豪州F1グランプリ、開催!

2014年豪州F1グランプリ観戦ガイド

 モーター・スポーツの最高峰、豪州F1グランプリ(GP)は、3月13日から16日までメルボルンのアルバート・パークで実施される。この観戦ガイドでは、2014年のF1GPレース界の展望とメルボルンGPの見所を紹介する。 文=板屋雅博

 

3強の戦いが今年の見所に

2014年F1GPでは昨年と同じ全19戦が行われるが、今年もメルボルンGPで幕を明ける。

今年の大きな話題の1つは、小林可夢偉(27歳)の復帰だ。


1年ぶりにF1GP復帰の小林可夢偉

小林は、10年にザウバーのドライバーとして参戦したが、12年末でザウバーのシートを失った。2012年日本GP(鈴鹿)で3位入賞し、鈴木亜久里、佐藤琢磨に続き日本人3人目のF1GPの表彰台を飾り、9回の入賞で60ポイントを獲得して個人12位となった。今年は、ケータハムのドライバーとして復帰する。1年間のブランクがあるが、追い抜き技術などアグレッシブなドライビング・テクニックには高い評価があり、F1再挑戦での好成績を期待したい。

今年のF1GPは昨年19戦中、13勝した世界チャンピオン、セバスチャン・ベッテルを擁するレッドブル・チームが主軸であるのは間違いない。特に第11戦のベルギーGPから最終19戦のブラジルGPまでの9連勝は圧巻であった。チームメイトのマーク・ウェバーも個人3位と健闘し、レッドブルのチーム優勝に貢献した。豪州出身のF1ドライバーとして活躍した37歳のマーク・ウェバーだが、残念ながら2013シーズンで引退した。悲願の年間チャンピオンは取れなかったが、優勝9回と2010、11、13年と3回の年間3位を記録し、ずっとオージーの記憶に残るドライバーである。


レッドブルの正ドライバーに昇格したダニエル・リチャルド

代わってレッドブルのドライバーとなったのは豪州パース出身のダニエル・リチャルド(23歳)。これまではレッドブルの第2チーム、トロロッソのドライバーであったが、ウェバーの引退に伴いレッドブルに昇格した。トロロッソはイタリア語で赤い牛、即ちレッドブルと同じ名前である。昨年個人14位のドライバーだけにウェバーの抜けた穴を埋められるかがポイント。リチャルドのできはベッテルにも影響するだけに重要である。

3強の一角にメルセデスが食い込んできた。ルイス・ハミルトンがマクラーレンからメルセデスへ移籍した効果が出てきたからだ。ハミルトンは優勝こそ1回だが、安定した走りにより個人4位の成績であった。ポール・ポジションを取ることも多く、スピードではベッテルと互角であり、今年も期待できる。チームメイトのニコ・ゴズベルグも昨年は2勝しており、ウェバーが抜けたレッドブルにメルセデスが勝つ可能性は十分にある。

一方、昨年チーム5位に終わったマクラーレンだが、ジェンソン・バトンが未勝利で個人9位と元気がない。09年の世界チャンピオンだが34歳と引退も噂される。

御三家の名門フェラーリには、05年、06年世界王者フェルナンド・アロンソと07年の世界王者キミ・ライコネンの2枚看板がそろった。

人気者ではあるがなかなか成績が出せなかったフェリッペ・マッサは、ウィリアムズへ移籍した。アロンソは昨年優勝2回、2位4回で個人2位、ライコネンもメルボルンGPで優勝し、2位4回とロータスのチーム4位躍進の原動力となり、個人も5位に食い込み、名門フェラーリに09年以来の復帰となった。

世界王者4連覇中ベッテルを擁すが、チームメイトのリチャルドが弱点のレッドブル、ひさびさに全力疾走が予想されるフェラーリ、躍進中のメルセデスの3強の戦いが今年のF1GPの見所と言えよう。昨年とはドライバーの所属するチームがかなり違っているので、間違えないようにしたい。

 

小林所属のケータハムは最下位脱出か

2014年は、レギュレーションでは大きな変更が行われた。

これまでは2.4リッター自然吸気V型8気筒エンジンであったが、今年からエネルギー回生システム付きの1.6リッター90度V型6気筒直噴ターボ・エンジンに変更された。05年までは3リッター・エンジンだったことを考えると大幅な小型化が進んできた。エネルギー回生システムは、これまでの運動エネルギーに加え、熱エネルギーも対象に入った。これによりエンジン技術の差がスピードに大きく影響することになった。エンジンの小型化によりF1独特の甲高い排気音も変化するだろう。

