2015年、全豪オープン観戦ガイド

2015年

全豪オープン

観戦ガイド

2015年4大大会グランド・スラム(GS)の第1戦、全豪オープンがメルボルン市内のメルボルン・パークで1月19日から2月1日まで行われる。今年最大の焦点は「錦織圭のグランド・スラム初優勝なるか」。ナダル、ジョコビッチ、フェデラー、マレーの4強も健在の今、錦織と対するベテラン勢や新鋭勢との戦いに注目が集まる。

世代交代が進む男子テニス界

GS初制覇なるか錦織圭

2004年からの10年はロジャー・フェデラー(スイス:33歳、世界ランク2位)、ラファエル・ナダル(スペイン:28歳、3位)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア:27歳、1位)、アンディ・マレー(英国:27歳、5位)がGSの優勝を分けてきた。ところが昨年は大きな変化が起きた。全豪でスタン・ワウリンカ(スイス:29歳、4位)がGS初優勝、全米でもマリン・チリッチ(クロアチア:26歳、9位)が錦織を破ってGS初優勝。GS決勝戦で4強が1人も出ていないのは2005年の全豪以来のことであり、世代交代が進みつつあることを世界に印象づけた。

その全米で惜しくも準優勝したのは錦織圭(島根県:24歳)だ。2014年1月の世界ランク17位で始まったこの年は、錦織に取って大きく成長を果たした年であった。全豪では16強入りし、4回戦でナダルにストレート負けだったものの大接戦を演じて世界トップとの戦いに自信を持ち、その後の戦いに大きな影響を与えた。

錦織が世界ランク5位に

昨年2月の全米国際インドア・テニス大会で優勝。4月のバルセロナ・オープンでも優勝しツアー通算5勝目、今季2度目の優勝を果たし、世界12位へ躍進した。8月の全米オープンでは決勝へ進出。決勝ではチリッチにストレート負けしたものの、GS決勝戦進出は日本人およびアジア人として初めての快挙であり、世界に錦織圭の名前を大きくアピールした。9月のマレーシア・オープン優勝でツアー通算6勝目を達成し、自己最高位を更新する7位に浮上。2週連続出場のジャパン・オープンでは決勝でミロシュ・ラオニッチ(スイス:24歳)と対戦し2度目の優勝を果たし自己最高の6位となった。10月のBNPパリバ・マスターズ準々決勝で当時世界5位のダビド・フェレールに勝利してアジア男子初のATPワールドツアー・ファイナルに出場権を獲得。世界ランク・トップ8人だけが参加できる11月のツアー・ファイナルは第4シードで出場し、初戦でアンディ・マレーに初勝利。準決勝ではノバク・ジョコビッチに敗れたものの2014年の世界ランキング5位が確定した。2014年の全豪は17位で挑んだが、今年は優勝に手が届く位置でのチャレンジとなる。

今年の優勝候補は?

休養十分で復活かナダル

 


グランド・スラムを目論むジョコビッチ

優勝候補筆頭は全豪を4回制し、昨年は全英に優勝して世界ランク1位を守るジョコビッチ。オールラウンド・プレーヤーでパワーがあり、炎天下で行われる全豪での戦いを熟知している。昨年全仏を5連覇したナダルは、手首のケガもあったが後半は十分な休養を取り、全豪は全快で臨む。2012年の全英以来GSの優勝から遠ざかっている王者フェデラーは近年になく調子を上げている。錦織よりランクは下になったが4強の一角であるアンディ・マレー。全豪連覇を狙うワウリンカ、全米で錦織を破ったチリッチ、若手で錦織のライバルと目されるミロシュ・ラオニッチ、実力者のダビドフェレールやトマス・ベルディハなど錦織の優勝を阻む強敵の面々が並ぶ。

「勝てない相手はもういないと思う」の名言で、全米で準優勝。アジア人として史上初のATPファイナル出場などで一躍、時の人となった錦織の注目度は非常に高い。名言通り錦織は今、完全に上昇気流に乗っており、一気に全豪で頂点に上り詰める可能性はある。

