注目を集める今季のAリーグ。そのほかにもデル・ピエーロ、エミール・ヘスキーが入団、今季からQLD州唯一のAリーグ・クラブとなったブリスベン・ロアにも19歳の若きDF高橋祐治が入団するなど話題にはこと欠かない。本紙連載でお馴染みの植松久隆氏が高橋選手のインタビューや、ロア・ウィメンの“大和撫子”の話題など、100%ロア応援特集としてお届けする。
文・構成・写真=植松久隆(ライター/日豪プレス特約記者) Text by Taka Uematsu

 

期待の19歳、高橋祐治

Aリーグ3連覇を狙うブリスベン・ロア(以下・ロア)も、シーズン前の話題性ではデル・ピエーロのシドニーFCや、日本のレジェンド小野伸二を入団させたウエスタン・シドニー・ワンダラーズ(以下WSW)の後塵を拝してしまった。

昨季終了後にゴールドコースト・ユナイテッドが消滅したことで、今やQLD州唯一のAリーグ・クラブとなったロアに、J2の京都サンガからAリーグのシーズン終了までの期限付きで移籍してきたのが、DF高橋祐治、19歳。U−19日本代表に選出されたほどの逸材が“武者修行”で海を渡ってきたが、残念ながら、取材時の段階ではベンチ入りは果たしたものの出場はまだない。それでも高橋は、「焦りはない。練習できちんとアピールしていれば必ず出番は来るはず」と自信を見せる。


ロアの今季の浮沈のカギを握るエリック・パァトゥルー(Courtesy of Brisbane Roar FC)

先日、ラド・ヴィドシッチ監督に話を聞くと、監督は「ユウジには満足している。彼は素晴らしい素質を持った選手。ただ、合流が開幕のわずかひと月前で、チームとの準備期間をあまり持てなかったこと。それだけが不安材料」と語ってくれた。この監督の言葉からも期待の高さが伺えるが、日に日にほかの選手との連携が高まり、コンディションが上がってきている高橋が、サンコープ・スタジアムのピッチに立つ日はそう遠くはないと思われる。

「興奮します。ただ会うだけじゃなくて、ピッチで相対したいです」と高橋が語ったのは、今年からWSWに入団した小野伸二に話が及んだ時だ。小野の所属するWSWとロアのホームでの対戦は今年2試合組まれていて(筆者注:Aリーグは、各チーム間の対戦が3試合組まれており、3試合のホームとアウェーの比率は1年おきに交互にする)、その初戦が10月27日に迫っている。

高橋のAリーグ・デビューが、本人が「自分がサッカーを初めたころの日本代表の中心選手で憧れの存在」と語る小野伸二との“日本人対決”となれば、話題性十分だ。高橋本人もそれが実現することを熱望しつつ、まずは目先の1つ1つの練習に一切手を抜かずに全力で取り組み、出番に備える。「(ホームのサンコープ・スタジアムは)サッカー専用スタジアムでピッチも近いし、雰囲気も最高。試合にさえ足を運んでもらえれば、昨日の試合(筆者注:ホーム開幕戦で5−0圧勝)みたいに、本当に楽しめると思う。自分も早く皆さんに見てもらえるよう頑張りたいので、ぜひスタジアムに足を運んでください」と、日豪プレスQLD版読者にメッセージをくれた。

次のリオ五輪を目指すU-23代表の核となる現U-20世代でも屈指のDFの1人と高評価される逸材のプレーを見逃す手はないだろう。彼が日本代表まで上り詰めた後に「あの時、見ておけばよかった」と後悔しなくてすむように、ぜひスタジアムでの生観戦をお勧めしたい。

 

今年のロア、注目は?