昨年5月ホンダがF1に復帰するという嬉しいニュースが飛び込んできた。マクラーレンにエンジンを提供するのだが、ホンダの決定もエンジンの環境重視化と小型化に関係している。環境重視と小型化はまさにホンダが得意としている技術であり、F1を通してさらに進化することがホンダのF1参加の意義であるからだ。数年後にはエンジンだけでなくチームとしての復帰も期待したい。

日産自動車はレッドブルにエンジンを提供しているルノーと資本関係があるが、海外高級ブランド、インフィニティでレッドブルに参加することも同じ理由だ。日産自動車は13年からチーム名称をインフィニティ・レッドブル・レーシング(Infiniti Red Bull Racing)としてタイトル・スポンサーになっている。

レッドブルと日産インフィニティは、14年のエネルギー回生システムを含め、技術的な提携を強化している。経営状態の悪化で苦しむルノーに代わり、日本の最先端技術をF1につぎ込むと同時に高級ブランド・インフィニティを世界に売り込むのが、日産-ルノーグループの作戦である。

14年は11チームが参戦するが、エンジンはコスワースが撤退したため、ルノー4チーム、メルセデス4チーム、フェラーリ3チームとなり、15年はここにホンダが参戦することになる。

 

小林可夢偉のケータハムは、マレーシアに国籍を置くチームで、格安航空会社(LCC)エアアジアのCEOでマレーシア人のトニー・フェルナンデスがスポンサーとしてケータハムの代表を務める。10年にロータスとして参戦したが、12年からはケータハムに名称を変更している。ロータスは英国の名門自動車会社だが、マレーシアの自動車会社プロトンに買収されている。

ケータハムは、昨年の成績ではロシア国籍のマルシャとともにチーム・ポイントを1ポイントも獲得することができず、さらにマルシャより成績が悪いために最下位に沈んでいる。

小林に期待されることは最低でも1回は10位以内に入賞してポイントを獲得することと、最下位から脱出することである。

トニー・フェルナンデスはウィリアムズのスポンサーでもある。

マレーシア国策自動車会社プロトンの大株主であるマレーシア国営石油会社ペトロナスは、F1ザウバー・チームのプレミアム・スポンサーである。

インド国籍のフォース・インディア、ロシア国籍のマルシャ、マレーシア国籍のケータハムなどF1の下位チームでは新興国の勢力が増しており、欧米中心のF1の世界にも変化が訪れている。

世界チャンピオン7回、通算91勝、ポール・ポジション69回、最速ラップ77回、通算獲得ポイント1,566点とF1史上最高の記録を誇り、12年の最終戦ブラジルGPを最後に引退したミハエル・シューマッハは、昨年12月29日にフランスでスキー中に転倒。頭部の外傷で意識不明の重体に陥っている。偉大なる元世界王者の復帰を世界中が祈っている。


文・写真=イタさん(板屋雅博)
日豪プレスのジャーナリスト、フォトグラファー、駐日代表
東京の神田神保町で叶屋不動産(http://kano-ya.biz/)を経営
 

初めての人も分かる! F1観戦の楽しみ方

メルボルンGPが開催されるアルバート・パークは、シティから海へ向かって真っすぐ南へ3キロほどの場所にある。F1GPレースは、美しいアルバート・パークの湖を周回する5.3キロの公道を使用して行われる。レースの数日ほど前までは公園として使えるため、レース・コースを自転車やジョギングで回ることができる。運が良ければ、大型トレーラーで各チームのマシンが搬入されるシーンにも出会える。こんなことができるF1GPサーキットはメルボルンだけではないだろうか。

GPの1週間ほど前からクラウン・カジノ前のプロムナードやフェデレーション・スクエアなどで、GPのイベントやグッズ・ショップなどが開かれているのでぜひチェックしよう。

 

シティ会場へのアクセス

会場には、10カ所の入場ゲートがある。シティからは、約10分ごとにシャトル便トラムが往復するので利用しよう。途中乗下車はできないが、入場券を持った人は無料で利用できる。

シティから近いのは3~5番ゲートだが、会場内でのアクセスは悪い。お薦めは、1番ゲート。これはメイン・ゲートであり、催し物会場、飲食屋台街、土産物売り場なども近く、会場内へのアクセスもいい。

セントキルダ通り側の8、9番ゲートは入場者が少ない上に、湖の仮設浮き橋を渡るとメイン・ゲート前に出られる利点がある。駐車場は会場、周辺にもなく、車で行くのは難しいので注意しよう。

