
5月8日〜13日、イギリス・ブラックプールタワーで開催されたダンス競技会「The Open Worlds 2025」で、シドニーで生まれ育った中小路勇真さん(13歳)と美咲さん(12歳)が、U14オープン・ラテン部門に出場し、ダンス強豪国ロシア、ウクライナ、アメリカ、中国などのトップダンサーたちと競い合い、見事優勝を果たした。
社交ダンスを始めたきっかけとこれまでの歩み

勇真さんはもともと、スペインの強豪サッカーチーム・FCバルセロナが大好きなサッカー少年だったという。しかし、コロナ禍によるロックダウンにより試合ができなくなったことをきっかけに、妹の美咲さんと共にオンラインのダンス・ワークショップに参加。本人によれば、「母親に無理やり習わされたが、徐々に好きになっていった」とのことだ。
美咲さんは、母方の祖母がラテンダンス好きだったこともあり、2020年末にトライアルに参加し、2021年から本格的にラテンダンスを始めた(当時8歳)。「楽しかったから、始めた」と語るように、幼い頃からリズムに乗って体を動かすのが好きだったという。アメリカの幼児向けダンス教室のYouTube動画を観ながら真似て踊っていたそうだ。
また、美咲さんは幼稚園時代からジャズダンスやリリカルダンスなど、小学校の課外活動として積極的に参加。2021年にはラテンダンスに取り組み始め、同年12月には兄妹でカップルを組み、初めて地元の小さなダンス競技会に出場した。
以降、二人は一歩ずつ、初心者向けローカル競技会から、シドニー及び州レベル、ナショナルレベル、更には国際大会への出場を重ね、世界トップ・レベルのステージへと駆け上がっていった。2022年にはオーストラリア国内の複数のナショナル大会で優勝し、ジュブナイル(12歳以下)トップ・ダンサーの地位を確立。次の目標として、国際大会への挑戦を始めた。2023年3月、日本の主要大会「スーパー・ジャパン・カップ」のジュブナイル・ラテン部門に出場し、見事優勝を果たす。

その後、初めての世界レベルの大会として「ジュニア・ブラックプール・フェスティバル」に挑戦するが、ジュブナイル部門のオープン・ラテンでは30位と、世界の壁の厚さを実感する結果となった。
翌年、ジュニアカップルとしてUKオープンを含む世界大会に再挑戦するも、U14・U16部門ではいずれも1回戦敗退。しかし、そこから気持ちを切らさず、国内外のダンス・コーチの助言を受け、課題を洗い出し、猛練習に励んだ。徐々に成果が表れ、後半には国際大会での成績が向上。中国・深圳で開催されたワールドカップには、ナショナル・チームの一員として招待され、チームとしては惜しくも4位であったが、カップルとしてジュブナイルA級ラテンで優勝。香港オープンではU14ラテンで6位入賞も果たした。
国内でも、2024年12月、オーストラリア最大規模の大会「オーストラリアン・ダンススポーツ・チャンピオンシップ」でU16のジュニア・オープン・ラテンで、ジュニア1年目ながら年上のペアを逆転で破り優勝。当時11歳の美咲さんが、15歳の年上ダンサーを抑えての勝利は、まさに快挙といえる。

世界大会での優勝、次なるステップへ

世界レベルの大会でも、U14ラテンで準決勝・決勝進出が常となり、ついに「The Open Worlds 2025」U14オープン・ラテンに挑戦。父・中小路義卓さんは「ダンスの強豪国のトップ・ダンサーと競り合った上での優勝は、子どもたちにとって大きな自信につながった」と語る。「U14で世界チャンピオンになったことは誇りであるが、ダンサーとしての旅は始まったばかり。今後も慢心せず、チャレンジャーとして国内外でのハードなトレーニングを積み、更に高みを目指して欲しい」と続けた。
勇真さんは「この夢を叶えられたことをうれしく思い、日本人としてオーストラリアを代表できたことを誇りに思う(I am pleased of myself for being able to make this dream possible and proud to represent Australia as a Japanese.)」と語る。
美咲さんは「全ての努力が報われて、とても嬉しい(I’m really happy with this result because all my hard work has paid off finally)」と笑顔を見せた。
中小路兄妹の今後の活躍に、ますます期待が高まる。