錦織は昨年、全米オープン準決勝でジョコビッチに3-1で勝利。ナダルからは未勝利だが、昨年の全豪オープンで大接戦を演じ、マドリード・オープンであと1歩のところまでナダルを追い詰めた。世界トップのジョコビッチ、ナダルに対しては十分な経験を積んだと言える。アンディ・マレーとは昨年末まで未勝利であったが、ツアー・ファイナルでストレート勝ち。王者フェデラーとは昨年1勝2敗だが、昇り調子の錦織に分がある。

世界4位全豪優勝のワウリンカには全米ではフルセットで勝利している。パワーはあるが荒いところがあるワウリンカに対する備えも十分である。初めてのGS決勝となった全米では緊張でストレート負けしたチリッチだが、本来の力を出せば十分に勝てる相手だ。ラオニッチとは4勝1敗、ベルディハとは3勝1敗、フェレールには昨年4連勝と圧倒している。

今年も強豪ぞろいの全豪オープン

老練な域に達した王者フェデラー

錦織の難敵はジョコビッチ、ナダル、フェデラーのトップ3に絞られる。ストローク戦やバックでのダウン・ザ・ライン(ライン際)へのコントロール、ボレーなど強みを増した錦織だが、3強に勝つ上で最も重要なのはサーブだ。第1サーブを確実に決めていけば、優勝の可能性はさらに高まる。

全豪のサーフェスは全米と同じハード・コートでボール・スピードが速く良くはずむ特性を持ち、錦織が得意としている。メルボルン特有の猛烈な暑さへの対策がカギとなる。4回戦までは下位選手にストレート勝ちして体力消耗することなく勝ち上がることが条件だ。

一方、オージー選手では、レイトン・ヒューイット(33歳、50位)、ニック・キリオス(19歳、52位)、バーナード・トミック(22歳、56位)、マリンコ・マトセビッチ(29歳、75位)、サム・グロス(27歳、68位)と5人が出場する。中でも注目は新鋭のキリオス。昨年のウィンブルドンの4回戦でナダルと対戦して3-1で勝利。世界144位のキリオスが当時世界1位のナダルを破り、世界をアッと言わせた。

女子シングルスは、昨年は全豪で李娜(引退、中国、32歳)、全仏でマリア・シャラポワ(2位、ロシア、27歳)、全英でペトラ・クヴィトバ(3位、チェコ、24歳)、全米でセリーナ・ウィリアムズ(1位、アメリカ、33歳)で勝利を分け合った。全豪ではGS優勝回数18回のセリーナが今年も中心になる。マスコミの注目を集めるマリア・シャラポアは昨年全仏で優勝し復活。優勝の可能性も大いにあり得る。


ベテランの技を見せる添田豪

クヴィトバ(3位)、アナ・イバノビッチ(5位、セルビア、27歳)、アグニエシュカ・ラドワンスカ(6位、ポーランド、25歳)、キャロライン・ウォズニアッキ(8位、デンマーク、24歳)などが優勝争いの中心となる。若手で注目はシモーナ・ハレプ(4位、ルーマニア、23歳)だ。2014年は全仏で準優勝、全英でも上位に食い込んでいる。

オージー選手では、サマンサ・ストーサー(22位、30歳)とキャシー・デラクア(29位、29歳)、ジャーミラ・ガイドソバ(72位、27歳)が期待される。ストーサーは2011年の全仏で優勝。デラクアはダブルスの強豪で2011年全仏の混合ダブルスで優勝、2013年には全豪、全英、全米ではダブルスで準優勝している。