ロアのタイトル奪還に貢献できるか。ブリスベン・ロア・ウィメンの
立岡幸子(左)と岸星美(筆者撮影)

昨年から指揮官が変わって臨む今季のロアの注目選手は、何も高橋だけではない。タレントぞろいのメンバーの中でも筆者のイチ押しは、ロアの若大将エリック・パァトゥルーだ。中盤の底で、攻守に90分間体を張り続ける。193センチという長身で前線に飛び込んでのヘッド、長短のパスもうまく、シュートも積極的に狙える。彼の守備の負担が軽く、攻撃により比重をおける状況ができれば、ロアにとっては大きなプラスとなることだけは間違いない。日本でのプレーにも強い興味を示しているだけに“先物買い”をしたつもりでチェックするのも面白い。

ロアの3連覇への長い道のりは、まだまだ始まったばかり。昨年からの主力に、高橋などの若手選手がうまく融合した時に、チームは本物の強さを見せることになる。その強さをぜひスタジアムで感じてほしい。

 

ロアの二輪の“大和撫子”

豪州では男子のAリーグ同様、女子のトップ・リーグWリーグが行われており、毎年8チームでのリーグ戦を戦う。ブリスベン・ロア・ウィメン(以下・ロアW)は、リーグ発足以来、既に2回グランド・ファイナルを制しており、日本が栄冠に輝いた昨年の女子W杯に出場したマチルダス(豪女子サッカー代表の愛称)にも4人の代表選手を送り込んでいたリーグ屈指の強豪だ。

そんなロアWに日本人選手が2人いると聞いて、ほとんどの読者は驚くだろう。昨年の途中に入団後、すぐにチームの貴重な戦力としてリーグ2位、ファイナル準優勝の成績に大きく貢献したGK岸星美。そして、ブリスベンの地域リーグから着実にステップ・アップ、今季から念願のトップ・リーグでプレーの機会をつかんだMF立岡幸子を紹介しよう。

2人はともに、日本では日本女子プロ・リーグ(なでしこリーグ)でのプレー経験があり、W杯と五輪で日本中を沸かせたなでしこジャパンの面々は、ピッチで肌を合わせてきた選手たちで個人的によく知る選手も多いという。そんな2人に日本の“なでしこブーム”に関して質問すると、「(ブームの外に身を置いていることに)悔しさはある」と口をそろえた。しかし、だからといって2人は自分たちの現況に不満を持っているわけでは決してない。彼女たちは、ブリスベンでのプレーに大きな意義を感じているからだ。

 

2人で貢献する タイトル奪還

昨年のセミ・ファイナルの勝利に歓喜するブリスベン・ロア・ウィメンの選手(Courtesy of Brisbane Roar FC)

岸は、海外でプレーする意義を「後に続く若い女子サッカー選手に豪州という選択肢を示す意味で、ここで私たちがプレーして結果を残すことは重要」と熱く語る。

豪州在住3年目を迎える立岡も、実質3部リーグであるブリスベン・リーグのディビジョン1から確実にステップ・アップしてきただけに、「(ロアWでプレーする)今季は自分のサッカー人生の集大成くらいの気持ちでプレーして、チームのタイトル奪還に少しでも貢献したい」と今季に賭ける思いは強い。

今回は2人に同時に話を聞く機会を持ったが、異国のチームで同じ日本人がチーム内にいるという心強さをお互いが強く感じているのがはた目からも見て取れた。1年早くロアでプレーする岸は、立岡の加入を「本当に助かる。やっぱり、日本語で何かを分かち合えるのは大きい」と心から歓迎する。年齢と在豪歴では先輩の立岡を、ロアでのプレー経験では上だが年下の岸が気軽に突っ込むという2人の関係。シーズン前の現段階で既に2人のコンビネーションは万全のようだ。

ロアWが、悲願の王座奪還を果たすその時、その歓喜の輪には大輪の花を咲かせた2人の“大和撫子”が喜びを爆発させていることだろう。今季のロアWからも目が離せない。

 

Wリーグのテレビ中継は、毎週土曜日午後5時からABC1で各節1試合が録画放送(60分のダイジェスト)される。開幕週の20日は、立岡、岸両選手が登場するロアWとキャンベラのグランド・ファイナルが放映予定。

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