Go! ワラビーズ【番外編】HSBCセブンズ・ワールド・シリーズ 東京ラウンド

日本ラグビー界では現在、オーストラリア、ニュージーランドなど世界の強豪チームでの代表経験を持つ選手が多数プレーしており、日本のレベル・アップにひと役買っている。そこで、かつて豪州で活躍し、現在は日本に舞台を移した元ワラビーズの選手たちについて日本からリポートする。文=山田美千子/写真=山田武

大金星に大喜びのポルトガル代表。反面、まさかの敗戦に膝から崩れ落ちた……。この敗戦を後々引きずることに

1999年に創設され、世界各地を回る方式で実施されている国際ラグビー・ボード(IRB)主催の7人制ラグビー「セブンズ」の国際大会がオーストラリアではゴールドコースト、日本では東京で開催されている。4年目を迎える今年、東京開催となった「HSBCセブンズ・ワールド・シリーズ」では世界中から強豪が集まり熱戦を繰り広げた。オーストラリアのプレート優勝の軌跡と日本代表の戦いぶりをリポートする。

今年もまたこの季節がやって来た。日本の春といえば、桜、花粉症、そしてHSBCセブンズ・ワールド・シリーズ・東京ラウンドだ。

4年連続の開催となった東京セブンズ。元ワラビーズのダニエル・ヒーナン選手は日本国籍を取得。ヒーナン・ダニエルとして日本代表のジャージ姿を披露するはずだったところをケガのため欠場という残念なニュースもあったが、セブンズ日本代表チームは今シーズン、コア・チームとして世界中で開催される大会すべてに参戦し、世界の高く分厚い壁に挑戦し続けている。そんな背景もあって、今年はより一層の盛り上がりを期待していたのだが、4月とは思えない寒さの中、追い打ちをかける風や雨に選手、観客ともに悩まされることとなってしまった。

波乱は第1日目から起こった

プールBはオーストラリア、ニュージーランド、スコットランド、ポルトガルの4カ国。オーストラリアの初戦の相手はポルトガルだ。ランキングからみても大多数はオーストラリア優位と予想していたはずなのだが、ポルトガルのキックオフで幕が開けると直後から自陣に攻め込まれるオーストラリア。そして、開始から1分半ほどで先制トライを奪われるというショッキングな出だしとなった。これが今大会のオーストラリアのすべてを決めたと言っても過言ではない、悪夢の始まりだった。

その後、相手陣内に攻め込むも肝心なところでミスが出て得点につながらず。ラインアウトでも翻弄され、選手たちも予想だにしない展開に浮き足立っているのが伝わってくる。さらにトライを奪われ、0-12で前半を終えた。


密集からボールを出すアラン・ファアラヴァウ選手


キャプテンとしてチームを引っ張った日本代表坂井主将

後半2分が過ぎようとした時、スピード・キングことシャノン・ウォーカー選手がその本領を発揮した。左サイドを駆け上がり、相手ゴールに迫った。残念ながら得点には至らなかったが、本来の姿が戻りつつあった。そして3分半を過ぎたころ、ニック・マルーフ選手がセンター・ライン付近から走り切って、待望のトライを決めた。続いて、カム・クラーク選手がトライ。ゴール・キックも決まって12-10。2点差まで迫った。しかし、時すでに遅し。無情にもレフェリーの笛が鳴りノー・サイド。

予想外の敗戦に、ガックリと膝を落とすオーストラリア。一方、優勝したかのように飛び上がって大喜びのポルトガル。明暗がクッキリと分かれた。例年、ファンとの交流に丁寧に応じていたオーストラリア・チームだが、さすがにこの敗戦のショックは隠しきれず、硬い表情のまま足早にロッカー・ルームへ引き上げていった。

この金星に一気にムードの良くなったポルトガルは快進撃を続けシールド優勝を果たした。一方、オーストラリア2戦目の相手はスコットランド。攻めの姿勢を見せていたもののまたもや先取点を許し、14-17で敗れた。3戦目は宿敵ニュージーランド。初戦を引きずって2敗し、もう後のないオーストラリア。今大会初めて先制点を奪い、初めてリードして後半を迎えた。後半早々、ニュージーランドに追いつかれたが、19-14で辛くも逃げ切った。勝利するも、キャプテンのエド・ジェンキンス選手は笑顔を見せることなく、グランドを後にした。

光る日本の健闘


ケニア代表選手からの防御を受けるシャノン・ウォーカー選手


USA戦でボールを持って突進するエド・ジャンキンス主将

1回戦最後に日本が登場すると、それまで寒さに震えていた観客のボルテージも一気に上昇。場内の声援もひと際大きく力強くなった。

相手はアルゼンチン。キャプテン坂井克行選手のトライで日本が先制し、そのまま前半終了かと思われたが、アルゼンチンに追いつかれ同点で折り返す。後半、レメキ・ロマノ・ラヴァ選手のトライで再びリードする日本。しかし同点に追いつかれてしまう。攻め続けるアルゼンチンに必死にくらいつく日本ディフェンス。どちらも一歩も譲らず、引き分けとなった。

日本は次戦、サモアから貴重な1勝を得て、フランスには敗れたが1勝1敗1分でカップ準々決勝へ駒を進めた。2日目はフィジーとスコットランドに敗れたが、コア・チームとして世界の強豪と戦い、そこで得た経験は無駄ではなかった。日本のファンに大きな成長の跡をみせることができた。今後に期待したい。

第2日目・準々決勝〜決勝

冷たい雨が降りしきる大会2日目。滑る芝、滑るボール。またしてもコンディションは良くない。

オーストラリアはプールBの4位。1試合目はケニアと対戦した。トム・ルーカス選手のトライとキックで先制。昨日の勝ちゲームと同じ流れだった。14-5でボウル準決勝へ。2試合目のウエールズ戦でも先制点を上げたオーストラリアは、逆転されても再逆転する粘りを見せ17-12で勝利し、ボウル決勝へ進んだ。

オーストラリアの悪夢再び…

決勝相手はアメリカだった。パマ・フォウ選手のトライで先制するも、追いつかれる。しかしオーストラリアもエド・ジェンキンス選手のトライで再びリードを奪い前半を終えた。後半、先に得点したのはアメリカ。またもや同点に追いつかれてしまい、その後、一進一退の攻防が続いたが、結局同点のまま後半が終わった。その後、サドンデス方式の延長戦に突入すると、アメリカがオーストラリアのディフェンスを左右に激しく揺さぶりながらトライを決め、ボウル優勝を手にした。

すぐそこにあった勝利がスルリと手から滑り落ちてしまったオーストラリアのショックは大きく、試合後、ファンの前を通ることなく引き上げていった。

次のグラスゴー・ラウンドではカップを掲げたオーストラリア・チームの笑顔をみたいものだ。

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