国枝選手はじめ日本勢にも期待

日本人選手は、男子では伊藤竜馬(94位、26歳)、添田豪(100位、30歳)が本戦から出場。2年ぶりとなるGSで1、2回戦の突破を目指す。女子では奈良くるみ(44位、22歳)、クルム伊達公子(89位、44歳)の2選手が本戦から出場。奈良は2014年に全豪3回戦、全仏、全英で2回戦と着実に実力をつけてきており、ブラジル・リオ・オープンにてツアー初優勝を果たした。今年は4回戦以上を狙う。伊達は最年長記録を塗り替えているが、2013年は全GSに参加したもののすべて1回戦敗退となったが、全米のダブルスではベスト4に入った。今年は1回戦での勝利を目指す。暑い気候を得意としており、試合当日が暑い気温であればチャンスはある。

国枝慎吾(車いす1位、30歳)は、GSシングルス15勝、ダブルス15度の優勝を誇る車いすテニス界の王者。昨年は全豪、全仏と全米と優勝して3度目の年間グランドを達成。全豪では過去7回優勝しており、今年は3連覇がかかる。決勝戦は、1月31日(土)に一般コートで行われる。グランド・パスで観戦できるのでぜひ応援に行こう。


最年長勝利を目指す伊達公子

初戦突破にかける伊藤竜馬
グランド・パスを活用しよう

さて、どの日に観戦に行くかを迷うが、早い日程をお薦めする。初日と2日目に全選手が登場。朝から効率よく会場を回れば、10試合以上は回ることが可能だ。ランク5位の錦織など世界のトップ選手でも1回戦では一般コートで試合をすることがある。ベスト10選手以外の試合はグランド・パスで十分に楽しめる。暑い全豪では水分補給、帽子、サングラス、日焼け止めは忘れずに。

全豪オープンは、1回戦の賞金が3万ドル、2回戦では5万ドルと日本の大会の優勝賞金並みで、ランキング・ポイントも大きい。世界中から賞金とランキング・ポイント獲得を目指して若いテニス・プレーヤーが集まり、初日から熱戦が展開される。真夏のメルボルンでエネルギー溢れる熱戦が楽しめる。

全豪オープン・データ

会場

会場のメルボルン・パークには、ロッド・レーバー・アリーナ(1万5,000人)とハイセンス・アリーナ(1万500人)の2つの開閉式屋根付きのセンター・コートがある。第3コートであるマーガレット・コートアリーナ(7,500人)は、現在改装中で2015年の全豪には屋根付きになり観客席も大幅に増やされる。 
ハイセンス・アリーナ側のグランド・スラム・オーバル催事場には協賛企業が設置した娯楽テントや、ライブ・バンド演奏のビア・ホールなど楽しい催し物がたくさん出ている。化粧品会社のお土産付き無料メイク・アップ・コーナーは女性に人気。ランチ・タイムや試合の空き時間にぜひ行ってみよう。 
ガーデン・スクエアでは選手によるサイン会も開かれる。錦織選手などトップ選手も登場する。ロッド・レーバー・アリーナの隣にショップがあり全豪会場でしか買えない全豪ロゴ入り特選グッズが販売されている。

 

アクセス

会場のメルボルン・パークまでは、トラム、電車、バスなどの交通があり、全豪チケットを持っていればトラムは無料。フリンダース駅から歩いて10分ほどなのでヤラ川の散策を兼ねて歩くのも悪くない。ロッド・レーバー・アリーナは、ヤラ川から良く見える。

 

チケット

一般チケット(グランド・パス$39から)では、2つのセンター・コート以外はすべて入れる。午後5時以降に入れるチケット($29)や、3日間有効券($109)、5日券($150)、家族券($90など)など多種の入場券がある。ロッド・レーバー・アリーナの入場券は約$75から。

 

Australian Open

会場:Melbourne & Olympic Park Trust, Batman Ave., Melbourne
日程:1月19日(月)〜2月1日(日)
Web: australianopen.com


文・写真=イタさん(板屋雅博)
日豪プレスのジャーナリスト、フォトグラファー、駐日代表
東京の神田神保町で叶屋不動産(http://kano-ya.biz/)を経営
 

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