Q: こんにちは。イヤー10の子どもがいます。昨年、知り合いのお子さんが早期オファーで大学入学が決まったと聞きましたが、日本の推薦入学と同じようなことでしょうか? 早く大学が決まれば、HSC本試験を受けなくてもいいのでしょうか? または、長いHSC期間を早く終わらせることができるのか教えてください。(シドニー在住)
日本では、大学の推薦入学が決まったお子さんは、2月、3月の入試を受けなくてもいいので、3学期はゆったりと過ごすことができ、つらい受験期間から早く解放されますね。
HSC(Higher School Certificate=NSW州とACTで大学など高等教育進学や就職の時に必要な高校履修資格を取得するための試験)では、通常であれば本試験が終わり大学からオファーがもらえるのはATAR(Australian Tertiary Admission Rank=HSCの成績を基に算出されるオーストラリアの大学入学に必要なランク。試験を受けた全学生の中でのランクを示したもの)が発表される12月半ば~後半以降です。約1カ月間のHSC本試験が終わってから1カ月以上先のことで、それまで待たなければなりません。
しかし、UAC(Universities Admissions Centre=主にNSW州とACT地域の教育機関で高等教育コースへの入学申請を処理する組織)を通して早期オファーを申し込んでいる場合、大学が以下のような基準で生徒が早期オファーに値すると判断した場合、オファーを出すことがあります。基準とは、以下の通りです。
・イヤー11の成績の結果
・学校からの推薦状
・課外活動の成果(例:スポーツで優勝した経験やMVPなど賞を受賞した実績、キャプテンとしてチームを好成績に導いたなどの活躍、芸術やパフォーマンスで入賞した経験など)
・プロジェクトのポートフォリオの内容やオーディション経験など
ただし、多くの大学/教育機関は早期オファーを出すための条件(例えば、一定以上のATARを達成しなければならないなど)を付けるようです。条件は、オファーと一緒に受け取る情報に記載されています。つまり、オファーをもらったことで本試験を受けない、または頑張らなくても良いということではありません。
早期オファーは、UACのSRS(Schools Recommendation Scheme)を通じて申請できます。オファーが受けられる時期などについては、申請時にUACに確認しましょう。
下記のサイトに早期オファーを出す大学/教育機関や、何を基準にオファーを出すのか、また、その他のエントリー・オブションなどが記されているので、参考にしてみてください。
日本の推薦入学とは少し異なるため、UACのウェブサイトを確認したり、学校のキャリアの先生に相談したりして、きちんと手順を踏むようにしましょう。
このコラムの著者

内野 尚子
1996年来豪。デイケア、プリスクールにて教師、authorised supervisorとして12年間従事。平行して2004年、同志とNSW州補習校を立ち上げ、代表兼教師として8年間運営に携わる。07年、Universal KIDS設立し、18年間で2歳から18歳までの児童約1500人を教授する。24年12月を以て教室での対面レッスンを終了したが、25年以降はオンライン教育相談は継続中。コロナ禍においては、保護者のためのオンライン・スクールを開設し、子育てをサポート。
Web: https://www.facebook.com/universalkids.com.au