Go! ワラビーズ in Japan「マット・コベイン氏の描く未来」

Go! ワラビーズ in Japan

日本ラグビー界では現在、オーストラリア、ニュージーランドなど世界の強豪チームでの代表経験を持つ選手が多数プレーしており、日本のレベルアップにひと役買っている。そこで、かつて豪州で活躍し、現在は日本に舞台を移した元ワラビーズの選手たちについて日本からリポートする。文=山田美千子/写真=山田武

マット・コベイン氏の描く未来

98年にブレディスロー・カップを手にし、99年のRWCを優勝したチームの歓喜の輪の中にいたマット・コベイン氏が、リコー・ブラックラムズのFWコーチに就任した。引退後の彼がこれから向かうのはワラビーズか日本代表か、同氏のこれからに注目したい。

目の前に多摩川が流れ、天気が良ければ富士山をも望める素晴らしい場所にリコー・ブラックラムズの練習場がある。かつてはスティーブン・ラーカム氏が、昨シーズンはバーナード・フォーリー選手もここで汗を流した。09年に東京で行われたブレディスロー・カップの際にはワラビーズもここのグラウンドで調整を行った。そのグラウンドに99年RWC優勝メンバーで、今季からリコー・ブラックラムズFWコーチに就任したマット・コベイン氏を訪ねた。

今期からFWコーチに就任

インタビューに応じるマット・コベイン氏
インタビューに応じるマット・コベイン氏

私がワラビーズを強く意識し始めたころの中心選手だったコベイン氏。大柄なFW陣の中で、背は高いがスリムな選手という印象があったが、今でもそれは全く変わらない。

03年RWC後に代表を引退したコベイン氏は、日本のワールド・ファイティングブルで2シーズンの間プレーしたこともある。そして、引退後はすぐにラグビー界へは復帰せず土木技師として活躍していた。

コベイン氏は、11年にレベルズのアシスタント・コーチとしてラグビー界に復帰した後、14年にはフィジー代表でコーチを務めた経験を持つ。昨シーズンは豊田自動織機、そして今季からリコーでFWコーチに就任した。

文化の理解とコーチング

以前、日本でのプレー経験のあるクリス・レイサム氏が「文化を理解していることがコーチングに役立つ」と話してくれたのを思い出し、コベイン氏の考えを尋ねてみた。

「文化を理解しているからこそ、何がモチベーションになるのか分かることもあります。私の場合、チームメイトをがっかりさせたくない、自分の与えられた仕事をできる限りベストな状態で安定感を持ってやり切るというものでした。私のプレーしていた環境と日本は違うので、日本での経験は確実に私にとってコーチとしての正しい選択につながると思います。文化は国によって違いますが、ある意味で同じ部分もあります。世界中いろいろな国へ行きましたが、ラグビー・チームはラグビー・チーム。トップ・リーグの場合は、企業の代表であるということを理解しておくことも日本でのコーチングのうえで大事なことです」

チームの現在、自身の未来

リコーは今どういうチームですかという質問に対しては、「どんどん良くなってきているところです。才能のある選手も多いので、良いプログラムでそれを引き出すだけでなく、仕事と人生のバランスも考慮することが必要だと思っています。目標は、一貫性のある高いレベルのラグビーを練習でも試合でも行うこと。そうすれば自ずと勝ちが多くなるはずです。ミスは起こるものですが、それを誰かがフォローする。常にポジティブで終わらせることが大切だと考えています。このチームが良いパフォーマンスをして、ランキングの上位に入る姿が見たいです」。

自身の将来については、「スーパー・ラグビーや代表チームでのコーチングも行いたいと思っています。ただ、フィジーでの仕事は満足感と達成感のあるもので、今はここでのコーチングが楽しいですね」と語る。

現在の日本代表について

ワラビーズのHCの話を向けてみると、「僕の前に適任者がたくさんがいますから、いつの日かですね。その前にHCは日本でかもしれません」と答えが返ってきた。日本でのプレーとコーチングの両面の経験があり、日本への理解も深い。コーチングに関してもポリシーを感じる。もしかしたら、日本代表HCに適任なのかもしれない。そんなことを思っていると、コベイン氏は現在の日本代表HCと代表チームの今後について語ってくれた。

「ジェイミー・ジョセフHCは日本にとって良い選択だったと思います。彼は日本でプレーもコーチングもしていて、日本語も話せる。代表チームをより高めていくにはTLの底上げが必要でしょう。そして、レフェリーのレベルアップです。世界レベルのレフェリーが増えれば、それはチーム強化にも確実につながっていくのではないかと思います」

穏やかな口調ではあるけれど、熱い思いを感じさせる、とても魅力的な紳士だった。今後、果たして彼はどんな選択をし、どんな道を歩んでいくのだろうか。楽しみがまた1つ増えた。

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