徒歩の場合は、シティからクラレンドン通り沿いを歩いて20分ほどで到着できる。帰りのトラムは非常に混んでいるので、歩くという手もある。

 

お薦めの観戦場所

広大なアルバート・パークのどこで観戦するかは重要なポイント。レース開始の2時間前には観戦場所を確保しよう。

まずは入場ゲート会場のあちこちで配布されている地図を入手。1番ゲートを入るとF1GPグッズなどの売店が並ぶ広場に出る。

グランド・スタンドや企業用コーポレート・スタンドが見えるが、ここは一般入場券では観戦できない。レース・コースをまたぐ陸橋を渡り左側へ行くと、第2コーナーから第3コーナーにかけて、広い芝生の丘がある。ここがまず最初の観戦場所。直線での高速F1の走りを楽しめるだろう。ただ、早めにいい場所を陣取ることがポイントだ。

また、メイン・ゲートから陸橋を渡らずに、左に歩いていった所にも芝生が広がっている。この芝生は、ビニールを広げてのんびりするのにぴったりで、高速レースの観戦も楽しめる。

スポーツ・センター前から3~5番ゲート前にある、第3コーナーから第6コーナーはカーブが多く、加速減速を繰り返す低速での走行が楽しめる。観客席との距離も近く、F1マシンとの一体感も楽しめる。写真を撮るならばこの辺りがお薦め。スピンや事故が一番起こりやすいのもこの辺りだ。特にスタート直後は、目を離せない。

第9、10コーナーは、一番スピンしやすい場所。シャッター・チャンスを狙うカメラマンが待ち構えているだろう。8番ゲート前の第10コーナーから13コーナーにかけては、高速のF1マシンが楽しめるバック・ストレッチ。この辺りは不思議と観客が少ないのでお薦めだ。


F1ガールも会場を飾る

会場には、グッズの販売店、イベント広場などがあるのでお祭り気分を味わえるほか、アルバート・パーク・ゴルフ・コースの芝生では、ゆっくりレースを楽しむこともできる。キッズ・コーナーもあり、家族連れで訪れるのならばこの辺りが良い。アルバート・パークの湖の中には仮設浮橋がかけられており、反対側に歩いて湖を渡ることができるので、湖の両岸を行き来して楽しむのも一手。レース前になると往来する人が増えて入場制限されるので注意したい。

第13コーナーから14コーナー近くには、セントキルダのアパート群がすぐ近くにあり、ベランダでBBQパーティーをしながら無料でF1観戦を楽しむ人々が見える。また、第15コーナーのシケインは、最も減速する場所であり、写真撮影に最適だ。

 

メルボルンGPのアトラクション


フェラーリ・ファンの一家

4日間の大会期間の中でF1マシンの走行は、練習セッションを入れても多くはない。待ち時間はアトラクションを楽しもう。

レース・コース内では、V8スーパーカー・レース、クラシック・カー・レース、有名人レース、学生模擬レースなどの各種レース、コース外では、V8スーパーカー・ゾーン、アクション・ゾーン、生バンドによるステージ・ショー、F1カーの歴史展示、モトクロス、F1レース体験コーナー、GPガール写真会、キッズ・コーナー、豪州空軍による航空ショーなど多種多様のアトラクションが会場のあちこちで実施される。

見逃せないのは、F1ドライバーによるサイン会。14日木曜日には、レッドブル、フェラーリ、メルセデスなどのレース・ドライバーが参加する予定。チームごとに終日、V8ビレッジの中にあるサイン会場で行われる。

 

決勝当日のスケジュール

・朝10時半…ゲートがオープン
・午前11時…ビンテージ・カーのパレード、豪州で人気のV8カー・レース、子どもたちのレースなど盛りだくさん
・午後3時半…F1ドライバーによるパレード
・午後3時40分…空軍機によるアクロバット飛行
・午後4時50分…国家斉唱
・午後4時52分…カンタス航空大型機のデモ飛行。旅客便ではありえない急旋回が見所
・午後5時…F1GPレース・スタート
・午後6時半ごろ…レース終了予定

日焼け対策は十分にしておくこと。サングラス、帽子は必需品だ。日焼け止めは2時間ごとに塗布し、水も定期的に補給することを忘れずに。耳栓はあちこちで販売されているが、必ずしも必要ではない。また、酒類の持ち込みは禁止されており、ゲートで没収されるので注意しよう。

 

F1 Australian Grand Prix 2014
会場:Albert Park VIC
日程:3月13日(木)~16日(日)
入場料:決勝$79、4日券$149など
Web: www.grandprix.com.au

 

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