オーストラリア企業が海外の優秀な人材を採用する際に活用される重要な就労ビザ(サブクラス482ビザ)の審査期間について/豪州ビザ・法律最新事情

SHARE

 サブクラス482ビザ(TSS/SIDビザ)は、オーストラリア企業が海外の優秀な人材を採用する際に活用される重要な就労ビザであり、オーストラリア経済にとっても不可欠な制度の1つです。昨年末、TSSビザ制度の運用において発生していた処理遅延や制度上の課題に対処するため、新たにSIDビザとして制度改正が行われました。しかし、既存のTSSビザ申請の処理とSIDビザへの移行作業を並行して進めることが困難であるためか、政府の想定通りに制度運用が進んでいるとは言いがたいのが現状です。結果として、サブクラス482ビザの審査期間は日を追うごとに長期化しており、申請者・企業双方にとって大きな課題となりつつあります。

2025年7月1日現在の処理時間の目安

TSS短期ストリーム(Short-term stream)
・50%が約7カ月で処理
・90%が約11カ月で処理

TSS中長期ストリーム(Medium-term stream)
・50%が約7カ月で処理
・90%が約11カ月で処理

TSS労使協定ストリーム(Labour agreement stream)
・50%が約8カ月で処理
・90%が約13カ月で処理

SIDコア・スキル・ストリーム
・50%が約57日で処理
・90%が約4カ月で処理

SID専門スキル・ストリーム
・50%が約7日で処理
・90%が約55日で処理

SID労使協定ストリーム
・50%が約71日で処
・90%が約3カ月で処理

時間が掛かる原因

 処理時間が長くなっている主な理由は以下の通りです。

・申請数の増加:特にIT、医療、金融分野では人材需要が高く、申請が集中しています。
・新制度への移行:Skills in Demand(SID)ビザへの移行に伴い、審査の優先順位が変更されました。
・チェックの厳格化:雇用主の義務やポジションの正当性確認が強化されています。
・書類の不備:申請書に不足や誤りがあると、追加資料の提出を求められ、処理が遅れます。

早く処理してもらうためのコツ

 申請をスムーズに進めるためには「Decision-Ready」状態で申請することが重要となります。

Decision Readyとは
・必要な書類を最初から全て提出する
・雇用主の労働市場テスト(LMT)の証拠をしっかり準備する
・健康診断・無犯罪証明書を早めに取得する
・認定スポンサーを利用する(優先処理される)

 該当する人は、まずは専門家にご相談ください。フェニックス法律事務所では、あなたに合ったプランを提案します。必要な書類の手配、準備を円滑に行いDecision Ready申請ができるように、早い段階での相談をお勧めします。

アドバイザー

清水 英樹

清水 英樹

オーストラリアQLD州弁護士。在豪30年以上。地元大学卒業後、弁護士資格を取得。フェニックス・グループCEOとして傘下にあたる「フェニックス法律事務所」、ビザ移民コンサルティング「Goオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、交通事故ならびに労災を専門に扱う「Injury & Accident Lawyers」を経営

SHARE
ビザの最新記事
関連記事一覧
Google Adsense